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プレミアリーグ全クラブの胸スポンサーについて調べてみた。


数ある海外サッカーのリーグの中でも、現在、世界最高峰と言われているのがイングランド・プレミアリーグ。
実力、規模、予算などの面から見ても、最も注目されているリーグであることは間違いなく、昔からサッカーが好きだった僕自身も、南野拓実選手がリヴァプールに移籍した2020年頃から、特に熱中して見てきました。

サッカー自体の戦術の質や、プレーのスピード感はもちろんのこと、ユニフォームのカッコよさもプレミアリーグの魅力。
ということで、今回は2023-24シーズンを戦うプレミア全20クラブの、ユニフォームに刻まれた胸スポンサーについて調べてみました。


以前調べたJ1全クラブの胸スポンサーと比べると、当然海外の企業が多いので、得体の知れなさがより強まります。
なので、突き止めたとしても、「ふ~ん」という反応にしかならないかと思いますが、半ば自分の知識のためにまとめることにします。

また、以前と同じくユニフォームのデザインについての言及も含まれます。
プレミアのユニフォームはJリーグと比べてもデザイン性が高く、普段使いも出来るほどかわいいものが多いので、「今年はこうやな~」「ほしいな~」みたいな自分勝手な意見も出てきますので、その辺も踏まえて読んでください。


※順番は昨シーズンの順位

●マンチェスター・シティ

胸スポンサー:エティハド航空(UAE)

昨シーズン、クラブ史上初の3冠を達成した、名実ともに現在世界最強クラブのマンチェスター・シティ。
エティハド航空は、アラブ首長国連邦(UAE)の国営航空会社で、胸スポンサーになってから、今年で実に15年目の長期パートナーです。

それもそのはず。2008年にUAEの投資グループがクラブを買収し、ニューヨークやメルボルンをはじめ、世界中に兄弟クラブを作り系列化した「シティ・フットボール・グループ」(日本では横浜F・マリノスも)の親会社もUAEの王族が運営するなど、「UAEの国家クラブ」と言っても過言ではないからです。
ライバルであるマンチェスター・ユナイテッドに比べ低迷していた弱小クラブが、中東の資本が入った途端に強豪になるという、現代の欧州サッカーの縮図のようなクラブですね。

今年は本拠地が「エティハド・スタジアム」に移転されて20周年。
その当時のユニフォームの特徴を取り入れたモデルになっています。
文字が白色なので若干見にくいですが、優しい色味なのにめちゃくちゃ強いという、シティらしさが出ていて良いですね。


●アーセナル

胸スポンサー:エミレーツ航空(UAE)

世界中のクラブの胸スポンサーに幅を利かせている中東の航空会社ですが、このエミレーツ航空もエティハド航空と同じくUAEの会社です。
エミレーツはドバイ、エティハドはアブダビが拠点です。
一つの国で強豪2つも抑えるなんて。恐るべしUAE。

エミレーツは他にもレアル・マドリー(スペイン)、ACミラン(イタリア)、リヨン(フランス)、ベンフィカ(ポルトガル)など、各国リーグの強豪の胸スポンサーになっていて見る機会が多いので印象が強いと思います。

アーセナルのユニフォームには06-07シーズンから刻まれています。
スタジアムの命名権もエミレーツが取得し、2028年まで契約が残っています。
非常に長いお付き合いなんですね。京都銀行ですね。

アーセナルのユニフォームは毎年変化を感じられて面白いです。
赤と白の2色を使うから幅を感じるのでしょうか。
今年はロゴとラインに金色が使われていて少し高級感がありますね。


●マンチェスター・ユナイテッド

胸スポンサー:TeamViewer(ドイツ)

TeamViewerはドイツに拠点を置く、世界的なソフトウェアの企業。
オンライン会議やWebセミナーのソフトを扱っているため、おそらくコロナ禍で儲かったのでしょう。2021年からクラブ史上6番目の胸スポンサーになっています。
ちなみに初代は日本企業のSHARPです(1982~2000年まで)。

拡張現実や人工知能といった最先端の技術を、クラブのあらゆるサービス向上に活かすそうで、ファンだけでなく、クラブ運営に携わる従業員の仕事の効率化にも取り組んでいます。
お金を出すだけじゃなくて、クラブの中身も良くしようという動き、いいですね。

一見シンプルに見えるデザインですが、地元の橋と群の紋章が幾何学模様で描かれています。
マンUは、赤に黒を使っているのが強そうでかっこいいですよね。


●ニューカッスル・ユナイテッド

胸スポンサー:Sela(サウジアラビア)

