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2023年11月17日付経済教室 診療・介護報酬改定の課題(下) 薬剤、「費用対効果」評価を徹底

高額な薬剤が開発され、さらに高齢化も相まって薬剤費の高騰が懸念されている。 19年に薬価と費用対効果評価制度が導入され、費用対効果に問題がある薬剤は価格が引き下げられることとなった。 日本の費用対効果制度の課題について「諸外国に比べ価格調整幅が少ないこと、現場での適正な医薬品選択や使用に十分反映されていないこと」を筆者は指摘する。 筆者は費用対効果の評価結果を医療現場での医薬品の効率的な利用に反映させる方法を提案する。 第一に各臨床学会が発行する診療ガイドの中に費用対効果の評

    • 診療・介護報酬改定の課題(中) 制度の枠越えた資源配分を

      筆者は診療報酬改定の課題を2つ取り上げる。一つ目は医療と介護の連携の課題だ。医療と介護がお互いに影響を及ぼすことは少なくない。高価だがよりよい医薬サービスが健康を増進し、結果介護サービスの費用を抑える場合がある。レカネマブという認知症の進行を遅らせる医薬品が開発された。医薬品は医療費で支払われるが、認知症の進行を遅らせることにより、将来の介護費用を削減できる可能性がある。 経済学では市場の生産や消費が他の市場に効果を及ぼすが、対価を払ったり得られたりしないことを外部効果という

      • 2023年11月15日付経済教室 診療・介護報酬改定の課題(上) 人材確保へ引き上げ不可避

        2024年度は保険診療の診療報酬と介護保険の介護報酬の同時改定が行われる。 22年度以降物価や人件費が高騰している。診療団体もコストの増加に対応して診療報酬の引き上げを求めている。「全産業での賃上げの動きや他産業との給与格差を背景とする介護職員や看護補助者の慢性的不足、医師の働き方改革などに直面する24年度は、適切な賃上げとそのための安定的な財源が必要である。」と筆者は指摘する。 また介護保険制度は高齢化社会の日本にとって不可欠な制度である。介護を取り巻く最大の課題は介護人材

        • 2023年11月14日経済教室 賃金の硬直制打破が重要

          海外では物価が上がり金利が上昇している。一方日本では賃金や物価が上がらず金融政策も緩和が続いている。この違いがマクロ経済にどのような影響を与えるか検討する。 日本は賃金が上がりにくいという上方硬直性が指摘されている。 名目賃金に上方硬直性があり上限がある場合、実質賃金に上限が生じる。名目賃金が人手不足を反映した形で十分上がらない場合は、経済は供給不足が生じる。需要がどれだけ大きくても供給側の要因で労働量が制限され、経済全体の生産量が左右される。 この状態で物価が上がると、人手

        2023年11月17日付経済教室 診療・介護報酬改定の課題(下) 薬剤、「費用対効果」評価を徹底

        • 診療・介護報酬改定の課題(中) 制度の枠越えた資源配分を

        • 2023年11月15日付経済教室 診療・介護報酬改定の課題(上) 人材確保へ引き上げ不可避

        • 2023年11月14日経済教室 賃金の硬直制打破が重要

          2023年11月10日付経済教室米中対立の行方(下) 米の人権外交、問われる真価

          11月中旬のAPECに合わせた米中首脳会談実施の機運が高まっている。 米国が米中関係の改善に積極的になっている理由は中東情勢の悪化だ。 ロシアとウクライナの戦争に加え、ハマスがイスラエルを攻撃し、大規模な戦闘が続いている。これに中国の対立が深まると米国は3つを対応しなければならなくなるからだ。 米国は中東での中国の役割に期待している面もあると筆者は指摘する。中国も中東において調停者として振る舞っている。中東での世論調査によると中国は米国よりも好感度が高いという。 前回の米中首

