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キャスティング屋が選ぶ「2023年上半期 気になった人50」

皆さんこんにちは。キャスティングの森正です。1年ぶりに「気になった人note」を書きました。久々なので序文を少し長めに。

昨年は本業とは異なるプロジェクトに注力していたためエンタメ情報の収集が思うようにできず、泣く泣く執筆を見送っていました。今年は年始からギアを入れ直し、日々の情報収集を再度ルーティン化。劇場やライブの現場にも、可能な限り足を運んでいます。

昨年1年間、全くエンタメに触れていなかったわけではありませんし、話題のものには一応目を通していました。TikTokを見る習慣も身についています。ですが、やはり自ら情報を取りに行かなければ、専門職としての解像度は上がっていかないなぁと痛感しました。とにかく芸能は流れが早く、支流も多く、あらゆるメディアをつぶさに観察しなければ全体の潮流をすぐに見失ってしまいます。奇しくも1年間の充電期間が発生したことで、日々のキャッチアップの重要性に改めて気づくことができました。

同時に、この上半期はキャスティング・プロデューサーとしての自分の存在意義を問い直していました。弊社も今年で7年目。10周年が視界に見え始めた今、そして2020年代も半ばを目前に控えた今、いったいキャスティングという職種の価値はどこにあるのか。

最も普遍的な価値は、企画サイドと演者サイドの「通訳」たることだと思います。芸能特有の作法を理解し、発注者にわかりやすく提示すること。逆に、企画制作者の要望を事務所側の利害に照らし合わせて咀嚼してあげること。双方との良好なリレーションを前提にした翻訳がキャスティングの業務には欠かせませんし、翻訳ができないのなら存在する意味がありません。加えて、絵コンテや口頭で伝えられるイメージを、頭の中で適切なキャスト像に変換するという意味の翻訳も同様に重要です。

そしてもう一つ、これからいっそう必要になってくるのが、コンテクスト(文脈)を敏感に捉える力だと思います。私がメイン領域としている広告やPRは、本質的には生活者と企業のコンテクストのすり合わせを行っているわけで、キャスティングがそれらの1ピースである以上、コンテクストの読解は避けて通ることができません。芸能人材のブレイクにも、必ずと言って良いほど、そこに至るまでの文脈が存在しています。その人単体のコンテクストもあれば、出演メディアのジャンル、共演キャストのカテゴリ、芸能事務所の状況といったコンテクストもある。もちろん、それらは時代という大文字のコンテクストにも影響を受けます。日本のエンタメは往々にしてハイコンテクストだと言われていますが、それゆえにコンテクスト理解のためには当該のコンテクストにどっぷり浸からなければなりません。

そういう意味で、2015年から続けているこのnoteは、刻々と変わりゆくエンタメのコンテクストを捉えるための論考といえます。記事の中には、ある程度前後の文脈を捕捉できるほどに活躍を遂げている人もいれば、まだプロローグのような段階に止まっている人も含まれてます。後者の人は、直感も頼りに取り上げています。

キャスティング会社のビジネスモデルは単純なれど、各社が強みと謳っていることはさまざまです。提携する芸能事務所の数、過去実績の多さ。PRなど、より上流のソリューションをセットに掲げているところもある。中には、「人が好き」とか「才能を応援する会社」といったような、ヒューマニズムに訴える会社もある。

その中で、自分のキャスティング屋としての価値は、コンテクストのキャッチアップを軸にした「掘り起こし力」にあると感じています。音楽でいうところの「ディグる」というやつです。未来は遠くのどこかから突然訪れるものではなく、常に足元で陽の目の見るのを密かに待っているもの。Dig Outの精神で、これからも広告・芸能の土壌を耕し続けていきたいと思います。