またもや出ました、中東です。
2021年にイギリス人実業家からクラブを買収したのは、サウジアラビアの公的投資ファンドで、その資金力はなんとマンチェスター・シティの14倍と言われ当時話題になりました。
世界的ビッグクラブを作るには、もう国内のお金持ちレベルでは厳しいフェーズに入っていますね。なんと言ってもこのファンドの代表はサウジの皇太子ですからね。国家レベル。

サウジに本拠地を置くSelaは、世界中に事業を展開する大手イベント運営会社です。首都リヤドで開催された「ジャパンアニメエキスポ」なども手掛けています。
現在サウジは、これまでの石油に依存したビジネスや、宗教の問題で閉鎖的だった国の在り方を変えるべく、エンターテインメント立国を目指しているようで、その一環でスポーツビジネスにも参入していると見られています。

遠い中東の国の方針で買収された、イングランド北東部の古豪クラブ。
そう考えると興味深いですね。

伝統の白黒ストライプは健在。1983-86のモデルをモチーフとしているそうです。
ぼやかしたりせず、こんな感じでくっきりした模様が個人的には好みです。


●リヴァプール

胸スポンサー:Standard Chartered(イギリス)

デンマークのビール会社「カールスバーグ(Carlsberg)」の印象が強かったリヴァプールですが、2010-11シーズンからは、ロンドンを拠点に置く世界的銀行金融グループ「スタンダードチャータード(Standard Chartered)」が胸スポンサーになりました。

1969年にスタンダード銀行とチャータード銀行が合併して現在の名前に。
三井住友銀行みたいな感じだったんですね。

2つともイギリスの銀行ですが、創業当初スタンダード銀行はアフリカ、チャータード銀行はインドと、外国で業務を行い支店網を広げました。
さすが植民地を多数抱えていた、欧米の列強イギリスですね。
現在もイギリスでは個人向けの取引などは行っておらず、一番収益を挙げてげているのは、こちらもかつて植民地だった香港だそうです。
歴史の勉強みたいになってきましたね。おもしろい。

中東の国家資本の力を借りずとも、世界第5位の超メガバンクが後ろ盾になっているので、クラブとしても心強いですね。

デザインは名将ビル・シャンクリーがFA杯を獲った1973-74シーズンのモデルに触発されたもの。
リンガーTシャツみたいでシンプルでかわいいですね。
実は僕、買いました。めっちゃお気に入りです。


●ブライトン&ホーヴ・アルビオン

胸スポンサー:AMERICAN EXPRESS(アメリカ)

三笘薫選手所属のブライトン。
胸スポンサーのアメリカンエキスプレスは、その名の通り本社はアメリカですが、ヨーロッパ本部のオフィスはイギリスのブライトンにあります。
今やクレジットカードや旅行代理店などで有名ですが、創業時は運送会社だったそうです。だから「エキスプレス」なんですね。

ブライトンとは、2010年からスポンサー契約を結んでおり、スタジアム名の命名権も取得。2019年にはさらに12年間の契約延長も果たしていて、ビッグ6以外では最大の契約金だと言われています。

今シーズンのモデルは黄色ラインがなくなりシンプルな印象。
三笘ブレイクの印象が強い昨シーズンのイメージを塗り替える躍進をして欲しいですね。


●アストン・ヴィラ

胸スポンサー:BK8(マルタ)

「BK8」は地中海に浮かぶマルタ共和国で2014年に設立されたオンラインカジノの会社です。
主に東南アジアにマーケティングを仕掛け、タイ、マレーシア、インドネシアなどでは一番人気のオンラインカジノだそうです。

急速に拡大しているスポーツベッティング。
近年オンライン化が進み、スマホ一つで気軽に賭博が出来ることから、各企業が売り上げを伸ばしたことにより、多くのクラブがスポンサーに迎え入れました。

しかし、イギリス国内でのギャンブル依存症などの問題から、プレミアリーグは2026-27シーズン以降、オンラインカジノ企業の胸スポンサーの掲載を禁止することを決めました。
お金稼ぎより、世の中をクリーンにすることを優先したんですね。

ちなみにアストン・ヴィラは、猶予期間ギリギリの2025-26シーズンまでBK8と契約を結んでいます。

今シーズンからエンブレムを新調。1982年のヨーロッパリーグ優勝時のデザインを再現したそうです。


●トッテナム・ホットスパー

胸スポンサー:AIAグループ(香港)

アジア・オセアニア地域に展開する生命保険の会社、AIA。本社は香港にあります。
もともとはAIG(American International Group)のアジア部門でしたが、リーマンショックを発端とした金融危機により、2008年に分離独立しました。
ちなみにAIGは、かつてマンUの胸スポンサーでしたね。

2014-15シーズンから契約しているAIAですが、2019年には2026-27シーズンまでの契約延長を果たしました。
銀行や保険など金融業界はなんだかんだ強いですね。

