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🔳 1-3 「関係詞」は、文中の体を不確定臨体で呼びなおす(臨惑)

話し手は、文中の体(先行体。いわゆる先行詞)を不確定なものととらえなおし、あらためて臨体にできる。

そしてこの臨体の態を述べるために、話し手は小さな文(節。せつ)をつくる。これがいわゆる関係代名詞節、関係副詞節である。

文中の体についての、話し手のその場での不確定感ー<惑(まど)い>ーをふくんでいるので、このタイプの臨体を臨惑(りんわく)と呼ぼう。

臨惑は、不確定臨体(疑問詞)と同じ語彙を用いる。

which      先行体が人でも物でも事柄でもつかえる典型的な臨惑。原意は、「どちらかというと...」である。

who      先行体が人の場合。原意は、「それは誰かというと...」である。 who の目的格であるwhom は、発音が間延びしているせいか、近年では使用頻度が低くなり、who で代用される傾向がある。

what      what は、話し手と不確定な関係にある実体を、直接不確定臨体化する。そのため、先行体はない。原意は、「それは何かというと...」である。

when, how, why     先行体は、the way , the day, the reason などであるが、文を引き締めるために、これらの先行体なしで直接臨体化する場合も多い。when の原意は、「それはいつかというと...」であり、how の原意は、「それはどういう風かというと...」であり、why の原意は「それはなぜかというと...」である。

that      that はほんらい確定臨体であり、臨惑ではない。しかしthat は、<話し手がいない場所にあるもの>という概念なので、確定していながらも一定の不確定性をもつ。そのため、他の臨惑よりも確定性は強いが、一種の臨惑としての用法が確立した。that の原意は、「それはあれだ」である。

なお、himself, itself など、-self 型のいわゆる「再帰代名詞」も臨惑タイプの概念であるが、これは【コラム】で説明している。



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