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なぜオンラインイベントは失敗するのか

こんにちは!ソーシャルアーティストの川那です。
note本格始動一発目!結構緊張しています。

さて、今日はこんなコロナ時代ですから、
オンラインイベントのマネタイズについて考えてみたいと思います。
自治体イベントしかり、個人の勉強会しかり、
多くのイベントがオンラインで行われている昨今、
そのマネタイズについて苦戦されている方が多い印象なので
私自身が悩んでいる内容をシェアすることで少しでも視点の転換に貢献できればと考えています。

散見される「そのままオンライン化現象」

技術の発展により、良質なコンテンツをそのままオンライン化するということが可能になりました。
良質な講演や音楽を家の中まで届けられるし、
双方向コミュニケーションツールも備わっていてライブ感も出る、
加えて家にいるのでお酒などの参加費以外の出費も安く済むわけです。
多くの方が技術を駆使して「リアルイベント」のコンテンツをなるべくそのまま「オンラインイベント」に移行するように試行錯誤しています。
理論上はアナログイベントがそのままのオンライン化できれば
ほぼ同じ体験が
・移動時間なく
・費用が安く
・手軽に
味わえるわけです。

どっかの筋肉アニメの言葉を借りると、
文字通り「美味い、安い、早い」状態。3密ならぬ3良。
さぞかしユーザーライクになり、爆発的ヒット!かと思いきや。
現実はそうではないようです。

安く見積もられるオンラインイベントの価値

現実はそんなに甘くない。
それはイベントを仕掛けている人でしたら感じているのではないでしょうか。
オフラインイベントと同じだけ、工数をかけて、ゲストに同じだけ謝金を払い、同じ内容を届けても、「オンラインだと安く見積もられがち」だと感じる声が多いです。
そのため参加費を安くする、でも集客ができないという悪循環。
オンラインにすることで会場費がかからないという利点はありますが、配信のための機材レンタル、配信場所の確保、オペレーションコスト、準備期間含めたスタッフ工数等考えると実際はリアルイベントよりも費用がかかっていることも多いのです。さらにアルコールやケータリング等の収益化しやすい飲食の付加価値が添付できないとなると、ほとんどボランティアか赤字ですよね。
これからオンラインイベントを仕掛けるイベント担当者はこの現実をしっかりと受け止めて対策をしていく必要があります。

発想転換→個人の時間価値が上がっている可能性がある

さて、ではどう対策を打っていくべきか、
そのためには問題の背景を多角的に分析する必要があります。
そこで私が着目しているのが
「個人の時間単価の上昇」という視点です。

イベントへの参加を2つの局面で捉えてみます。
一つは「時間の搾取」
もう一方は「価値の提供」
です。

イベントという行為を凄くシンプルに捉えると、
誰かの時間を搾取し、その時間を使ってそれ以上の価値を提供する行為
だと考えます。
その人の時間を買って、価値を増やして返してあげるというイメージ(投資信託みたいですね)。

その時間で提供できる価値>その人の元々の時間の価値
であれば人々はお金を払って参加するという経済活動であるとします。
この構図で捉えた時に、
「オンラインで提供している価値」=「オフラインで提供できる価値」と変わらないと仮定するのであれば、
考えられるのは「その人の元々の時間の価値」が上昇している可能性です。
つまり皆さんの1時間の値段が上がっているのです。
「いやいやそんなことないやん!」って思うかもしれません。
外出自粛の環境では皆さん基本家に居るはずなので
「家で過ごす1時間なんで安いよ」と思われるかもしれません。
一方オフラインのイベントは「わざわざお洒落して外に出る」→「お金と時間を使って移動する」→「参加する」という形で、家だと1時間程度で済む参加コストが、アナログだと3時間程度かけて実行することになります。
「時間の価値」 家の1時間>外の3時間 
そんなことあるのでしょうか?

家の時間は安くない

私自身も実体験を持って家の時間の価値は想像以上に高いと感じています。言い換えれば家で何か作業するということは思っていた以上に多くのことを犠牲にしていることに気づいてしまったという感覚が正しいかもしれません。
例えばお家のプライベートの時間の中で、1時間をトークイベントに参加するために充てるとします。
その間、子ども達が目の前にいて、荒れ始める部屋の中、始まる喧嘩、遊んで欲しそうにしている子どもの様子、ご飯の準備が迫ってくる感覚、慌ただしく動く妻、ああ自分役に立ててないなという感覚。
それだけの時間を投資してまで、今目の前のモニターにしがみつくほどの価値があるのか?と思うと、正直なかなか難しいものがあります。

しかし、不思議なもので一度外に出てしまうとこの感覚はなくなり、せっかく3時間外で作業できるけど何しようかな?そうだオンラインイベントにでも出てみるか。ついでに帰りに本屋で立ち読みでもしようかなという感覚になります。外という環境で自分ができること(アウトプット)がそんなに多くないので急激に時間単価が下がるのです。
だから外でちょっと行動しただけで何かやった気になれるのです。