今年のモデルは袖口に紺色だけを入れる潔さ。シンプルでかっこいいです。トッテナムはチームカラーが白なので、毎年マイナーチェンジ感は否めないですが、ホームが白ってJリーグには存在しないのでなんかうらやましいです。アウェイユニを白で統一するのってなんか物足りないんですよね。
トッテナムみたいなクラブが現れたら、Jのユニフォームにも幅が生まれるのにと思います。


●ブレントフォード

胸スポンサー:Hollywood bets(南アフリカ)

21-22シーズンにプレミア初昇格を果たした西ロンドンにあるクラブ、ブレントフォード。
胸に刻まれている「Hollywood bets」は南アフリカのオンラインカジノです。
グローバルでオンラインな世の中ですね。国境なんて関係ないです。

なぜ南アフリカなのに「ハリウッド」なんですかね。
英語のサイトしか存在しないのでイマイチわかりませんでした。

ユニフォームのデザインは毎シーズン変わるのが普通ですが、ブレントフォードは24-25シーズンまで2季連続での使用を発表しました。
廃棄物を減らすことと、サポーターの経済的負担を考えてのことだそう。
地球とお財布に優しいクラブの方針ですが、もしお気に入りのデザインであれば長く着れる点もうれしいですね。


●フラム

胸スポンサー:SBOTOP(マン島)

昨シーズンまでリーズの胸スポンサーだったSBOTOP。またもやギャンブル関連企業です。

オンラインカジノは、いくつかある発行国からライセンスを発行してもらい初めて営業の認可が下りますが、その中でもイギリスの特別領域とされるマン島(主権国家ではない)のライセンス取得は他の国より厳しいとされています。
その代わり安全性や信頼性も高いそうで、SBOTOPに関しては他のオンラインカジノと比べても怪しさがない、割としっかりしたサイトでした。

アジアでの認可はフィリピンで受けているらしいです。
実態がつかみにくい業界ですし、馴染みもないので正直あんまりわかりません。笑

フラムは白基調に黒と赤が入っているのがチームカラー。
アディダスの三本線に入れてくるあたりデザイン性が高いですね。


●クリスタル・パレス

胸スポンサー:Cinch(イギリス)

南ロンドンにあるクリスタル・パレスは1861年創設。現存する世界最古のプロフットボールクラブです。

イギリスのオンライン自動車販売の会社であるCinchとは、昨シーズンから胸スポンサーとして契約を結んでいます。
その前の21-22シーズンまではギャンブル系企業であったことから、クラブも世の中の流れに合わせようとしているんですかね。

赤と青がチームカラーですが、今季はストライプではなく、真ん中で切り返したデザイン。
クラブ名の由来で、1851年のロンドン万博の会場だった「水晶宮」が柄になっています。


●チェルシー

胸スポンサー:未定

※決定次第追記します


●ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ

胸スポンサー:Astropay(イギリス)

Astropayは、イギリス発祥の電子決済サービスです。バーチャルプリペイドカードを使って、オンラインショッピングを楽しめたり、オンラインカジノの入金が出来るそうです。

若干グレーっぽさは感じるのですが、オンラインカジノではないので、26-27シーズン以降の規約には引っかからないんですかね。
しかも電子決済の業界では20年以上前からある老舗らしく、信頼と実績は申し分なさそうですね。

世界中に普及しているAstropayですが、日本でのサービスは2022年9月に終了しています。日本は日本特有の電子決済がいろいろありますもんね。

リーグでは唯一の黄色をチームカラーに採用しているウルブス。
袖と襟に白ラインが入っているのですっきりとした仕上がりに。
オオカミのエンブレムが他のチームには無いかわいさがあって好きです。


●ウェストハム・ユナイテッド

胸スポンサー:Betway(マルタ)

またもやギャンブル関連企業。
他の企業と同じくオンラインカジノやスポーツベッティングなどのサービスを提供していますが、Betwayに関しては、国際的な機関に認可されていたり、スポーツの育成事業などに着手していたりと、調べた感じクリーンな印象を受けます。実際Wikipediaもしっかり存在していました。
そんな企業も例に漏れず、26-27シーズン限りで除外されるんですね。難しい問題。

地中海に浮かぶマルタ共和国は、オンラインカジノの発展が目覚ましく、「世界のオンラインカジノの首都」とも呼ばれているそうで、規制もしっかりしていることから、ヨーロッパで運営しているオンラインカジノの企業のほとんどがマルタでライセンスを取得しているそうです。

