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サンタクロースのトナカイは実物ではなく概念

ロスアンジェルスの郵便局の入り口にこういうポスターがあったと、ある人が画像を送ってくれた。

上のほうのポスターに書いてあるのは、

We don't need reindeer to get your letters to Santa.

この写真を撮った人(日本人)は、reindeer (トナカイ)に a も-s もないことに気がついて、<やっぱり英語は外国語だな>とあらためて思ったらしい。

日本語で「トナカイ」をイメージすると、その姿は明らかに「一個」と呼べる構造体だから、a や-s をつけたほうがいいような気がする。

ところが英語の reindeer に a をつけることはないし、何頭いてもそれを -s で表現することはない(ただし、グリーンランドのトナカイと北欧のトナカイというように、いくつも種類があることをいうときは-s で複数形にする。ジーニアス英和大辞典)。

言葉は概念を表現するものだが、reindeer の場合、概念としては<いつも群れで行動する動物種>、つまり<群れというかたまり>としてとらえている。

<群れ>としてとらえた概念なので、英語を話す人にとっては、一頭ずつの個体性を表す a(n)や-s で表現するのは抵抗があるわけだ。

もし英語ネイティブに、reindeer も a(n)や-s で表現すべきではないかと詰め寄ったら、「私もそう思うけれど(つまり a(n)や-s にあたる認識はあるけれど)、そう表現するのは抵抗がある」と答えるだろう。

reindeer に似た「群れ名詞」に、fish や sheep がある。

ひょっとすると、reindeer も fishも sheep も食肉になるので、そこが「物質名詞」的で、そのことも a(n)や -s で表現しない原因なのかもしれない。

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