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🔳 1-1 代名詞は心の中のあらゆる「もの・ひと・こと」を指せる(臨体)

you や it のような代名詞は、話し手と、話し手の心内にある対象とのその場限りの関係の種類>を表す。

その場限りの、臨場感のある体(たい)の概念を表すから、これからわれわれは、代名詞を臨体と呼ぶことにしよう。

話し手と対象の関係には、男性 he か女性 she かといった、対象の属性も含まれる(話し手は、属性のないものとは関係をもてない)。

臨体は、あらゆる体(心のなかの「もの・ひと・こと」)を少数の語彙で表現できる優れものである。

臨体は、抽象的・客観的な概念である。Mary さんかJudy さんかに関係なく、 she と呼べばすむ。このように、個々の対象の具体性を超えているから臨体は抽象的であり、しかもそう言わないとおかしい(she と呼ぶべきところで he では困る)という客観的な性質ももっている。

同時に、意味としては、she は話し手にとって Mary さんか Judy さんか、特定の具体的な人である。臨体は、具体的な話し手や聞き手にとっては、具体的な意味をもつのである。

コンパクトでライブ。抽象的で具体的な概念である臨体は、話し手の英語の世界を立ち上げる柱のような存在である。

なお、臨体は、話し手という自己意識と、話し手の心(意識)のなかの体との関係であり、目の前のものを直接指しているわけではないので、注意が必要である。

目の前にあっても、話し手の意識にのぼらなければ、私たちはそれについて語らない。誰もいないところでも  "I love her. " と言える。

そのことを思い出せば、臨体が目の前のものを指すのではないことがわかるだろう。

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