タマゴとニワトリ なぜ the があるか
<ニワトリが先か、タマゴが先か>というユーモラスな問題があるが、あれは英語で、
といえばいいようだ。(ウィキペディア)
お気づきと思うが、英語では chicken にも egg にも、最初から the がある。
「2回目に出てきたら the をつける」というような俗説からみれば、ちょっと理解しにくいのではないだろうか。
これは、概念の世界で(つまり常識的に)ペアになっているもの、トリオになっているもの、カルテットになっているものは互いに結びあっている(これがあれば、あれがあるはず、あれがあるのは、これがあるから、という関係にある)。こうした概念どうしのあらかじめ結びあった(つまり普遍的な)関係は、 the をつけて表現するのが英語のマナーだからである。
たとえば、「はじめ」という概念は「おわり」とペアである。「はじめ」があれば「おわり」があるはずだろうし、「おわり」があるのは「はじめ」があるからである。「はじめ」と「おわり」は概念上、普遍的に結びあっている。
だから「はじめ」というときも、「おわり」というときも、最初から the をつけて表現する。「なかほど」も同じである。 in the beginning, in the end, in the middle
上の文では、概念上ペアになっているニワトリとタマゴの両方に the をつけることで互いに呼応しあっており、引き締まった文になっている。
The sooner, the better. のような the 〜、the 〜. のかたちも、<ニワトリとタマゴ>と同じように、the で互いの普遍的な結合を表現している。
東西南北の四方とか春夏秋冬の四季のようなカルテットも、互いに結合した関係のなかでとらえて言うときは、 the を先立たせる。 The sun rises in the east.
面白い例は、「木目 grain」。
木目は幹という枠があってはじめて存在し、その枠のなかではある特定の木目のはずなので、 the grain となる。
探してみると、同じような理由で<はじめから the>となる例はほかにもけっこうある。
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