さて、ここからが本編です。例によって毎回恒例のご説明をさせてください。

◯2023年1月1日から6月30日までにEvernoteにクリップした247記事を軸に、主に話題性・将来性・インパクトの3点を考慮してセレクト。この半年間で鑑賞した舞台・ライブ・イベント等の出演者、その他、弊社案件で実際にキャスティングをさせていただいた方々なども含まれています。

◯私は広告やPRをメイン領域とするキャスティング・プロデューサーです。したがって、広告やPRの文脈で起用するイメージが湧く人をメインにセレクトしています。

◯最後にいつものアナウンスを。私は若い才能・隠れた才能の発掘に価値を感じてキャスティングという仕事をやっている節があります。したがって、情報収集の上でも「次に誰が来るのか?」に最も重きを置いているため、多くの読者にとって、記事中のほとんどの人が"誰これ?"という感じの人だと思います。むしろそれが狙いです。

過去の「気になった人まとめ」は以下のマガジンに集約してありますので、ご興味ありましたら合わせてご覧ください

ちなみに、2023年上半期、芸能のメインストリームをぼんやり眺めて得た所感は以下のとおり。

  • とにかく「アミューズ女子」が猛烈に育っている印象があります。映画・ドラマ・CMでキラリと光る活躍を見せている若手女子が、偶然にもほとんどアミューズ所属の子でした。露出のタイミングがたまたま重なった可能性も否定できませんが、過去にここまでアミューズが集中することがなかったのでちょっと驚いています。逆に男子はトップコート所属の子が目立っていた印象があります。

  • そして、なんといっても當真あみです。玉城ティナが所属するDine and indyの若手。同社は沖縄が本社で、タレント級は長らく玉城ティナしかいませんでした。彼女が単身切り開いてきた道を當真あみが継承しているように感じられてグッと来ました。ちなみに玉城ティナはもともとサブカル系コンテストのミスiD出身者で、ある意味芸能のメインストリームではない文脈から出てきた人です。奇しくも今年で受賞から10年。芸能事務所もタレントも、この10年でどんどん多様性が増しているように思います。


<女優>

伊礼姫奈

新谷ゆずみ
・アイドルグループ「さくら学院」の元メンバー。卒業後、女優として着実にステップアップを重ねる。上半期は単館系の映画で見る機会が多かったです。事務所が事務所だけに、このままいけばかなり跳ねそうな予感。

並木彩華
・現在放送中の仮面ライダーギーツに悪役として出演。昨今は戦隊でも悪役のほうがキャスティングが良いんですよね。

椿

小林桃子
・河合優実さんの勢いがすごい鈍牛倶楽部の新人

長谷川愛美
・Twitterで偶然知った女優。直感的にセレクトしました

菊池姫奈
・あれよあれよという間にグラビア界のネクストブレークに躍り出ました。事務所はバリバリ演技派俳優の事務所なので、グラビアやりながら芝居にもガシガシ取り組んでほしいところ

宮下咲

河村花
・2018年にCMで知ってから気になっていたものの、以降の動向は追っていませんでした。ドラマ「女神の教室~リーガル青春白書~」の出演を足がかりに、今後露出が増えるかもしれません

中川友香
・この方もTwitter経由で知った方。アンニュイな雰囲気が良い

平川結月
・現在放送中の「王様戦隊キングオージャー」に出演。共演の村上愛花とのコントラストも効いていて、良いキャスティングだと思った。石井杏奈さん以来のLDH若手女優のホープ

宮田祐奈
・最近よくCMで見かけます。多幸感があるので、起用したくなる気持ちも頷ける

北澤響
・柄本明さん擁するノックアクトの新人。上半期に公開された主演の映画は見損ねてしまいましたが、ノックアクトでこの世代の女優は珍しいので、きっと何か光るものがあるのだろうと予想してます

