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■ 20230801/初恋の日

ついたちは、リセット病者にとって祝祭日のようなもの。怠惰な自分に飴を与えるのと等しい気持ちよさを感じながら鞭を打つことができる。ずっとついたちでいい。でも、そうしたら、日々はよりコンピュータみたいだな。

今日は、おろしたてのワンピースを着た。丈は膝小僧が見え隠れするくらいだが、黒い布地にクリーム色のラインが施されて、シンプルで美しく、おとなっぽい。

私はおばあさんになっても、洋服やアクセサリ、それから目に映る他人の佇まいなんかに対して、おとなっぽいという感情を抱くのだろうと思う。おとなっぽいの「おとな」は、年齢とは関係なく、現実世界にはどこにもいない「おとな」。街のあちらこちらの窓に映る自分の姿をひとつひとつ確認して、おとなっぽくてとっても素敵じゃないか、と思いながら歩けた。 

喫茶店で小説のアイデア出しをおこない、今月はプロットを三本、初稿を二本仕上げようと、かなりハードな決断をした。

帰りに図書館によって、ぱらっとめくるつもりで手に取った一穂ミチの「砂嵐に星屑」がとても面白く読みやすく、借りて帰宅。読み終え、その流れで買ったまま積んでいた「パラソルでパラシュート」もすいすいと読んでしまう。

二作品とも登場人物の色気に魅了される。性的な意味合いを超えた、色気だ。人や人間関係の描き方がキャッチ―なのにチープではなく、まるで言葉に絶妙な塩梅でニスが塗られているかのようだった。それは、あるときはセクシーな艶として、あるときは濁りのない白い光として、様々な光度でかがやいていた。

恋愛小説に夢中になったのは、島本理生を読み漁っていた十八のとき以来だった。なにかに打算なくこころをむかわせることのできる現象のことを、それが何度目であろうと、初恋と呼んでいい気がする。つまり、今日は、初恋をした。

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