すえちゃんの推し馬琴先生の意外な人物像:歴史ホームドラマ「曲亭の家」


著:西條奈
出版:角川春樹事務所
文庫/電子版あり

 小説「曲亭の家」は、10日ぐらいに前に図書館で、ひょいと題名もよくみないで借りた本。西條奈加さんの作品をなにか、と思い選んだら、なんと曲亭馬琴の家に嫁いだ女性が主人公の歴史(ホームドラマ)小説でした。

 なんというシンクロニシティ! 何度も私はNHK朝どら「らんまん」の寿恵子さんポジティブ・マインドとスピ的才能「引き寄せの法則」マスターぶりについて書いていたので、引き寄せたのかもしれません。読み始めて、初めて曲亭馬琴家の話なんだ、と、タイトル見直したら、そのまんまのタイトルでした。

 あれだけすえちゃんが尊敬していた馬琴先生、ですが、その裏にはこんな家族ドラマがあったのかと、とても面白かったです。葛飾北斎しかり、江戸時代の絵描き、物書きさんたちの並外れた生活力ない、奔放わがまま芸術家ぷりはいろいろ知られていますが、馬琴先生も武士の家出身という出自もあり、武士気質、相当のワンマン、執筆に関わるこだわりはもちろんのこと、家計・生計すべて、家人の言動、細かいことまでコントロールしたい、という並外れたエネルギーの持ち主。主人公の路が嫁いだ長男・医者の宗伯(そうはく)は、毒親の影響を受けた癇癪持ちで、おまけに病弱。姑も暴言が止まらないという一家で、女中さんがいつかない。
 主人公の路も、それに負けないバイタリティの持ち主で、そんな家族とまさに戦いながらもその強さで、いつしか家族を支える重要な存在となっていきます。

 馬琴先生は、すえちゃんもドラマの中でよく言及していましたが、「南総里見八犬伝」の執筆中に、目を患って、最初は片目、ついには両目の視力を失ってしまいますが、それでも執筆を続け「南総里見八犬伝」を完成させます。それにはこの路の助けがあったから。

 この時代、書店は、2種類。江戸で刊行された本が地本:主に滑稽本や人情本といった草双紙や絵本、長唄などの稽古本、浮世絵ほかといった本を扱う地元問屋。学術書:仏書や漢籍、医術書など学術書を扱う書物問屋(といや)。これらの学術書の版元の多くが上方にあり、江戸はその支店だったそう。本屋という呼び名も京阪から来ており、本屋とはこの書物問屋をさしたとのこと。

 これはあくまでも私の想像でしかないですが、もしかすると、脚本家の長田さんは、この路さんの生命力の強さを、すえちゃんに重ね合わせたかも、と思いました。性格はぜんぜん違うのですけれど。
 

 


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