咲耶

小田愛結
・ホリプロタレントスカウトキャラバン史上最年少グランプリ。早速同事務所の綾瀬はるかさんとユニクロのCMに出てました。今後の活躍に期待したいところ


<俳優>


佐々木 詩音
・映画「凪の憂鬱」での平熱な演技にグッときました

藤本洸大
・ジュノンボーイです。トップコート所属。今後バシバシ露出するだろうなぁ

吉田葵
・ドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」に出演したダウン症の俳優。これまで定型発達者が障害者の役を演じることがほとんどだったところを、本作では障害当事者が演じている。この流れが加速していけば、さらにエンタメの世界は豊かになると思う

谷田歩
・ドラマ「今際の国のアリス」での怪演が話題に。怖すぎるラスボスでした

黒崎煌代

夏生大湖
・鈴鹿央士くん擁するフォスターのネクストブレーク俳優

木戸大聖

<モデル>


新沼凛空

夢野飴
・ミスiD2022 超特別賞。超特別賞の名に相応しい、超異質なヤバさを感じる。かつての蒼波純を彷彿とさせるものがある

さつきあい
・集英社がリリースしたAIモデル。「生成AIをとりまく論点・問題点についての検討が十分ではなかった」として、写真集が秒で販売終了に

たけうちほのか
・竹内涼真の妹。ゴッドタンでしっかり爪痕残してました

滝口芽里衣
・ミスセブンティーン2022。スターダスト所属。演技力の程は不明ですが、女優映えする顔をしてます

森崎リイナ
・ルミネのCMに出演。スマイリーにもアンニュイにも振れる逸材。どれだけタレント性を発揮するかは未知数ですが、個人的にはemmaの系譜を継ぐポジションにいってくれると嬉しいかも

<子役>


森優理斗

永尾柚乃
・ドラマ「ブラッシュアップライフ」のあの子です

佐々木告
・昨年公開された映画「マイブロークンマリコ」で主人公マリコ役の幼少期を演じた子役。堂に入った演技が非常に良かった

黒川想矢
柊木陽太

・映画「怪物」の二人。取り上げないわけにはいかなかった

<お笑い>


豆鉄砲
・「ワタナベお笑いNo.1決定戦2023」でグランプリに輝く

人間横丁
・フェアリー系の男女コンビ。ふんわりした風貌と語り口に反して、意外と視点の鋭いネタもあって良かった

おなご
・松竹の若手女性コンビ。青髪のそらちゃんが可愛い

ゼンモンキー

塩島弾
・今年3月から弊社のとあるWEB番組でご一緒している、元俳優の若手芸人。現場での愛され力には目を見張るものがある。力量が伴って来るか、自分のポジションを確立できれば、今後メディアで見かける機会も増えるかも

ケビンズ

春とヒコーキ

<アーティスト>

a子


KOKONA

・TikTokで見つけた恐ろしい才能
※年齢制限に引っかかったのか、現在TikTokの動画は閲覧できなくなっています

イルカポリス海豚刑警


Laura day romance

白線に枇杷

なかねかな

龍宮城

・女王蜂のアヴちゃんプロデュースのユニット

<文化人・クリエイター・その他>


山本賢太
・フジテレビアナウンサー。通称ヤマケン。お昼の情報番組「ぽかぽか」でのテンパりぶりが話題に

島村楽器イオンモール甲府昭和店の店長・坂本さんと店員の今村さん
・ネットの記事を見て純粋にすごいと思ってセレクト。こういう市井のプロフェッショナルにフォーカスが当たるのって良いですよね

ヨシダナツミ
・アソビシステム所属のイラストレーター。このところアソビシステムはイラストレーターなどのクリエイターのマネジメントにかなり力を入れているみたいです


ここまで駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
下半期も引き続きエンタメにどっぷり浸かっていきたいと思います。

最後に、宣伝も兼ねて私のキャスティング実績をご紹介いたします。

広告・PR・その他コンテンツでキャスティングのニーズがありましたら、お気軽にご相談ください。響き合う関係性が一つでも多く世に生まれるように、今後も心血を注いでいきます。

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