才能の正体
才能はたぶん、子どもの姿をしている。
いつもあなたの一挙手一投足を物言わず見つめている。
変わっていくあなたの中で、変わらずに待っている。
あなたが傷ついたときには、その子も泣いている。
迎えに来てくれるのを待っている。
それでもあなたがその子を迎えに行かないのは
その子の手を取るのが怖いからだ。
身につけてきた常識、築いてきた役割。
そういうものが、あなたの心を怯ませる。
決してその子がいなくなることはないけれど
年を追うごとにその姿はどんどん朧げになっていく。
やがては、その子が存在していることにさえ気づかなくなってしまうだろう。
そうなる前に、僕らは自らの変わらない部分に想いを馳せる必要がある。
どんな荒波にも沈まず、どんな向かい風も絶え抜いたものが
必ずあなたの奥底に大切にしまわれている。
それは、今のあなたにとってはゴミのようなものでも
あなたの迎えを待つあの子にとっては、この上ない宝物であるはずだ。
かのマハトマ・ガンディーが残した言葉である。
現代社会は、絶えず僕らに変化を促す。変わらなければ生き残れないと煽り立てる。でも、本当にそうだろうか。
自分の中の変わらないもの、いや、変えようのなかったものだけが、人生を照らす灯台になるのではないか。最近はよくそんなことを考えている。
人の細胞は数年でほとんどが入れ替わるという。にも関わらず、その人はその人で居続けられる。きっと「心の細胞」も、同じような動的平衡を保つのだと思う。さまざまな経験を経て考え方や感じ方は変わるかもしれないが、根っこにある本質は決して揺るがないはずだ。
その本質は、他人から見たら価値のないものかもしれない。でも、それでいいのだ。心の中にいるあの子を喜ばすことができるのならば。
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