          2023年11月10日付経済教室米中対立の行方(下) 米の人権外交、問われる真価

          2023年11月9日付経済教室米中対立の行方(中) 「戦狼外交」との関係管理 難題

          中国の描く世界の対立軸は先進国対非先進国であり、中国は非先進国の代表であろうとしていると筆者は指摘する。 中国の対外政策の主軸は長期的な米国との競争におかれる。ウクライナ戦争やパレスチナ問題ももこの軸で対処される。 また習政権の対外政策は国内統治と深く結びついている。 米国は中国との関係を競争を軸とした政策に転換した。中国への制度面、原則面での歩み寄りは想定し難い。ただし関係を管理しようとしている。 日本のとるべき姿勢として「対米・先進国協調は前提としても、他方で「競争」が激

          2023年11月9日付経済教室米中対立の行方(中) 「戦狼外交」との関係管理 難題

          2023年11月8日付経済教室米中対立の行方(上) 米、「二正面作戦」に対応可能

          米国はウクライナの支援と台湾防衛の両方を同時に対応できるか?共和党の外交政策担当者と外交政策分析官の間ではできないと答える人が増えている。一方筆者はその考えは間違いであると主張する。 台湾防衛のためにウクライナを放棄すべきと考える人は、米国の軍事力低下により二者択一しなければならないと考えている。筆者はこの仮説は誤りであり、米国は依然として超大国であると指摘する。軍事力でも、技術力でも、経済力でも依然とした中国とはまだ大きな差がある。 またウクライナの支援を米国が放棄し、その

          2023年11月8日付経済教室米中対立の行方(上) 米、「二正面作戦」に対応可能

          NTT法改正の論点(下) なお存在意義、廃止は不適切

          NTT法を巡る議論が山場を迎えている。筆者は(1)ユニバーサルサービスの確保(2)公正競争の確保(3)経済安全保障の確保の3点に分けて解説している。 ユニバーサルサービスの確保であるが、NTTは前身の電電公社の資産を引き継いで業務をしているので質の高いサービスを公平に提供するという公共的な役割が期待される。 公正競争の確保だが、通信の競争政策は電気通信事業法のNTT法が両輪となっている。通信の競争は料金だけでなく設備面での競争も公正さが担保されていなければならない。NTT法が

          NTT法改正の論点(下) なお存在意義、廃止は不適切

          2023年11月6日付経済教室 NTT法改正の論点(上) 通信政策の将来像設計、先決

          電気通信事業法は通信サービスの効率的かつ安定的な供給を通じて国民の利便を確保することを目的としている。公正な競争がその手段であることを明記し、事業者が守るべき規律を規定している。 一方NTT法は通信市場のキープレイヤーである、NTT持株会社とNTT東日本、NTT西日本のそれぞれの役割と責務に関する規定とこの3社にのみ適用される特別な法律を定めている。「ダイナミックな環境変化の下で政策目的を常に見直し、電気通信事業法とNTT法のより良い形や機能を模索し続けることは通信行政にとっ

          2023年11月6日付経済教室 NTT法改正の論点(上) 通信政策の将来像設計、先決

          2023年11月3日付経済教室認知症700万人時代に備える(下) 医療福祉と企業の連携カギ

          2023年には認知症基本法が施行され、新治療薬レカネマブも承認された。この法律は、認知症患者の意思決定支援と権利保護を国や自治体の役割として明記しており、認知症患者が社会に包摂されることを目指している。この背景には、認知症による判断力低下が社会生活に与える影響があるす。例えば、金融取引では高齢者が自律的に生活するためには、取引に必要な意思決定能力の客観的な評価が重要である。このために筆者らは、意思決定能力の低下を考慮した民法の研究会を立ち上げ、金融機関での適切な取引のためのア

          2023年11月3日付経済教室認知症700万人時代に備える(下) 医療福祉と企業の連携カギ

          認知症700万人時代に備える(上) 高齢者視点の製品開発必須

          2025年には認知症患者は700万人に及ぶと推計されている。 軽度の身体機能や認知機能の低下低下は的確な人的サービスや簡単なテクノロジーを利用することでそれまでの生活を維持できる可能性があると筆者は指摘する。 そのためには当事者が認知症が始まる前にテクノロジーに慣れておく必要があるという。またメーカーはデザインを頻繁に変えないことや高齢者に受け入れやすい機能やデザインにするなどの姿勢が求められる。 23年9月にアルツハイマー病の新しい治療薬レカネマブの製造販売が承認されるなど

