ずっと駅の近くに住んでいたので、
通学や通勤でバスを使うことはほとんどなかった。

去年引っ越した家は最寄り駅までちょっと遠いが
バスがやたらと充実したエリアなので
朝晩バスに乗るようになった。

バス停にはたくさんのダンサーがいることに気づいた。

タクシーを停めるような感じで歩道から身をのりだし
今か今かとバスを待つ。左足に重心をのせて、右足を浮かせて、
少し背伸びするようなポーズで道の先をじっと眺める。
待ち焦がれる表情は、まるで恋する乙女のようだ。

そもそも
バスは時刻表どおりに来ることなんてめったにない。
まだかなー、遅いなー、早くきてー。
ゆらゆらと踊るおばちゃん。(たまに、おじさん)。
動物ドキュメンタリー番組でみた求愛ダンスのような光景。

3人くらいが同時にゆらゆらしてるのに遭遇すると嬉しくなる。
その想いが、願いが、きょうもバスを走らせているのだ！
と思わずにはいられないような恋ダンス。(バス停限定公演)

あ！バスが見えた！その瞬間、バスダンスはおしまい。