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2023年読書評1 フロスト短編・この指とまれ

去年読んだ本の感想を羅列してみます。

「夜明けのフロスト」

ウイングフィールド作。
フロスト警部の短編。この短編集はウイングフィールドのみのものではなく、他の作家たちのアンソロジーとなっています。
今回はフロストだけ読みました。
いつか他のものも読むかも知れませんが、とりあえずフロストだけ読んでみたかったからです。

フロストものの短編というか中編はこの1つだけのようです。
そもそもウイングフィールドは寡作家ということで作品数は多くないそうです。

私見では、短編の方は面白くありませんでした。彼の本領は長編に現れるようです。
物語は例によって、警察署内で事件に対処するフロスト、そして次の事件が起こり、いくつもの事件が平行して交錯する警察小説。
長編だとフロストのジョークや所長の小言とか、サイドで笑わせますが、短編だとその余裕がないようです。
するとただの警察小説になってしまうというわけです。

長編だってそうです。ドラマ化すると、~実際にドラマ化されているらしいが私は見ていない~平凡な警察ドラマになるはずです。

つまりフロスト警部ものは長編小説でないと楽しめない、というのが結論のようです。


「殺されたい人この指とまれ」

都筑道夫 再読
これはどんなジャンルの本であるか説明するのが難しいものです。
発端はSFじみていているけれど合理的な説明がつく、しかしホラーじみた話。
超自然的な話もあります。
昔ロアルドダールの「キスキス」や「あなたに似た人」が流行り、テレビドラマにもなっていました。ダール自身がホストをして。それは「奇妙な味」というキャッチフレーズで本になっていたと記憶します。
そんな感じの本なのです。
今で言うならテレビドラマの「世にも奇妙な物語」に似ているといいましょうか。そもそもこのドラマシリーズはダールやトワイライトゾーンを真似たものなのですが。

つまり、この短編集はこのようなものだということです。
全部で11編。中に3つくらい酒を飲むと強くなる探偵の話があります。
後の他の本の解説によると都筑先生自体、この探偵のことを忘れていて、シリーズ化されなかったことを考えるとあまり思い入れがなく、思いつきで書いたそうです。
これを読み返そうと思ってまた手にとったのですが、
この本の内容自体すっかり忘れていて新鮮でした。

全体的には後味が悪く、フワッとしていて、あまり好印象とはならない本です。
しかし上記のようにそのようなドラマだと思えば楽しめるかも知れません。

ちなみにダールは元々ミステリ作家で、今では「チョコレート工場」などの映画で有名ですが、このような作品を書いていた作家なのです。
自伝「少年」や「単独飛行」に経緯が書かれています。
彼は第二次大戦のパイロットだったのですが、本を読むとその時のエピソードを宮崎駿が映画で借用しているのが分かるでしょう。私は彼の映画を見た時、「あ、ダールのパクリ(オマージュ)だな」と思いました。

ダールはそんな風に影響ある作家であり、都筑先生は有名ではないけれど娯楽の宝庫なのです。


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