FBI から the がなくなるとき
当たり前のようにみえることほど、説明がむずかしい。
英語にも、そういうことがある。
男性用トイレや衣料売場の掲示は、Men と大文字にすることが多い。なかには、MEN と、すべて大文字にしている場合もある。もちろん the はない。
アメリカ連邦捜査局 FBI は、正式名称は the FBI だが、ウェブサイトのバナーでは the をなくして、たんに FBI と表記している。
<看板の文字が大文字になりやすく、the が消えることも多いのはなぜか?>
恥ずかしながら、これは私が長年迷ってきた疑問だった。
そんなこと気にしてどうするの? という質問が聞こえてきそうだが、本当に自信をもって英語に接するには、こういう素朴な疑問も大事ではないかと思ってきた。
そして、私の結論。
看板は、場の個性を表すから、表現全体が固有名詞化するのだ。固有名詞だから、大文字で表現する。固有名詞だから、John や Tokyo と同じく、 the はいらない。
看板の英語は、その場がもつ、ほかにない個性を名詞化した固有名詞なのだ。
さきの FBI は、政府という枠の中の一組織という意識のときは the FBI となるのだが、たとえばウェブサイトのバナーとか看板・地図のような小さな枠では、 the のない大文字で書いて、個性をすっきりと表現するわけだ。
新聞記事の見出しも、記事の看板のようなもので、場の個性を表すから固有名詞化する。一種の固有名詞だから、見出しには大文字を多用するのである。
そう思って見ると、英語の看板や見出しが安心して? 読めるかもしれない。
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