その理由としては税率の低さです。還付金などもあり、ギャンブルにかけられる所得税が5%ほどだそう。そら世界中のギャンブラーが集まりますよね。

今季のモデルは、伝統のワインレッドと水色のボディーにシャボン玉がうっすら描かれています。
サポーターに愛されている応援歌からのモチーフです。


●ボーンマス

胸スポンサー:Dafabet(フィリピン)

「bet」が入っている時点でもうお気づきですよね。
Dafabetは2004年にフィリピンで設立されたギャンブル系企業。アジア圏での人気が高く、アジアのスポーツ中心にベッティングが出来るそうで、Jリーグやプロ野球も賭けの対象になっています。
フィリピン政府公認、また業界では老舗な方なので、安心して利用できるみたいですね。

ちなみに古橋選手ら日本人が多く在籍している、スコットランドのセルティックの胸スポンサーも長く勤めています。

ただの赤黒のストライプではなく、細い線も加わっていて、スタイリッシュさが強まっています。


●ノッティンガム・フォレスト

胸スポンサー:未定

※決定次第追記します


●エヴァートン

胸スポンサー:Stake.com(キュラソー)

Stake.comはカリブ海に浮かぶオランダ領の島、キュラソーが拠点のオンラインカジノ。
キュラソーもオンラインカジノのライセンス発行国ですが、他の国とは違い、ビットコインなどの仮想通貨での決済を審査基準として認めているので、近年キュラソーで取得する企業が増えているみたいです。

マルタやマン島、キュラソーなど世間的には知名度の低い国や離島が、産業を発展させるためにカジノ事業を呼び込んでいる、という背景が面白いですよね。

10年ぶりにポロカラーを採用した今季のモデル。襟と袖口には本拠地グディソン・パークがイメージされた柄が入っていて、シンプルなだけじゃない作りでかわいいですね。私服でも着たい一着です。


●バーンリー

胸スポンサー:W88(フィリピン)

イングランド北西部に位置するバーンリー。2部チャンピオンシップを1位で終え、1年でのプレミア返り咲きを決めました。

W88はフィリピンが拠点のオンラインカジノ。政府公認で安全をうたっていて、アジアから欧州にも勢力を広げていますが、日本からは2018年に撤退をしています。日本でオンラインカジノを流行らせるのって難しいんですかね。
ていうか、どれだけの日本人が利用しているのでしょうか。未知すぎます。

襟付きかつ、袖にラインが入っているシンプルな作り。
チームカラーはワインレッドと水色ですが、この組み合わせはアストン・ヴィラとウェストハムも長年にわたり採用しています。
諸説ありますが、かつては強豪だったアストン・ヴィラにあやかって、ウェストハムとバーンリーは真似をしたそうです。
配信で見ていると、似すぎていて一瞬どこかわからなくなりますもんね。


●シェフィールド・ユナイテッド

胸スポンサー:未定

※決定次第追記します


●ルートン・タウン

胸スポンサー:Utilita(イギリス)

2部で3位、昇格プレーオフで勝ち上がり見事31年ぶりの1部復帰を果たしたルートン・タウン。
10年前までは5部に所属していたことを考えるとすごい快進撃ですね。

Utilitaはイギリスの民間電力会社。事前支払いサービスなど決済方法を多様化させたり、自社のアプリを開発するなど、あらゆるアイデアで国内の契約者数を増やしているそうです。
自国の企業に支えてもらえるのはやっぱりいいですね。

プレミアでは珍しくオレンジがチームカラー。襟と袖口は紺で締めて力強いデザインになっています。
帽子製造で有名な街なので、愛称はHatters。エンブレムにも帽子が描かれています。



おわりに


ということで、23-24シーズンのプレミアリーグ全20チームの胸スポンサーについて調べてみました。

印象的だったのは何といってもギャンブル系企業の多さです。
途中から、「もうオンラインカジノばっかりええって。。」と調べながら思っていました。
だって英語の怪しいサイトばっかりだったんですもん。笑

ですが改めて、スポーツベッティングの世界が広がりを見せていることを実感しました。
スポーツも観てもらえるし、お金も落としてもらえる。そう考えると企業とクラブの親和性の高さは必然なんだろうなと感じます。

しかし、26-27シーズンからは掲載禁止なので、どうなっていくのかは見物ですね。ビッククラブと比べると資金力の低いクラブが付けている傾向にあるので、経営面からしても先行き不安なところは多いでしょうね。


いや~、それにしてもめちゃくちゃ勉強になりました。
サッカーは歴史の長さと、競技人口が半端ないスポーツなので、調べていけばいくほど、人種、宗教、経済などの分野がいやでも学べます。
スポーツの表面だけではなく、背景を知ることが大好きなので、今後もサッカーに限らず、あらゆるスポーツを調べていこうと思います。


お読みいただいた方ありがとうございました。

それでは、また!


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