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最近見た映画の感想 2021.08-11

ツイートまとめ+補足。ネタバレなしめ。
イチオシは『アイの歌声を聴かせて』です。映画としてもAI題材としてもいい出来でした。

アイの歌声を聴かせて

オリジナルアニメ映画。
TLでかなり名前が流れてくるようになったので見に行ってきました。

少女型のAI搭載ロボットが高校に転校してきて、コミュニケーションに問題を抱えた主人公とその周囲にトラブルを巻き起こしやがて大事件に……?と書くと、はいはいよくあるオリジナルのアニメ映画ねって感じがしますが、事前に想像してたよりAIが題材としてしっかり描写されていて満足度が高かったです。

序盤はそれこそよくある学生主人公のアニメ映画みたいでちょっと盛り上がりに欠ける感じなのですがそれだけでもなく。

デザイン的にも、AI少女ってアニメでも実写でもわかりやすく美少女なことが多いのですが、シオンは微妙に美少女から外れてる感じがしました。

このAI特有の気持ち悪さが『アイの歌声を聴かせて』の肝ですね。
多分、シオンってストーリーを通じて特に性質が変化してないんですよね。ずっと気持ち悪い行動を取っているまま。
よくあるAIと言いつつ演算が超速くて痛覚がないだけの異種族が主人公との交流を通じて心を獲得し…みたいな展開には全然ならない。

では主人公(と観客)にシオンがなぜ気持ち悪く見えなくなっていくかといえば物語が付与されたから。
我々がAIの側に歩み寄って人間に近いものとして見るようになったわけです。
加えて、シオンの成り立ちに触れることで、どういう入力データから学習してそのような行動を出力するようになったのかを感覚的に理解したから。

逆に主人公達と敵対することになる人々は(もちろん利害の不一致もありますが)物語や入力を共有してないからシオン=AIが不気味な存在に見えている。

これはAIに対してなかなかリアルな捉え方だと思いました。
自動運転なんかも将来、本格的に運用しようと思ったらどういうデータを使用して学習させたかみたいなエヴィデンスを明示しないと納得しない人達は一定数いるのではないかと思います。

脚本の大河内一楼さんは、ルパン三世 PART5でもハッキング・SNS・AIといったIT要素を上手く作品に落とし込んでルパン三世をアップデートしていたので、アニメ脚本にしゃしゃり出てくる下手なSF作家の先生なんぞよりよっぽど技術に対するリサーチがしっかりしているのかもしれません。

この序盤の乗れなさ・気持ち悪さが中盤以降一気にひっくり返っていく構成は多分TVシリーズでは難しくて、映画ならではの構成に感じました。
それ以外だと始まりと終わりの構成もかなり映画っぽいですね。

最近はTVシリーズの延長戦やスペシャル版のような劇場版アニメが多い中で、しっかりアニメ映画している作品でした。
興味がある人は映画館で見ることをおすすめします。

DUNE/デューン 砂の惑星 (Dune: Part One)

逆にDUNEはある意味では映画らしくない作品でしたね。
予告編で「これ絶対見る!!」って決めて楽しみにしていた作品だったのですが。

もちろんビジュアルやサウンドは期待していた以上のクオリティで、そういう意味では映画らしい作品なのですが、やはり脚本の構成が……。

ゲームオブスローンズのシーズン1は飽きてきたら見るのやめたり他のことしながら見ればいいけど、DUNEは映画館で見たら座って見続けるしかないですからね……。

そういう意味だとスターウォーズの第一作がいきなり面白いところから入るのはかなり優れた構成だと再認識しました。

個人的にはもっとサクサクと前半を進めてくれてもよかったのにな〜と感じます。

何にせよビジュアルとサウンドは凄いので、これも映画館で見るべき作品ですね。
パート2が楽しみです。

プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第2章

同名のTVシリーズからの続きです。
ちょっとスチームパンク入った架空の19世紀イギリスを舞台にしたスパイアクションです。
第1章も映画館で見ています。

第2章が上映中と気づいた時にはもう終了間近で、慌ててDUNEと同日に見て来ました。
女の子が可愛いし今更紹介パート等もなく、DUNEの後だったので素直に楽しめました。

『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」

7末に見たけど区切り的に。

同名TVシリーズの再編集版ですが、元々がロードムービー的要素を持っていることもあってかなり映画的に仕上がっていました。

たしかストーリー的にもちょうど中盤あたりにレイハントン家のイベントを持って来ていて、その点も映画として上手く盛り上がっていた覚えがあります。
富野監督もその辺は強く意識したとインタビューで言ってたような。

Gレコはとにかく勢力図が複雑なことで有名ですが、基本的に登場人物がみんな明るいので見てて重苦しい感じにはならないのがよいですね。


三連続で続きものの映画を見て、その後少し間が空いてしまったからそろそろ何か見たいな、というタイミングでちょうど『アイの歌声を聴かせて』の情報が入って来たのは幸運でした。 ■

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