          認知症700万人時代に備える(上) 高齢者視点の製品開発必須

          イノベーションを生む土壌(下) 組織は従業員に「余裕」を

          イノベーションを生む土壌を備えた企業とはアイデアの創出とその実装の促進要因を備えた企業であると筆者は指摘する。 その要因として代表的なものとして以下をあげている。 -個人の特性として新しい経験を好むパーソナリティである経験への解放性 -個人、チームのネットワーク -チームにおけるリーダーの役割(メンバーの支援に積極的、ビジョンを共有) -チームのタスク志向 -メンバーの多様性 -組織スラック(財務的資源、人的資源の余剰) 組織スラックが多い企業ほどイノベーションに資金や人員

          イノベーションを生む土壌(下) 組織は従業員に「余裕」を

          2023年10月31日付経済イノベーションを生む土壌(上) 社会課題解決の先頭に立て

          イノベーションとは社会に経済的価値を生み出す革新である。新しい知識を生み出す活動とそれを経済的価値に変換するために必要な資源を社会から集めることがイノベーション実現の両輪であると筆者は指摘する。 ビジネスは顧客の困りごとの解決のためにある。イノベーションはそれ自体が目的ではない。より良い社会実現のために、現在の課題を解決するものとしてイノベーションが必要となる。 政府がイノベーション実現を目的に掲げているがそれは本来おかしいと筆者は指摘する。イノベーションを通じて実現される未

          2023年10月31日付経済イノベーションを生む土壌(上) 社会課題解決の先頭に立て

          2023年10月30日付経済教室少子化対策、何ができるか(下) 「出産は損」の現状 是正急げ

          少子化が止まらない。筆者は女性が望む雇用改革が不十分と主張する。 まず男性の無限定正社員という働き方が問題と指摘する。女性が男性と同様に昇進するには無限定な働き方が前提となるからだ。 若者の不安の現状を踏まえた改革が必要と筆者は指摘する。若い女性にだけ育児負担がのしかかり、仕事を失うリスクが上がり、低賃金パートに転じやすくなる現状がある。 筆者は具体的な対応として以下を挙げる。 在宅勤務を含む柔軟な働き方を認め、無限定社員を優遇する人事制度をやめる。 有配偶者の夫の配偶者手当

          2023年10月30日付経済教室少子化対策、何ができるか(下) 「出産は損」の現状 是正急げ

          タスク管理が苦手な上司・部下向け!元リクルートKPIスペシャリストがコツを教えます【マネジメント】【中尾隆一郎 #6】

          生産性を上げるには Todoリストを作るだけでは不十分で工数管理が必要 タスクは15分単位で管理 タスクを細かくすれば、スキマ時間にいれられる。 ポイントはスキマ時間に15分の仕事をいくついれられるか 手順としては、1️⃣Todoリストをつくる、2️⃣スケジューラーにいれる これで今日どれくらいの仕事ができるかわかる 重要な仕事がはいってきたら、タスクをずらす Todoリストでやらなくていい仕事があればやらない。 タスク管理術 GーPOP Goal ゴール Pre 準

          タスク管理が苦手な上司・部下向け!元リクルートKPIスペシャリストがコツを教えます【マネジメント】【中尾隆一郎 #6】

          クロールが進むメカニズム

          3つのNG ❌腕を回す時に手を意識する 肩を動かす意識で腕を回す うでの末端は意識しない 根本を意識する ❌ローリングを肩を意識して行う 無理やりローリングさせない 中心線がずれないように意識 そのために腰を回すような意識 腰がわかりにくい場合は体をコースロープの方に向けるイメージ ❌力いっぱい手をかく 力を入れるのは手が6時から8時の間を動く時だけ 力を抜けば抜くほど進む まずは一旦全て力を抜いて泳ぐ 意識すること まず浮くこと 抵抗を減らすこと

          クロールが進むメカニズム