「人間1年目か?」と言われたくない

 人と接する時の話である。カードゲームうんぬんの話ではないような気がするこの話。自分もご高説を垂れるほどノウハウがあるわけではない。ただし対面していても、話をしていても「人間1年目か?」という感想を抱いてしまうことがある。初対面の人と遊んだり、対戦したりする機会が多い遊びであるカードゲーム。齟齬が生じないように問われるコミュニケーション能力は高い遊びのはずなのになかなかどうして。真に高い人はこの遊びから解脱しているのかもしれない、と思うところもあるが、反面教師として学ぶことで自分自身に落とし込んでいかなければならない。別に何かしら悪いことをしているわけではないが、「なんだかな」とやや眉をひそめたくなることがある。
 
●話すタイミング
 そもそも、相手は自分と話をする姿勢なんだろうか。他愛もない話もできるのか。友人と待ち合わせ中で、合流した時の邪魔になるんじゃなかろうか。時と場合を見極めよう。対戦前後の会話が成立するのであればそこがベストであろう。そのタイミングでSNSのアカウントを訊ねられると自分としては嬉しい。いや、嬉しいと思えるような人から尋ねられただけなんだろうか。これが「ん?」と引っかかる人から訊かれたらどうするか。おそらく減るものではないし、なんだかんだ教えてしまう。
 
●声の大きさ
 やけにでかい、やけに小さい人がいる。その場にふさわしいボリュームを見極めなければならない。またその人との物理的距離つまり近い・遠いも考慮しなければならない。そのつまみが合わせられなければ、ただただ不快感をあたえる。書いていて何故か虚しい気持ちになってきた。なんてあたり前のことなんだろう。舞台の上から多くの観客に届けるようなシチュエーションではない限り、腹式呼吸・発声は必要ない。私の場合、笑い声が大きくなってしまうので注意している。笑いもリアクションのひとつではあるが、それも過度であれば気になってしまう人もいるはずと思い気を付けている。
 
●話すスピード
 早すぎず、遅すぎず。聞き手への配慮は必要だ。何が言っているかわからなければ愛想笑いしかできない。意外と自分の話すスピードというのはわからないものである。ちなみに私はテンションが上がると早口になってしまう傾向があるので気を付けている。完全に早口オタクである。録音して聞いてみるのもおすすめする。初めは自身の肉声への恥ずかしさに身もだえするかもしれない。自己嫌悪に苛まれつつ、自身の特徴をつかむには客観視しかない。
 
●仕草
 表情・目線・手の動き・くせなど多岐に渡るだろう。私自身、人の目を見て話すのが得意とは言い切れない。相手の首あたりと顔を交互に見ている。じっと見つめながら話すのは苦手だが、じっと見つめて聞くことはある。真摯に聴く姿勢のアピールの一環かもしれない。相槌もあるがここまで来ると「聞き手」の要素だろう。悪癖があれば見直すべきだ。頬杖・貧乏ゆすり・無意味な舌打ちなど…。自身の立ち振る舞いは定期的に見直すべきだ。
 
●その人との距離感
 これは精神的な距離の話だ。仲良し度といったところか。初対面か、SNSで絡んだことがあるか、先週の公認大会でマッチングしたのか。どちらにせよ相手のこちらの認知度は不明だ。一方的にこちらが知っているという可能性だってあり、声をかけても「えーっと…」なんて反応もざらである。やはり挨拶・自己紹介を交えつつ話すのが吉だろう。私自身、人の顔を覚えるのが苦手だ。1回会っただけでハンドルネームと顔を結びつけるのは難しい。使ったデッキやサプライなどの情報が強く残る場合もあり、「あっ!先週の〇〇デッキの人ですね!」なんてこともしばしば。この認証システムがいいことなのか悪いことなのかは微妙なラインかもしれない。
 また、こちらは一方的に好感をもっているが、悲しいかな相手も同様とは限らない。そこは見極める必要がある。相手の間合いを勘ぐるべきだ。「相手が一歩引く」感覚の行間を読まなければならない。ある程度社会性のある人間であれば「お前、嫌い」なんてことは面をむかって言わない。ある程度の愛想笑いと社交辞令を交えながら、やんわりと断る。合わない人間に無理やり合わせる必要もない。会釈と挨拶ぐらい、友達の友達ぐらいの距離感でもいいのだ。そこを無視してぐっと詰めるからよくない。ただ、自己肯定感低く「あの人も自分へ好印象をもっていないかもしれない…」と疑心暗鬼になるとまったくコミュニケーションはとれない。ある程度の割りきりと覚悟、それと引き際さえ弁えればそれでいいのかもしれない。それができないから困っている。いや本当に弁えてほしい人はそこにすら気付いていないのかもしれない。
 
●話題
 せっかく同じ趣味を持っているのだから、そんな話題から入ればいい。パーソナリティに踏み込んだ内容などはご法度である。べらべらと自分語りもよくはない。会話はラリーであり、ターン制である。訊かれた内容に少し自己開示も交えながら、同じ内容を尋ねるといいかもしれない。杓子定規になると堅苦しい印象になってしまうが、短いクエスチョンに自身の情報を少し入れた答えと「あなたはどうです?」ぐらいに軽く返すのが差し障りのない会話だろう。自己開示は相手が自身の情報を話しやすくなる手法である。相手のバックボーンを知りたいのであれば、まずは自身の話をする。
 
 これらの要素が総合的、相乗的にあなたの「コミュニケーション」を印象付ける。残念ながら何か1つを改善すれば目に見えて良くなる…なんてことはないだろうが、そこからドミノ倒しのように内省が続いていくことだろう。点と点が結びきついてくことでいい方向には向くはずだ。改めて断っておくが「無理なものは無理」なのである。「生理的に無理」という言葉がある。そこを紐解いていくとおそらく上記の項目に振り分けられる原因はあるだろうが、住む池が違うと割り切るのも大事だろう。自身が住み良い池や沼が存在するはずだ。しかし最低限のことはやはり配慮・考慮すべきだろう。頼むからしてほしい。

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