巻き戻し認める?認めない?

 ポケカ界隈から流れてきた話題もとい今回の学級会のテーマ。チラシの裏と自負しているのでここで自身のスタンスの確認も兼ねて取り留めなく書いていく。
 巻き戻しとは、対戦中に1度行ったプレイをないことにして別のアクションをすることである。現在ポケモンカードの公認大会である「ジムバトル」で配られるプロモパックには買取3000円がつくカードが収録されている。ジムバトルはそれ目当てににわかに盛り上がり参加者は急増、こうしたトラブルが軋轢として浮かんできた。SNSでは「少しぐらいは巻き戻ししてもいいのに…」「真剣勝負をしたいからそれはなし」など賛否両論。ガチ勢・エンジョイ勢と話題は波及していった。
 ここからは私自身の話である。私の場合はどうか。それはケースバイケースである。店舗での公認大会のような規模では私は巻き戻しを認めるだろう。それは相手のデッキのベストな動きを知りたいからだ。対戦機会が十分にとれないと、私にとって公認大会が練習の場となることもある。より多くの動きを見たり、テキストの理解度が足りないカードの効果処理を体感したりしたい。ただし、それにもいくつかの条件がある。第一に、相手から申告することである。あくまでも伺いたてるのは相手のプレイヤーだ。そもそも相手のプレイに対戦中口を出すのは望ましくない。相手が「あっ、やっべ…」と独り言を漏らしても私はだんまりだ。「あの…」と声を掛けられればそこからはコミュニケーションだ。
 
 話はそれるが、認めない派の人でも軋轢を生まない物の言い方はあるだろう。ピシャリと厳しく言わなければいけない、なんてことはない。「いや~、今回は巻き戻しなしにしましょう」と柔和な言い回しをしても罰はあたるまい。何故、される側がそこまで気を回さなければならないんだ!と違和感を抱く人もいるだろう。わからないでもない言い分である。接待プレイをしている訳ではない。しかし同じタイトルで遊ぶ仲間、人情持って接したくなるのは私の性分なんだろう。できればお互い楽しく、和気藹々とした30分にしたい。そのための心配りは否定できようか。相手のプレイ歴もわからない、もしかしたら不安な中勇気をもって初めての公認大会の参加かもしれない。そんな背景を勝手に妄想すると憐憫の情が湧いてしまうし、「来てくれてありがとうな!このカードゲーム、楽しんでくれよな!」と心の中でサムズアップしてしまう。ええかっこしいなだけかもしれないが。
 
 話を元に戻す。第二に巻き戻す行動の間に別行動を挟まない場合だ。Aの行動をとったのちにデッキからカードを引く。そのカードを見たのちに「あ、やっぱAなしでBのプレイします」という具合だ。これは話が変わる。判断が変わる要素が絡んだのちの巻き戻しはゲーム性が成り立っていないように思えてしまう。「〇〇というカードを引けるならBの行動だけどデッキにはもう1枚しかないし…引き込まないルートを想定してAの行動を取るか…でもこの盤面だとどちらにしろ劣勢は変わらないし、勝つための行動は…」とあーでもないこーでもないと考えることが醍醐味のはずだ。ここが揺らぐのはゲームがおもしろくなくなる。「AとB、どっちにしよう…Aにしよう!…いややっぱりここはBで!」というのがここで想定している巻き戻しだ。それならわかる。結果それが正しいか正しくないかは両者わからない。しかしここで話題にしているケースはどっちに転んでも正解とさせようとする行動だ。どっちのリスクをとってどのリターンを得るか。ハイリスクハイリターン?ロウリスクロウリターン?そこを天秤にかけ、プレイしていくことがゲーム性のひとつではないだろうか。ここは認められない分水嶺となる。
 
 先述した通り、ケースバイケースである。今回の話題の発端になったポケカの場合、参加者には一律にプロモパックが1パック配布されるが優勝者にはプロモパックが3つと増える。そうなるとお目当てのカードが手に入りやすくなる。つまり公認大会規模でも勝つことのうま味が存在する。シビアに勝ちにこだわる理由があるのだ。そうなると私も話は変わってしまう。これは中型~大型イベントで勝ちにこだわるシーンと同じだろうか。「ならお前はプロモカードの価値によって手のひらを返すのか?」と問いただされれば閉口してしまう。勝ちにこだわるのがプロモカードだろうが、大型大会の出場権だろうが、真剣勝負になる理由は様々である。プレイヤーの中にはそういった要素関係なしに真剣勝負を楽しむために参加している人もいるだろう。スタンスは人それぞれである、と言い訳をしておく。
 
 これまでは「巻き戻しされた側」の視点である。では「巻き戻しする側」の視点ではどうだろうか。私の場合、店舗での公認大会の規模でも「巻き戻し」の申し出はしない。手なりでプレイしていようが熟考した先のプレイだろうが、その手をチョイスしたのは自分である。うっかりのようなケアレスミスも含めてミスはミスである。ここで「しまった!」と顔から火がでる思いをしてこそ意味がある。痛みを伴わない自戒などありえない。自分自身の未熟と向かい合ういい機会となったと前向きに捉えるべきだ。ここでの学びを本当に負けたくないゲームに活かす。また、とあるプレイヤーから「巻き戻し」の申し出を受け入れられたからとはいえ、それが当たり前ではないことを重々に承知すべきだ。当然だが、あくまでも私個人の見解である。大多数のプレイヤーが同じというわけではない。

 肝心なのはコミュニケーションをしっかりと取ることだ。「巻き戻し」を拒否されたからと言ってふてくされるでもなく、「巻き戻し」を申し出されたとはいえ辟易とした態度を取るでもなく、互いにそれらのノイズを起こさないようなやり取りをし、歩み寄る姿勢を持つべきだと私は考える。せっかく同じカードゲームを遊ぶんだから。
 
 ここまでの意見をエラーなく140字で出力する自信は私にはない。ここまで述べても説明しきれていない部分があるかもしれない。そうやって石橋を叩いて渡るように考慮した上でまとめているつもりの文章と内容を、短いセンテンスの複数回のやりとりでわかり合おうというのが無理な話である。いや、わかりあおうとしている認識自体が間違いかもしれない。

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