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穴フィーチャ

Inventorを、機械設計用途で使う場合、押出フィーチャの次によく使うのが穴フィーチャと思います。この記事では、穴フィーチャに関するテクニックを紹介します

穴位置は、事前にスケッチで定義

穴フィーチャコマンドを実行すると、まず穴位置の定義をします。この時、スケッチ作成と同じ要領で、「面を選び→穴位置を指定して→エッジからの距離を入力」というやり方もできます。しかし、機械設計の目線で考えると、これは良い方法ではありません。

設計の意図の観点から言うと、スケッチ作成の時点で、穴をおよそ何処にどの様にあけるのか決まっていなければいけません。なので、スケッチ作成の時点で、穴位置をしめすスケッチ点を一緒に作成しておくのが良いです。

こうしておけば、穴フィーチャコマンドを実行した時点で、穴位置が自動的に認識され、プレビューが表示されます。(スケッチは表示されている事)

スケッチ点が認識されプレビュー表示される

スケッチ点を含むスケッチが複数あるとプレビューは出ません。その場合でも、窓選択で一度に穴位置を指定できますので、事前に穴位置を指定しておくのは良い方法です。

ひとつの面に複数種類の穴がある場合

図の例では、実際は、外側がキリ穴、内側がタップ穴です。それぞれの穴種類ごとに選択が必要です。このような場合は、線の種類に応じてスケッチを分けておきます。ただし、図の様に位置関係がはっきりしているときは、同じスケッチ状に点を配置しておいても、窓選択を上手に使って選択することが出来ます。

全ての点が選択されている
不要なスケッチ点を窓選択で選択すると・・・
必要な位置だけ選択される

これで、外側に4つの穴ができました。

穴が作成された状態

続けて、穴フィーチャコマンドを実行すると、

残りのスケッチ点が自動的に認識されて、プレビュー表示

残りのスケッチ点が自動的に認識されて、プレビュー表示されます。
複数の穴が込み入っているような「定盤タップ図」みたいなパーツは、スケッチを別々にし、簡単な形状の場合は、同じスケッチにするといった運用がよいです。

穴の方向

図のモデルは、スケッチはプレートの下側(底側)です。開始面が下側になります。そのため、穴の方向を変えて下から上への穴にしています。

プリセット

機械設計で使用する穴は、キリ穴、タップ穴、精度穴といった種類があり、それぞれに呼び径、深さなどの寸法を持っています。精度穴であれば、公差も必要です。つまり、穴ひとつに多くの情報が入っているという事です。
穴をあけるたびに、その情報を入れるのはとても面倒です。

これを解決するのがプリセットです。プリセットは、以前に設定した寸法を、再利用できる機能です。穴であれば、公差付きの穴 とか 段付きの穴 とか タップ穴 とかの寸法や設定を、一度に設定してくれます。
全く同じでは無くても、およそ同じ設定をプリセットから選択し、一部を修正するという使い方もできます。

穴のプリセット

プリセットは名前で管理されます。設定内容に基づいて、自動的に命名されますが、わかりやすい様、任意の名前で管理することもできます。

このプリセットの内容は、プロジェクトで、プリセットフォルダとして指定した場所に保存されます。ここで、共有フォルダを指定しておけば、設計チーム間で、設定を共有できます。

プリセットフォルダーの場所は、プロジェクトで指定する。
共有フォルダを指定すれば、チームで共有できる

特に穴のような場合、設定が標準化されていれば、機械加工の現場の準備工数をせらすことができます。

プリセットについては、オンラインヘルプを参照ください。プリセットを使用するには

ボルト締結ジェネレータを活用する

機械設計において、穴を作成するのは、ほとんどの場合、部品を組み合わせるためです。部品を組み合わせる方法として、一番多いのがボルト(ネジ)を使った締結です。

ボルトを使った締結を一つのものとしてみると、通常は穴が二つ(タップ穴側とキリ穴側)、ボルト、必要に応じて座金、ナットで構成されます。

この3個から6-7個のモデルを、ひとつひとつ作成するのはとても面倒です。そこで、Inventorが提供しているのが、「ボルト締結ジェネレータ」です。

「ボルト締結ジェネレータ」に関しては、改めて記事を書くつもりですが、穴あけ作業の効率化には、ボルト締結ジェネレータを積極的に使うことをお勧めします。

図は、ボルト締結ジェネレータを使う前提で作成したアセンブリモデルです。ここから、ボトムプレートとアングルブロックとを六角ボルトで締結します。(この時点ではアングルブロックにもボトムプレートにも穴はありません。)

ボルト締結ジェネレータ前
ボルト締結ジェネレータ後

ボルト締結ジェネレータでボルト類を締結すると、同時に、自動的に、ボトムプレートとアングルブロックに穴フィーチャが追加されます。

穴フィーチャ追加されている

これらの穴は、ボルト締結ジェネレータの設定と紐づいている(リンクしている)ので、ボルト締結ジェネレータを使って編集すれば、例えばネジの呼びをM8からM10に変更すると、穴フィーチャの呼びも変更されます。

このテクニックは、複数部品間での親子関係を利用しています。親子関係があってはいけない共有部品、標準品には適用できません。が、知っておいて損はないテクニックです。



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