尚子

二人の娘を育児しながら認知症の両親のサポートをする日々を送っています。 両親が認知症に…

尚子

二人の娘を育児しながら認知症の両親のサポートをする日々を送っています。 両親が認知症になり、長らく住んできた家を離れることに。2023年の夏で、入居から早2年が経ちます。認知症の始まりから実家の後始末まで、目まぐるしく起こったあれこれを綴っていきたいと思います。

最近の記事

頭の傷跡

■2023年(両親81歳) 11/25 二女、三女と訪問 12:30頃 母の頭の傷がどうなったか心配で様子を見に行く。 両親共に食堂にいた。 母、頭にはガーゼもネットも付けておらず。 パッと見るだけではどこに傷跡があるのか分からない。 そーっと髪の毛をよけてみると、真っ黒い線のようなものを発見。 これが縫い跡か。 太いマーカーでピーっと線を引いたような跡。 良く見るとその線がボコボコとしている。 あまりの黒々しさが何とも言えない。 洗髪できないから仕方な

    • 死のリスク

      ■2023年(両親81歳) ※11/23手帳メモより 「母さんが退院直後にまた転倒… ガックシ。 まぁ、足元覚束ないからいつ転んでもおかしくはないのだけど、いざ転ぶとやはりダメージは受けるもので…。 母さんのあのウロウロと歩き回る現象は、一体脳の中でどんな作用が起こっているんだろう。次回、T医師に聞いてみるか。 11/11の退院直後はまたウロウロ歩けるようになって、以前よりだいぶ身体機能も回復した感じだったんだよね。 普通だったら退院して回復したら、どんどん快方に

      • 浮いている

        ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(9) 13:00 別荘に無事到着 後追いしてくれていた旦那さんの車から娘たちも出てきて、父の顔も見に行く。 1F食堂の椅子に座っていた父の元へ娘たちが駆け寄る。 父、娘たちがくっついてくれて嬉しそう。 しばらく母のみかん帽姿に浸かっていたので、父の穏やかな笑顔にとても癒される。 スタッフさんにS病院からの診療情報提供書を渡し、医師から言われたことを伝える。 ・一日数回は傷口に軟膏を塗り直し

        • みかん帽

          ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(8) 12:15 お会計のため一旦受付へ。 旦那さんが娘たちを連れて来てくれていた。 12:30 別荘までのタクシーを呼ぶ。 看護師さんが母の洋服を着せてくれ、車いすに母を乗せて待合スペースまで連れて来てくれる。 娘たちは透かさず母の頭に注目し、「何これ―!」と騒ぐ。 「ばぁちゃん、みかん帽! みかん帽!」と、楽しそうに母の車いすの周りをぐるぐると走り回る。 周囲の人たちは苦笑い。 母は

          痛みの正体

          ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(7) 11:45 医師より終了の報告を受ける。 母は何にそんなに痛がっていたのか聞くと、麻酔や縫合処置で髪の毛が引っ張られる時に痛がっていそう。 頭の傷や麻酔の注射ではなく、何よりも髪の毛が引っ張られるところにあれほどの痛みを感じていたとは。 何が行われているか分からず、唯一の情報はドア越しにくっつけた耳からの音だけだったので、何とももどかしかった。 処置室に促され母の元に向かうと、母は手術用

          痛みの正体

          痛ーーい!!

          ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(6) 周囲には誰もいなかったので、処置室のドアに耳をピタリとくっつけ、何とかして中の様子を伺おうとする。 わずかに医師や看護師の声が聞こえる。 11:30 縫い始めている様子。 母 「これ、わたしの時計です。わたしのです! …痛ーーい!!」 医師「針刺さってるの、痛くないですか?」 母 「痛いよ、でも…」 医師「針は痛くない?」 母 「針は大丈夫… 痛――い!! 髪の毛…」 医師「針痛

          痛ーーい!!

          薄い壁一枚

          ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(5) 11:15 看護師さんに外で待っていてくださいと言われ、廊下に促される。 尚子 「え! ここで縫うんですか?」 看護師「はい。」 てっきりどこか手術室に移動して行われるのかと思っていたら、この処置室でそのままとは。 驚きつつ退室し、看護師さんにドアを閉められる。 こんな薄い壁一枚を隔てた奥で母の縫合手術が行われると思うと、ソワソワしてとてもじっとしていられない。 大丈夫だろうか。

          薄い壁一枚

          ほのぼの

          ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(4) その後しばらく救急車内で待たされ、次回から転院希望していたS病院に搬送先がやっと決まる。 施設長さんは救急車を降り、これ以降はわたし一人が付き添うことに。 10:08 別荘を出発 車中で母の手を握り、声をかける。 こちらの心配をよそに、「尚ちゃん? いま来たの?」などとほのぼのとしている。 これだけの傷を負ってもなお、痛みは感じないのだろうか? 驚異的。 10:20 S病院 到着

