見出し画像

がまくんとかえるくん

アーノルド・ローベルのがまくんとかえるくんのシリーズを、子供の頃クリスマスプレゼントか何かで母にもらったのだけど、あまり読んでいなかった。
最近三木卓の訃報と共にこの本の一節を目にしたので、ふと気になって娘に読んだのだった。

子供の頃この本が正直あまり好きではなかった。
がまくんの人間臭く愚かでしょうもない姿に対して、かえるくんがあまりに聖人君子のように思えたので。
多分私は圧倒的にがまくんの側であることを無意識に自覚しながら、かえるくんのようになれたらいいのに…と思い上がった憧れをもっていたのだ。

大人になってこの作品を読むと、そんながまくんのことをかえるくんは本気で好きなのだ、と初めてわかる気がして震えた。
子供の頃の私はそれがわからなかったのだね。
人間の在り方というのは、善いとか悪いとかカッコ悪いとかカッコいいとかの問題ではないのだ。
がまくんもかえるくんもただそのようにある。そのような愛が確かにある。

子供の頃読んだ本を再読すると面白いのは、
子供の頃はただそういうお話として捉えているが、
大人になるとメタファーを解するようになるので、新たな味わいがある。
それは嬉しい発見だった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?