【BtoBマーケ実務】Salesforce Pardotを導入するまでの話(設計編)

2014年の秋、Dreamforce(Salesforceが主催するビジネスカンファレンス)から帰ってきた社長が「Pardotすごい Pardotいれよう」と言い出しました。

この記事はPardot(MA)の導入にあたってどんな仕事が発生したかという個人的な記録です。おなじ境遇に立たされている人、もしくは自分または他人を同様の境遇に叩き込むことを検討している人の参考になれば幸いです。

Pardot is 何

Pardotとは、Salesforceが提供するMAです。

MA is 何

MA(マーケティングオートメーション)とは、デジタルマーケティングにおけるクソダルい単純作業を代わりにやってくれるツールです。ダルすぎて人がやらないような作業もやらせることができます。

というのはざっくりすぎるのでもうちょっと言うと

・トラッキング…ユーザーひとりひとりを識別し、把握できる範囲内でオンライン活動(ウェブサイトの閲覧、資料ダウンロード、メールの開封、動画の閲覧など)を記録する

・パーソナライゼーション…トラッキング+他のデータソースを通じて、ひとりひとりのユーザーに対する扱いを変える

・アクション…決められたルールにもとづき、メール送る・通知送る・表示される情報を変える・人にタスクをふるなどして施策を実行する

みたいな機能がコアです。

当時はハイエンド層向けにEloquaがあり、MarketoとHubspotは日本法人がまだないものの現地法人とコンタクト取るか代理店を通せば導入できなくもないという感じだったかなという認識です。Pardotも似た感じだと思います。

導入に伴い発生するタスク

ベンダーさんにお話を聞き、導入に際しざっくりどのようなタスクが出るのかが分かりました。

まず大前提として、トラッキング対象のWebサイトにトラッキング用のタグを埋め込む作業が発生します。
当時はまだGoogleタグマネージャーが導入されておらず、タグはHTMLに直書きというワイルドな運用でした。とはいえWebサイトの規模がそこまで大きくなかったので、一括置換でどうにでもなるという感じです。導入後の検証をしっかりやればいいだけのライトなタスクです。

次に、MAで扱うユーザー項目の設計を行う必要があります。

MAは単体でも使えなくはないんですが、SFA(Sales force Automation)とくっつけて使うことでSFAのデータをMA上で使えたりMAで取得したデータをSFAに受け渡したりといった使い方ができるので、基本的にはSFAと連携して使います。

MA上でどのような施策を実行するかによって、取得する項目・つなぐべきデータが異なるので、SFA上のどのデータをMAに受け渡すか・MAでどんなデータを取得してSFAに反映するかを決める前に、「MAで何やりたいんだっけ?」というところを最低限固める必要があります。

SFA導入時の経験が「これをマーケだけで暫定的に決めると後々面倒なことになりそうだぞ…」とささやいてきたので、営業にかかわる人たちを集めてみんなの信じる勝ちパターンのイメージ固めて、勝ちパターンに乗るサポートをするためにできそうな施策や使いそうな項目をピックアップすることにしました。

ファーストステップ:理想を語る

まず、最初に行ったのは「みんなで理想を語る」という作業でした。

「理想を語る」というのはどういうことかというと、営業活動に携わる人たちみんなで「こんなお客さんが取れたらいいなあ」「こんな風に仕事が回ってきたら幸せだなあ」という理想像を作って、共有するということです。

とはいえ、自由にやると

・「電話をかけたら怒られる」みたいな架電リストは嫌だ(テレアポチーム)
・電話かけまくってウザがられるのがつらい。でも自然消滅するのはもっとつらい(インサイドセールス)
・せっかく作ったリストが放置され、無駄になってゆくのに虚無を感じる(マーケ)
・意味不明なリストにアプローチしてる暇があったら営業資料作りたいし、外出もしたい(フィールドセールス)

みたいな感じで虚無と悪夢と呪詛によりギスギスする時間になってしまう(実際になりかけていた)ので、あんまり不満とかは言わず、むしろ

・○○社さんはこういうきっかけでサービスに興味を持ってくれたね
・××社の案件が取れたのは、事前にこういうことが分かってたからだよね
・早めに△△してくれるかどうかで担当者の本気度がわかるよね

みたいな「幸せだった案件思い出しトーク」みたいなのが荒れなくてよかったし、施策につなげやすかったように思います。
※今更ですが、メインの商材はBtoB向けWebサービスです

セカンドステップ:勝ちパターンの合意を取る

一通り思い出しトークが終わるころには、ざっくりと「勝ちパターン」みたいなものが見えてきます。これをまとめて、今やっていることと、もうちょっと頑張りたいことを表にまとめ、営業にかかわる人たちみんなで「まあ変じゃないね」くらいの「ファースト勝ちパターン」に関する合意形成をしておきます。

この「ファースト勝ちパターン」はそこまで外してないけど最適解とも呼べないという薄クオリティでした。とはいえ、施策がはまるかどうかは実際にやってみないと分からないので、最初からど真ん中の正解取るぞ~と意気込むと運用がつらいと思います。むしろ、納得感が薄くて合意が取れない方が後々やばい事態を引き起こすのでは?と思いました。

サードステップ:施策の優先順位を決める

勝ちパターンに乗るためにMAでできそうなこと、できたら嬉しいものなどのアイディアをどんどん出して、下記のような要素で優先順位をつけます。

・たくさんのユーザーに届くもの
・コンバージョンに不可欠な要素を届けられるもの
・今できてなくて、ボトルネックを改善する力が強そうなもの

いろんな要素がありますが、個人的に一番重要なのは「たくさんの人に届く施策」だと思います。というか、自動化の強みは「メール1通送るのも10000通送るのも同じ」という点だと思うので…。

で、現実味のある施策をひととおり実行できるように項目を設計しようねという話になりました。ここからは実際に手を動かして、構想が実行できるような設定を施していきます。

というわけで、ここまでが設計の段階です。実装は実装でクソだるかったので記事を分けて書こうと思います。