          ほのぼの

          ブリの解体ショー

          ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(3) 肝心の母の姿が見当たらないので尋ねると、救急車の中に運ばれているという。 エントランスを出て急いで駆け付ける。 救急隊員さんにドアを開けてもらうと、ストレッチャーに横たわっている母と、横の椅子に施設長さんが座っていた。 母の顔を覗き込んで声をかけると、うっすらと反応してくれる。 意識があることが分かってホッとする。 「尚子だよ!!」と何度も呼びかける。 わたしのことも何とか認識できて

          ブリの解体ショー

          ハの字

          ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(2) 別荘近くのバス停で降り、また猛ダッシュで別荘に着いたのが9:30頃。 先ほど横切って行ったと思われる救急車が停まっていた。 向かいには消防車も停まっている。 何か関係あるのだろうか? 消防車を横目に急いでエントランスに向かうと、スタッフさんがタオルで一生懸命窓ガラスや床を拭いていた。 タオルは真っ赤になっている。 母の血だ。 床にも赤茶色っぽい水たまりのような跡ができている。 わ

          母の救急車

          ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(1) とりあえず旦那さんに電話する。 「美容院なんていつでも行けるんだから、早く(別荘に)行ってあげな!」 と言われ、目が覚める思いがする。 そうだ、こんなところで茫然としている暇はない、すぐに駆け付けなくちゃと スイッチが入る。 これからしばらくの子守をお願いし、電話を切ろうとした瞬間、背後からサイレン音が近づいてきた。 そしてその音は最大音でわたしの横を通り抜けていった。 「あ! こ

          母の救急車

          母、エントランスで転倒(10回目)

          ■2023年(両親81歳) 11/23 母、エントランスで転倒(転倒10回目) 9:22 別荘より着信あり。 母がエントランスで窓越しに外を眺めている時に転倒したとのこと。 母が転んだ瞬間は誰も見ておらず。 左の後頭部が3センチほど切れて大量出血していると。 肩から右肘にかけての痛みが強いようで、痛がって暴れているとか。 救急車を呼んでいるので、別荘まで至急来てほしいと言われる。 大量出血だなんて。 頭が真っ白になる。 この日は美容院の予約をしていて、ちょうど家

          母、エントランスで転倒(10回目)

          転ばないでね

          ■2023年(両親81歳) 11/20 母の妹、二女、三女と訪問 11時頃 母の妹は約5カ月ぶりの訪問。 先月末の入院も心配だったのだろう。 忙しい合間を縫って足を運んでくれた。 前回は皆で居室に移動してゆっくりと過ごせたが、今やもう父の移動が難しい。 食堂の椅子に腰掛けている両親のところで久々の再会時間を持つ。 両親に、繰り返し母の妹が来てることを説明するも、ちゃんと伝わっているかどうかは怪しい。 母の妹も二人に一生懸命話しかけているが、ちぐはぐな会話が

          転ばないでね

          カラーリングについて

          ■2023年(両親81歳) ※11/18手帳メモより 「母さん久々に黒髪! 若返って良かった! が、しかし!! 「これで最後かな」とスタッフさんに言われる。 本人にとっても負担が大きいと。 うーむ。それは分かるが何とかならないものか…。 そりゃあ本人からしたら、カラーしてもしなくても何も変わらないかもしれないが、わたしにとってはカラーの効果はとても大きい。 一番近くで見守る者として、カラー後のさっぱり若返った母さんの姿を見るとモチベーションアップするというか、

          カラーリングについて

          これで最後かな

          ■2023年(両親81歳) 11/18 単身で訪問 17:00頃 確か車中で娘たちが寝てしまい、わたしだけ車を降りて束の間会いに行ったんだったかな。 この日は訪問理美容が入った後で、二人とも散髪してさっぱりしていた。 母の白髪もきれいに黒くなり、若返って良かった。 「お母さん! きれいになってよかったわぁ!」と喜んでいると、スタッフさんがくぐもった表情で「これで最後かな」と言う。 ? 何のことかと思えば、母のカラーリングは今回が最後だという。 え?

          これで最後かな

          前進の一歩目

          ■2023年(両親81歳) 11/15 10:00 母 T病院 神経内科 T医師 診察 続き 母は、行きの車中では結構はっきりしていて会話も通じやすかったが、帰りは病院の外に出るなり、外気の冷たさ、強風に驚き、たちまち院内へ引き返そうとする。 帰ろうと促しても抵抗姿勢。繰り返し促すと、やや怒り気味で抵抗される。 困った。 足が竦んでどうにも前進の一歩目が出ない。 これではとても駐車場まで歩いてもらえそうにない。 仕方ないので、受付に相談して入り口のところまで車を

          前進の一歩目