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わたしの小さな胸

唐突だが、わたしの胸は小さい。学生の頃、男子が大きい胸がいいだのなんだの言っている中で、テレビでは胸元を大きく出したセクシーなタレントが沢山いるのを見るわたしは、わたしは日本社会のマーケットからは必要とされていないんだ。わたしと付き合いたい人はいないだろう。結婚したい人もいないだろう、とずっとずっと思い込んできた。自分のことを男なのかもしれないとすら思ってきた。生理がきたのは確か14歳のときだったし、一向に成長しない胸を見ては、それを隠すためにわたしの猫背は加速していった。

昨日彼氏から、"もしかしてあなたは、あなたの胸が小さいことで悩んでいるから、自分のことを男だと思ったりしてしまうんじゃないの?"という言葉をもらって、わたしは忘れかけていた、小さき胸へのコンプレックスを思い出したのである。彼氏はいつも確信を探し当ててくれる。わたしはこれに向き合えなかったら、わたしは男なのかもしれない、一生結婚できないのかもしれない、という呪いから逃れることができなかっただろう。

今日の朝、仕事に向かう途中、車の中で大泣きした。とてつもなく悲しかった。自分で自分をそんな風に抑えつけてしまっていたことすら忘れてしまっていた。もしかしたらわたしの胸は彼氏を喜ばせてあげられていないんじゃないかと悲しくなった。でも昨日、彼氏は言った。"あなたの胸は男性のためにあるんじゃない。本来は赤ちゃんに乳をあげるためでしょう?"と。本当にその通りなんだけど、きっとこの社会は何かずれすぎていて、それに皆当たり前のように流されて生きているんだと思った。わたしは、最高で最強の彼氏に出会えたんだと思った。人生で初めての経験だ。

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