イカサマとむかいあう

 あまり気持ちがいい話題ではない。最近、そういう場面を目にする耳にすることがあり書き留めようと思う。今回は「イカサマ」を「公式のルールで警告もしくは失格の処分が出る行為」と定義する。積み込みや複数枚のドローのような小手先のインチキ行為はもちろんのこと、盤外戦術なんて言うのはおこがましい煽りや遅延行為も含む。公式によって微妙な差異はあるかもしれないが、問題視される行為は上記の通りだろう。
 
 イカサマとどうむかいあうか。結論から述べれば「自衛」と「排除」しかないだろう。「自衛」は我々プレイヤーができることである。嫌な話だが、ある程度対面を監視しなければならない。例えば、積み込みの話。シャッフル方法が一種の場合はやはり疑わしい。あらかじめ山札の順番を整理したのち、ディールシャッフルをすると初手の手札の内容を操作することができる。重要なのはシャッフルと種類の方法だ。ディールシャッフルを7分け、3分けと2回やったところで、これも手札内容を操作することができる。相互シャッフルで未然にイカサマを防ぐことはできるが、ゲーム進行中だと山札を3分けして順番を入れ替えるような簡単なシャッフルをすることもある。私の場合、2種類のシャッフルを3回行う。ファロー(中入れ)→ディール→ファローと行っている。「私はイカサマなんてしていませんよ~」なんていう暗黙のメッセージをこめたパフォーマンスの一環でもある。その行為をしていないとなれば、申し訳ないが疑惑の念を抱かれてもしかたない。ではどうするか。
 
 まずはプレイヤー間のやりとりのレベルだろう。つまり指摘するのである。気になった時に言う。現地で言う。これを心がけてほしい。試合後にいくら言ってもまさに後の祭り。誰にもどうしようもないのである。無実のプレイヤーを陥れる行為にもなりえることを頭の片隅に置いておかなければならない。少しでも気になることがあればそのノイズをその場で解決しなければならない。もしプレイヤー間で改善・解決ができない場合、次のステップである。
 
 ジャッジや運営スタッフ、係員を呼ぼう。記述する関係上、今回はまとめてジャッジと呼称する。状況説明をし、ジャッジの指示を仰ごう。そこでジャッジが状況を公平に判断し裁定を下す。正しく理解しなければならないのは、ジャッジの立ち位置である。ジャッジは判決を下し量刑を決める司法機能が主の役割ではない。誤ったゲーム進行を正常な内容に修復し、ゲームを続行させることが役割である。「対戦相手がディールシャッフルしかしません。こっちがファローしてくれといってもしてくれません。警告を出してください」というジャッジへの状況説明はお門違いである。この例であれば、ジャッジは状況を聴いたのち、「では第3者の私がシャッフルしますね、お二人とも異議はありませんか?」という一種の対応もあるだろう。もしそれに従わないのであればジャッジと対戦相手の話し合いを見守るしかない。ルールでは「ジャッジの指示には従うように」という一文があるタイトルがほとんどである。従えない、つまり盤面修復や健全なゲーム内容に戻すための行動に非協力的な場合、ここでやっと司法的な側面が出てくる。警告や失格の話だ。話がそれるがもし万が一、呼んだジャッジと対戦相手が食い違い、ジャッジが「指示に従えないんですね…仕方ないですね。そのまま進めましょう」なんて言った時には「上告」をしよう。大会規模にもよるが大型イベントには呼称は様々だが「マスタージャッジ」が存在する。ジャッジの裁定に不服な場合、上位ジャッジに判断してほしい訴えることができるのだ。そこでまたゲームが再開できるように動いてくれる。この制度があるかどうか、大型イベントに参加の際はぜひ確認していただきたい。この流れは煽り・遅延行為に対面しても同様である。少しでも「ん?」とひっかかることがあれば指摘し、相手の改善が見られない場合第3者を介入させる。この一連の流れを徹底してほしい。
 
 これまでが「自衛」にまつわることである。自身がイカサマを疑われないための自衛もあるが、今回は相手にイカサマをされないための自衛である。では「排除」とは何か。店舗での中型イベントや公認大会では問題解決してくれるようなジャッジが存在しない場合がある。ではどうするか。最近、一部のタイトルでは参加者にIDをひもづけ参加申請などを管理しているところもある。面倒かもしれないが、もし何かあった時はこのIDを控えて、公式に問い合わせ・報告してほしい。ただ、陥れるような行為である可能性も公式は完全に否定しきれないため、そのまま即アカウント削除・IDはく奪までにはならないだろう。しかし、公式が目をつけることができる。今後の公式イベントに参加する際、要チェック人物として監視対象になりうるのだ。公式がどこまで対応してくれるのか、やや不安になるがここは信じるしかない。このひと手間がより快適なゲーム環境の構築の礎となるはずだ。イカサマ野郎が許されて幅を利かせるなんて、許される道理はない。
 
 番外編だが、第3者として目撃した場合はぜひタレコミをしてほしい。私が実際目撃したのはデッキの順番を入れ替えている場面・カードを入れ替えてデッキの内容を変更している場面・大会中なのに後ろで何かささやく人物がいる場面である。実際ジャッジが目撃したわけではないので、ジャッジに何かを求めるのはできない。ただ、ジャッジの耳に入れておくのが目的なのだ。せっかく参加している大会、勝ち負けではなく気持ちよく真剣勝負をしたい。ジャッジが目を光らせてくれているだけでありがたい。大会中の再発防止だけで十分なのである。許せないという義憤に駆られるのは大いにわかるが、そこは冷静な観点を持ち続けなければならない。

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