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これだけは絶対やってはいけない!?介入事例の書き方(APACC)

APACC試験

外来がん治療認定薬剤師制度を取得するためには、必要なAPACCの試験。

がん専門薬剤師の登竜門とも呼ばれるこの試験には、他の資格よりも条件が厳しいことで有名です。

認定条件としては、
・JASPOの認める単位を60単位集める事
・薬剤師としての実務経験が3年以上であること
・JASPOの会員であること
・外来のがん患者サポート事例10症例の提出すること
・JASPOの認定試験(筆記試験)に合格すること
が挙げらます。

特に「外来のがん患者サポート事例10症例」で多くの受験者がふるいにかけられ、書類・事例10症例での合格率は約60%と合格率は低く、その後の筆記試験でも約60%程度の合格率となっています。

申請者の内、外来がん治療認定薬剤師として認められるのは40%も満たないという登竜門にしては厳しい資格となります。

しかし、がん領域は日に日に進歩していき、勉強していかなければいけないことが多くなりもしますし、高齢社会も相まって、がん患者数は増える一方です。

がん専門薬剤師の普及が今後の医療を支える柱の一つと言っても過言ではないと思っておりますし、自分も多くの専門薬剤師が生まれることを望んでいます。

APACCを取得してから、がん領域の勉強会を担当する機会を頂けたり、後輩に指導することも多く、症例の添削をすることも多くなりました。

そこで、これは絶対に症例としてはふさわしくないだろうというものも症例候補として記載されていることが多く、落ちている人はみんな微妙な症例ばかりセレクトしているのではないかと考え始めました。

これからAPACCを目指す人の助け舟になれたらと思い、APACCの10症例を合格するにあたって、絶対に押さえてもらいたい事、実際私の症例の一部を紹介します。

そもそもの大前提

そもそもAPACCの症例はなにを求められていると思いますか?

それを分からずして、試験を通過する可能性は高くならないでしょう。

JASPOの試験で超重要なのは、「あなたのその介入はエビデンスに基づいていますか?」ということ。
そう、どれくらい理論的に考えたとしても実際臨床試験でそんなこと言われていないよね?という介入に対しては「エビデンスがない」と低い評価をもらいます。

10症例中2-3例であればいいんじゃないかと思う人もいますが、明らかに介入が異なる場合には、そのほかの症例が完璧でも間違いなく落とされるでしょう。

自分が見た中で特に多かったのは、オキサリプラチンによる末梢性感覚ニューロパチーへの介入です。
基本的に末梢神経障害に対する支持療法で積極的に推奨しているものはありません。デュロキセチンも牛車腎気丸もエビデンスがあるなんて堂々と言える立ち位置にはいないわけなんです。

なのに、プレガバリンで介入しました。などそもそもエビデンスのないものを提案しているのです。ただの薬剤師の自己満足にすぎない提案はとても危険です。

プレガバリンの服用で、末梢神経症状をマスクする可能性あり、その後の患者のQOLに多大な影響を及ぼす可能性もあるわけです。

そういったことは絶対に避けなければいけません。

症例記載の際に絶対やってはいけないこと5選


①がん種やStaging治療内容を曖昧に記載するorどれかでも記載しない
②文字数制限が360~600字と決められているが、360~450字以内に収めてしまう
③薬剤名や用法用量などを記載しないor省略する
④エビデンスのないことを記載する
⑤介入しただけになっているor患者と対応したこと全てを記載してしまう

この5点は必ず気を付けてもらいたい項目です。
一つずつ説明していこうと思います。

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