僕は、乗り物全般にあまり興味がない。

街中で車を見ても、
「かっこいいな～」
「あんなん乗りたいな～」
とかまず思わない（子供のころは好きだったみたい）。

「今度これ乗るねん」
と、バイクの写真を見せられても、心の底から羨ましいとかも無い（まずバイクの免許がない）。

おそらく乗り物は僕の中で「移動する手段」でしかないからだ。
その「手段」に、メンテナンスしたり、ええパーツ付けたりと、お金をかけるイメージが正直沸かない。

そんな僕の、（たぶん）５年くらい乗っていた自転車が悲鳴を上げ始めた。
メンテナンスもろくにしない僕は、チェーンさびさび、タイヤぺこぺこ、サドルしなしななマイ自転車にしばらく乗っていたが、さすがに不便だということで買い替えることにした。

ほんまにこだわりはない。
一時期、バイト先の主婦から譲り受けたママチャリを愛用していた。

そのママチャリは、サドルの皮の部分が破けていて、スポンジむき出し状態。
雨が降ろうもんなら、お尻に高野豆腐を押し付けられている感覚で、パンツがびちょびちょになる。
お尻が精進料理になるのは嫌なので、スーパーのレジ袋を巻き付けて使っていた。

そんな時期もあったけど、さすがに見た目も気にしなくちゃなということで、黒のクロスバイクに乗っていた。

ただ、細かいディティールなどはどうでもいい。
典型的な、形から入るタイプ人間なので、雰囲気オシャレに見えればそれでいいということで、20,000円くらいの格安ノンブランドノーマルクロスバイクが長年愛車だった。

その愛車が壊れた。厳密には壊れながら乗っていた。
力いっぱい踏み込むとチェーンが外れて、膝がカクンとなるのが怖いので、上り坂の時は、手で押して走っていた。おばあちゃん。

変則のところもゆるゆるで、3から7くらいを勝手に行ったり来たりしていた。バリ怖い。
もちろんブレーキもスカスカ。

ただの殺人マシーンに乗っていた僕は、この生活に終止符を打つべく、新たなチャリ探しの旅に出ることにした。

まずはネットで調べることに。

クロスバイクでも正直よかったが、どうせなら乗ったことのないタイプにチャレンジしようということで、「ビーチクルーザー」という種類を調べることに。

見た目重視の僕。ファッション的にも合わなさそうやし、ちょっといかつすぎるか。

次はＢＭＸ。
東京五輪で見ていたスケボーやＢＭＸ。

「なんかストリートってかっこいいよな」
というミーハー心でこれにしようとしたが、周囲から猛反発。
本格的な技メインなやつだと、漕ぎにくいし街乗りには適していない、とのこと。

なるほど。ほな普通のクロスバイクでええか。
と、自転車屋さんが多いエリア、大阪・堀江で実際に探すことにした。

一応、本格的なパーツとかバラ売りしているかっこいいショップに行ってみた。

めっちゃスタイリッシュやん！ってなるやつはやはり高い。
もろもろで50万ぐらいする。中古の軽やん。

性能はもちろん良いのだろうけど、人間は、興味のないものにお金をかけられる生き物ではない。
店を後にして、大手チェーンの別のお店に行った。

「どうしようかな～中古のママチャリでもええかな～」と半ばあきらめかけた矢先。

見つけた。
店員さん曰く「ＢＭＸ風」の自転車。
試し乗りもしたが、変速はついていないものの、速いし乗り心地もいい。
ほどよい踏み込み具合に、タイヤが太いこともあり軽減された衝撃具合。
当初は黒にするつもりだったが、シルバーにした。

店員さんがいろいろ上乗せしてこようとしたが断った（もちろん防犯登録は付けてます）。
その店員さんの話し方がどことなくマニュアル過ぎた。

なんか「あぁ、、会社からいろいろ言われてやらされてるんやろな」と思ってしまって、全然入ってこなかった。

「いや、まあ付けられる方は多いと思いますね！んん、、まあなくてもいいですけど、いざと言う時あったら困らないかとは思いますけどね、、！」

みたいな感じやったら付けたかも。人間味のある話し方って大事。

金額は諸々で39,000円。
一個前の店でマヒしたこともあって安く感じた。

今、買った当初より幸福感がじわじわ来ている。
納得の買い物ができてマジでうれしい。

服でもなんでも、前々から「これ買うぞ～」って狙ってた商品より、勢いで買った商品の方が意外と、後々気に入ったりしないですか？
これってあるあるですよね？「○○効果」とか学者が解明してますよね？


今、僕、それです。

ただただ良い買い物出来てうれしかったよ。っていう話でした。