リュッケンハルトの魔導書工房#3
「ああ、グラナイでも血は赤いんだな…」
と、その時はなんとも不謹慎な感想を抱いてしまった。
ザクロの実よりも黒くて、赤いワインよりもドロっとした液体が辺りを染める。
それは教会で歌うような聖歌を一曲聴き届けるくらいの長い時間に思えた。その間、目の前で宙を舞う少女を、オレは夢でも見ているみたいにじっと眺めていた。身体が硬直して、眺めることしか出来なかった。
まるで金縛りだ。
その状況を理解しているようで、身体はまだ幻覚であること信じている。
次にオレが動けたのは、そのカシヤギ