at は「ある」、 in は「いる」
at と in の違いに関係のありそうなことを、ひとつ思い出した。
むかし、川沿いの店に、「囮鮎あり〼」と書いた札がかかっているのを見たことがある。
「おとりアユあります」ということで、釣り人向けの札なのだが、ここでおもしろいのは、アユは生き物なのに、「います」ではなく「あります」と表現しているところ。
日本語で「あります」というのは、あるかないかを問題にしている。これは英語のat に似ている。たとえば She is waiting at the station. といえば、彼女が待っている場所は、ほかの場所ではなくて駅ですよ、ということ。いわば「彼女は駅にあります」のような意味になる。
他方、日本語で「いる」というと、そこでなにかしているというニュアンスが出てくる。これは英語の in に似ている。She is waiting in the station. というと、彼女は駅のどこかで、なにかしながら待っている感じがする。つまり、「彼女は駅にいます」というのに近い。
「おとりアユいます」というと、なんだかかわいそうな感じもするのは、「います」が、動く生き物としてのアユを連想させるからだろう。
at と in の違いは、「ある」と「いる」の違いのようなものだと思ったら、少し役立つかもしれない。
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