これは特に家庭がある人の感覚だと思いますが、学生でも似たような感覚があると思います。それは家でだらだら過ごしてしまった時に1日無駄にしたなという感覚。これって外に出てブラブラ散歩したとしても別に出しているアウトプットって変わらないんですが、外に出てブラブラしている時はできることが少ない状態に身を置いているのでなんとなくその場で出せることはやっているぞという感覚になるんです(アルバイトも同じですね)。逆に家でできることってめちゃめちゃ多いんですよ。オンラインで学習や世界中の人と話ができるし、自己成長のためにいくらでも投資できる状態。本来学生の皆さんが投資しなきゃいけない時間は実は家の中にあるのです。それができる状態であえてしていないという感覚が心理的罪悪感となって強烈に帰ってきている。
もう一度言います。家の時間は安くないのです。

アウトプットが一番できる環境が家であり、オンラインイベントはその高い時間を買う行為である

これらの感覚がこれから、オンラインイベントを打つ際の鍵になると思っています。
イベント参加者の1時間当たりの時間的価値が相対的に向上していると考えるとその時間を買うことは容易ではありません。
一番簡単な外に出ている人の時間を買うという戦略がコロナの影響で打てない分、提供する対価(+α)の一層の工夫が必要となってくるわけです。
その視点がないままアナログコンテンツをそのままオンライン化したところでマネタイズできるはずもなく、失敗しているというのが私の考察です。

【オフライン→オンラインの事例】
学校授業のYouTube配信

オフラインのコンテンツをオンライン化する難しさを感じる例を一つ提示させていただきます。学校授業のオンライン化です。

学校に行けない子ども達が出てきたことで、学校の授業をオンライン(YouTube等)で配信する自治体が出てきました。
学校の授業がオンラインで受けられるとあって非常に話題となっています。
先生方にはこの慌ただしい中で多くの準備と調整と本当に頭が下がります。
授業のオンライン配信は先生方の心理的負荷も大きい中で非常に勇気ある行動だと思っています。
全力で応援していますし、私自身も非常に助かっています。

その中で、コンテンツという視点で面白い現象が起こっています。
それがYouTube上での「先生の授業」と「YouTuberの授業」の混在です。
自治体配信の授業動画を見た後に自動再生でYouTubeが勝手にYouTuberの授業動画を再生してきたりします。
そのため否が応でも比較して見ることができます。
これがとっても興味深い。

先生方は教科書を丁寧に分かりやすくゆっくりと学校の授業をテンプレートのようにきれいにオンライン上に持ってきます、一方YouTuberは何度も見てくれることや自主学習との組み合わせなどを前提に、YouTubeというプラットフォームを使いこなしてチャキチャキと小気味よく展開します。
まさに水と火のような関係です。

リアルな教育現場でYouTuberの授業と同じことをするのはどうかという意見が当然ありますが、
今起きているのはYouTubeというオンラインプラットフォーム上での比較。
この上では子どもの学習効果という点ではYouTuberの圧勝です。

先生方の指導案に準拠した指導テクニック、対面での強み、遅れを取らせない配慮、それらはYouTubeというプラットフォーム上では活かしにくく、教育という観点では最強のコンテンツホルダーである先生でも、オンラインプラットフォームを使いこなせないと強みが発揮できないということを感じます。

先生方にYouTuberのような授業をして欲しいということでは決してなく、
良質なアナログコンテンツをオンラインにそのまま持っていってもコンテンツレッドオーシャンのオンラインの世界では食われてしまうということを前提に、差別化なのか、子どもの心理的安定なのか、生活リズムの調整なのか、教科書の予習という視点なのか、はたまたクラスメイトとの顔合わせなのか、直球ではない仕掛けが必要であるということを改めて申し上げたいと思っています。

今まで学校という空間は強制的に児童生徒を家から連れ出して買い取っていた時間です。その時間価値(アウトプットの期待値)は比較的低かったのですが、在宅時となると選択肢が増えた分、子ども達の時間の価値が上がっていることを踏まえて長期化した場合の対応を考える必要があるでしょう。


まとめ)
オンラインイベントを仕掛けるために意識すべきこと

さて、色々と申し上げましたが伝えたいのは大きく3点です

・オフラインイベントをそのままオンライン移行は危険
・皆さんの時間あたりの価値が上がっていることを前提に
・オンラインのプラットフォーマーから知恵をもらう

特にいいものをオンラインでそのまま提供すれば集客できると思っている方は注意です。
オンライン化で一番の鍵はコンテンツ力ではなく、プラットフォームの活用力です。

アナログイベントでの成功事例を参考にするのではなく、オンラインのプラットフォーム上で成功している事例をTTPする(徹底的にパクる)ことが大事です。
デジタルネイティブ世代はオンラインプラットフォームの乗りこなし方に非常に感度が高く、ZOOMで焚き火の映像を眺めるコンテンツを作ったり、映画「REC」を想起させるようなオンライン演劇を作ってみたりと非常に多様な仕掛けを打っているので常に参考になります。

ただ総じて在宅の時間単価が高いことを前提にすると、
中途半端なコンテンツは現時点ではマネタイズできない可能性が高いです。
言葉を恐れずに言うと元々テレビや動画で見られる超一流と呼ばれる人たち以外はマネタイズに苦戦します。
オンライン市場はレッドオーシャンです。
まずオンラインイベントで安易にマネタイズできるという価値観を一旦捨て、無料もしくは損失を出してでも得られるメリットに集中するか、在宅期ならではのバックグランド(心理的不安・欲求)という新しいニーズをターゲットにマーケティングを開拓していく方法が良いのではと考えています。

今日はこの辺で!
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