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給料日。

4ヶ月分の歩合料が
まとめて振り込まれた
銀行口座を見て
思わず笑みが溢れる。

ああ、頑張った…。
とても。

何もできなくて
ただの勉強代にすぎなかった
初任給よりも

スキル以上の
高待遇を与えてくれる
大手企業の
ボーナスよりも

ただ心身を消耗しながら
稼ぎ続けた
業務委託費よりも

何よりも嬉しくて
何よりも幸せだ。

たった十数万。
されど十数万。

これまでの
苦しみが
虚しさが
全て癒されていく。
溶け出していく。

引き落とした1万円を
財布に入れて
向かう先は
行きつけのマッサージ店だ。

勤め先のサロンじゃないのかと
そこはツッコミを入れるところだけれど

敢えて
今行きたいと思う場所へ
行かなければと思ったのだ。

オイルマッサージ60分
8000円。

これを払えば満足のいく成果は
得られるのだろうか?

いつもそうやって
お金を使うことに
見返りばかり求めていた
あの頃の私は消えて

満ち足りた
自分がそこにはいて

ただただ
嬉しくて

あぁ、私は
またひとつ自由になったのだ

過去の囚われから
自由になったのだと

その喜びを涙とともに
噛み締めるのみ。

さて、来月は
あの子を誘って
ご飯にでも行こうか。

そんなことを
思いめぐらせながら
駅へと向かう足取りは
軽やかだ。


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