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話をしよう!

最近あった嬉しかったこと。

元恋人の彼と付き合っていた時、歌詞が好きだと思って教えた曲がある。「言葉なんて初めからあってもなくてもいい、話をしよう」という一見矛盾するフレーズにすごく共感した曲だった。

私たちは自分を伝える術は言葉しかないように思ってしまうけれど、言葉って実はそんなに万能なものじゃない。言葉にするとその四隅からこぼれ落ちてしまう感情がある。でもこぼれたからといってなかったことにはならなくて、むしろ安易に言葉にしにくいそのこぼれた感情こそ大切ではないかと思うのだ。そして、形にならない感情を人と交換するのには、同じ空気を共有してその揺れを味わうしかない。
だからこそ、「言葉なんて初めからあってもなくても」よくて、それでも「話をしよう」と思うのだ。私はそういうコミュニケーションがしたい。

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そう伝えた当時の彼はあまりぴんと来ていないようだったけれど、別れてしばらくした日、「まだあの曲に共感はできないけれど、〇〇ちゃんが好きならそのスタンスもいいなと思うようになったよ」とはにかみながら教えてくれた。そしてそれから数ヶ月経った昨日、「時間が経って初めて、あの時〇〇ちゃんが言っていたことがわかったよ」と連絡をくれた。

その連絡が嬉しかったのは、私の言葉や考え方が彼の中に残っていたことを知れたからだ。共感しようとしなかろうと、彼が自分の中から私の言葉を何度も取り出してその度に考えてくれたのだということ自体がすごく嬉しい。そして、それを伝えようと思ってくれたことも。

自分の言葉が相手の中に残るってとても嬉しい。あの時確かに相手と私は深く関わり合っていたんだなと思うから。
”人と関わる”って、相手の一部を自分に取り入れて生きていくことなのかもしれないな。


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