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跳んで、踊って、溢れ出す。

東京に来て、一年くらい過ぎた頃だったと思う。
新宿の人混みのど真ん中で、はじめて、その音に出会った。

どこに行こうとしてたとか、誰と会おうとしてたとか、そういったことは全く覚えていないのに、その音と出会った瞬間のことだけは、今でもはっきり覚えている。
まだ一部工事中だったサザンテラス口で、人混みに流されて。いつも通り、耳にはイヤホンを突っ込んで。

ざわめきの隙間に聴こえてきた聞き覚えのあるピアノのフレーズ。そして、ドラムの爆弾。思わず、立ち止まって、イヤホン外して首にひっかけて。人の邪魔になるのも気にしないで、音の在りかを探した。音を頼りに、道路沿いにフワリと空いたスペースにたどり着いた。

まさか、新宿の路上で、爆音のSpain(チック・コリアの名曲)に、それも生音に出会うとは思いもしなくて、ただただ度肝を抜かれたんだ。それが、Re-Trick との出会い。

記憶が正しければ、Sketch、Picassoとオリジナル曲を繰り出されて、演奏が終わる頃には完全にノックアウトされてた。演奏が終わって、すぐCDを買った。路上ライブでCDを買ったのは、確かこれが初めてだったはず。

↓↓↓当時のRe-Trick。↓↓↓

ピアノの奔流と、ドラムの爆弾。それを冷静に、時に熱く支えるベース。
今でも、基本的なライブスタイルは変わってない。

何より3人とも音楽がスゴく好きなのよね。
音を楽しむっていうのをそのまま体現してるようなバンド。ライブ途中…と言うか演奏中でも、多分その場の思い付きでドラムがリズムパターン変えてくるし(そういう時は、ニヤってするから見ててすぐわかる。)、残りの2人も"そう来たか"って感じで平然と受けてたつし、時々は、なんでこれで元のリズムに戻れるんだってくらい全く別の曲になったのをしれっとテーマに戻ったりするし。いい大人なんだけど、いつまでも無邪気に音で遊んでる少年みたいに見える時が結構ある。

一緒にニヤニヤしたり、ドキドキしたり。そんな風に音を楽しませてくれるバンド。元々のアレンジもとんでもなくカッコいいけど、回を重ねる毎に進化していく音に惚れ惚れする。跳んで、踊って、溢れ出す音。こんなバンド、なかなか出会えないよ。

あのとき、見逃さなかった自分に今更だけど拍手。

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イカフリと並んで、私の特別枠。Re-Trickと出会わなければ、そもそもイカフリとも出会えてないんだよね。この2バンドを繋いだ音については、そのうち書くつもりです。
写真は、青山 月見ル君想フ での数年前のライブから。
またあの場所でもRe-Trickの音を聴けたらいいな。yohko

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