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なぜ阪神タイガースは兵庫の球団なのに、大阪人のものなのか。

59年ぶりの関西対決

プロ野球のシーズンの締めくくりとなる日本シリーズが、もうまもなく始まります。

今年は、セ・リーグ王者である阪神タイガースと、パ・リーグ王者であるオリックス・バファローズが対決するわけですが、日本シリーズでの関西の球団同士の対決は実に59年ぶり。
1964年(昭和39年)の南海vs阪神以来です。
この時は親会社それぞれのターミナル駅、梅田と難波にちなみ「御堂筋シリーズ」と呼ばれたそうですが、今回は阪神電車で一本で行けることから「なんば線シリーズ」と呼ぶそうです。

「ドーム前」駅から阪神なんば線を通って、
阪神本線の「甲子園」駅までつながっている
https://hcl-c.com/our_work/media/traffic.html

そんな関西の2球団ですが、大阪での圧倒的な人気度で言えばもちろん阪神タイガースに軍配が上がるでしょう。
「大阪人は全員阪神ファン」という認識をお持ちの方もいるくらい、大阪といえば阪神です。

でも、待ってください。
阪神タイガースの本拠地である甲子園球場兵庫県西宮市にありますよね。
そして、大阪市京セラドーム大阪が本拠地のオリックスは、なぜ阪神より人気が無いのでしょうか。

京都出身で特定の応援している球団がない僕が、うっすらずっと抱えていた疑問は今年大きく表面化します。


道頓堀の盛り上がり方の違い

今年18年ぶりにリーグ優勝を決めた阪神。優勝が決定した日の夜、道頓堀はお約束通り大変な人だかりで、警察による規制があったにもかかわらず、川に飛び込む人が現れる騒ぎっぷり。
当日、仕事終わりの僕は御堂筋からその様子を遠巻きに見ていました(戎橋には黒い幕が張られていて、内側が見えないようにされていた)。

数日後。オリックスが同じくリーグ優勝を決めた日の夜、道頓堀はというと普段通りの賑わい。警察の出動ももちろんなく、そこにあったのは道頓堀の普通の日常でした。

先ほど載せた路線図にもあるように、実は阪神なんば線を使えば、ドームから難波まではたったの2駅。
というか、ドームから戎橋までなんか頑張ったら歩いていける距離だし、他府県の人で土地勘のない方は分からないかと思いますが、道頓堀川を西にまっすぐ行けば京セラドームまで繋がっているのです。
なんなら、戎橋付近のビルからドームは余裕で見えます。いわば目と鼻の先。

……なんで???
わざわざ西宮から大阪の難波まで移動してきた阪神ファンもいたらしいけど、そもそもなんで???
ほんでオリックスファンはどこに集まったの??
いや別にバカ騒ぎせんでもいいけど、すぐそこに道頓堀あるねんで???

とまあ、「阪神ファンは優勝すると道頓堀でバカ騒ぎする」というのは一般常識で、ごく当たり前の現象ですが、今回オリックスも同時に優勝したことで、その疑問が改めて浮き彫りになったのです。

なぜ、阪神は兵庫の球団なのに、大阪の人や街に愛されているのか?
それに引き換え、なぜオリックスは大阪の球団なのに、阪神より人気が無いのか?


「大阪」を巡る球団の歴史

まず、阪神タイガースという球団の歴史をひも解くと、創設は1935年(昭和10年)で、大日本東京野球倶楽部(現・読売ジャイアンツ)に次いで、日本で二番目に古い球団です。
当時の球団名は「大阪タイガース」。三大都市圏でのリーグ創設を目論んでいた読売のオーナー・正力松太郎から誘われた、阪神電気鉄道が作った球団です。

そんな阪神電鉄が保有していたのが甲子園
話が早いですよね。一から作るんじゃなくて、10年も前からすでに日本最大の球場を持っていたわけですから。
そしてその球場があった場所が西宮市です。

「大阪」第一号の球団を運営したのが「阪神」電鉄で、会社として保有していたのが「西宮」にある甲子園だったわけですね。

「なんで大阪じゃなくて西宮やねん」と言われてもこれが全てですよね。

創設以来約90年間、大阪を代表してきたという歴史の長さが、大阪人に愛されている理由で間違いないでしょう。


対してオリックスの歴史。
「オリックス」という企業名が初めて付いたのは、阪急から球団を買収した1989年シーズンから。
「オリックス・ブレーブス」から「オリックス・ブルーウェーブ」に改称したのが1991年。この年に本拠地を西宮市(阪急の本拠地も西宮だった)から神戸市に移転しています。

そして球界再編により、大阪近鉄バファローズを吸収合併し、「オリックス・バファローズ」として始動したのが2005年シーズン。本拠地を大阪ドーム(2006年から「京セラドーム大阪」に改称)に定めたのはこの年からです。

近鉄はというと、大阪市の大阪ドームを本拠地としたのは1997年からで、それまでは大阪の郊外である、藤井寺市藤井寺球場を使用していました。


なので、そもそも大阪市内に進出してきた歴史が浅いんですね。
「大阪」の球団を代表するには、阪神に比べると歴史の厚みがまるで違います。


おわりに

いろいろと情報を並べましたが、両球団の大阪での人気の違いは、簡単に言うと大阪における歴史の長さの違いですね。
やはり、いくら兵庫県にあろうとも、阪神は大阪人のものだと昔から決まっているんですね。

これに関しては、電鉄会社の歴史にもかかわるテーマだとも思うので、今度は電鉄会社の視点でも何か記事に出来たらなと思います。


とにもかくにも、辿ってきた歴史から見て、互いに「大阪府」と「兵庫県」という2つの県に大きく関わっている球団である、阪神とオリックス。

11月23日には、優勝パレードを2球団合同で、神戸・三宮と大阪・御堂筋で同時開催するそうです(神戸は午前が阪神、午後がオリックス、大阪は午前がオリックス、午後が阪神)。

なんにせよ関西が一体となって盛り上がる事はいいことですもんね。
この日は人とお金がたくさん動くでしょうね。


どちらかの熱狂的なファンではないからこそ言えることですが、今年の日本シリーズ、両チームにはただただ熱い試合、記憶に残る試合をしてほしいなと思います!

それでは、また!


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