どうわ『ルリとノリ』1 くさむら

 ノリは ふわふわのくさむらに、ごろんと ねころがりました。みあげたそらは どこまでもあおく、すんでいます。おおきく いきをすると、すこし しっけたような つちとくさのにおいで むねがいっぱいになります。ねころんだまま かおを みぎにむけると うすむらさきいろの ちいさなはなが さいています。かおを ひだりにむけると しろいろのはなに きいろの ちょうちょうが とまっています。

 ノリは みぎがわへ ごろんと ひところがりすると、むらさきいろのはなを つみました。こんどは ひだりがわに ごろごろんと ころがると しろいろのはなを つみました。きいろの ちょうちょうが ひらりと ちゅうにまいました。

 むらさきいろのはなに はなをちかづけると、さわやかな かおりがします。ノリは むっくりと おきあがると、くきをまるめました。すこしはなれたところでは、ルリが あおいろのはなを むちゅうで つんでいます。

「みて。よいかおりのする うでわだよ」

 ノリは そういって ルリのてくびに くきをまるめた むらさきいろのうでわを はめました。

 ルリの ほそいてくびに むらさきいろの ちいさなはなが ぴったりと しています。はなをちかづけると、あまくてさわやかな かおりがします。ルリは とてもうれしくなりました。

「ノリ、ありがとう。おれいに これあげる」

 ルリは かたてに いっぱいつんだ あおいろのはなを ノリにさしだしました。

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