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歴史関連記事まとめ

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私が書いた歴史に関する記事をまとめています。
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記事一覧

古代史ファンにはタマらん!名作アニメ「火の鳥」

今回は、手塚治虫の名作「火の鳥」について書きたい。 これは言わずと知れた、手塚先生の代表作とされる叙事詩系作品。 この作品の何が凄いかって、それはダークファンタジー要素とSF要素の見事なまでの調和である。 こういうの、並の漫画家ではなかなかうまく調和がとれない。 たとえば手塚先生の愛弟子、藤子不二雄先生。 藤子先生って、1人じゃなく2人でしょ? ・藤子F不二雄⇒SF(ロボットやテクノロジーを主に描く) ・藤子不二雄A⇒ダークファンタジー(オカルトなど厨二要素を主に描く)

「MONSTER」結局、怪物とは誰のことを指していたのか?

今回は、アニメ「MONSTER」について書きたい。 これの原作は、言わずと知れた浦沢直樹先生の代表作のひとつ。 私はリアルタイムにビッグコミックオリジナルの連載を読んでたんだけど、実をいうと、途中でしんどくなって離脱しちゃったんだよね・・。 うん、この漫画は単行本で一気に読むなら話はまた別にせよ、正直連載時はストーリーが遅々として進まず、地味で冗長で、きっと私だけじゃなく途中で脱落した人は案外多かったんじゃないの? 率直にいえば、この話、週刊誌の連載という媒体にフィットしてな

「空白の100年」の謎が気になってしようがない、「ワンピース」

今回は、「ワンピース」エッグヘッド編について書きたい。 「ワンピース」はめっちゃ長かった「ワノ国編」が昨年ようやく終わって、新たに始まったのが「エッグヘッド編」である。 この新章、かなり異色だと思う。 通常、「ワンピース」の各章は展開のパターンが決まっていて、 ①麦わらの一味、島に上陸 ②麦わらの一味、島を巣食う巨悪の存在を知る ③悪の組織の幹部(新キャラたち)と闘い、苦戦する ④ルフィがラスボスに挑み、複数回負ける ⑤地元のレジスタンス勢力と手を組み、最終決戦に臨む ⑥苦

NHKは、なぜ「ヴィンランドサガ」2期を放送しなかった?

今回は、「ヴィンランドサガ」について書きたい。 これ、叙事詩系アニメとしては間違いなく最高峰のひとつだよね。 これの原作者の幸村誠先生は「プラネテス」(NHK放送アニメ)の作者でもあり、全く違う系統の作品で、しかもどっちもが傑作。 ホント、凄い先生だよな~。 これは1期がNHK放送だったのに対し、2期からはNHK外れたんだよね。 よって、1期までしか見てない人って案外多いんじゃない? それはいかん。 「ヴィンランドサガ」は、むしろ2期こそがキモである。 元々この作品はプロッ

「シグルイ」武家社会の本質、日本人の本質を描いた野心作

今回は、「シグルイ」というアニメについて書きたい。 さほどメジャーではないが、私の中では非常に印象深いアニメのひとつ。 制作は、マッドハウス。 WOWOWアニメでありR15指定でもある為、おそらく地上波放映はされてないだろう。 なぜR15? うん、実はこの作品の監督は浜崎博嗣で、彼が「シグルイ」を作る3年前に作ったのが、あの「TEXHNOLYZE」だということから何となく意味を察してくれ。 ようは、異様なほど残酷なんですよ・・。 この作品の原作は少年チャンピオンの漫画で、連

「キングダム」嬴政は善で、呂不韋は悪という解釈は正しいのか?

今回は、「キングダム」について書きたい。 2012年からNHKが頑張って続けている人気シリーズで、先日にようやく5期が終了した。 なんか、長いよな・・。 我々は始皇帝が中華を統一した史実を知ってるからオチは明白なんだけど、「キングダム」は非常に丁寧に物語を紡ぐので、とにかく進行が遅い。 アニメ開始から10年以上経過してるのに、全く中華統一の気配すら見えてこない。 大丈夫かいな・・。 たとえば3期は全26話なんだが、これは「合従軍」編で秦国が絶体絶命のピンチに陥る大盛り上がりの

出崎統vs杉井ギザブロー、どちらの「源氏物語」が優れてる?

今回は、「源氏物語」について少し書きたい。 なんせ、大河ドラマが「光る君へ」だからね。 誰しも学校の古文の授業で「源氏物語」は学ぶんだけど、意外とその内容はよく知らないものである。 日本が誇る、「世界最古の恋愛小説」とも聞くんだが・・。 いや、恋愛のみならず、今から約1000年前の官僚社会が一体どんなものだったのか、この作品はそういうところも余すところなく描写してくれてるのがいい。 「薬屋のひとりごと」にハマった人とか、絶対「源氏物語」も嫌いじゃないはずだよ。 では、「源氏

「ダンジョン飯」と関西「うどん定食」の歴史

アニメ「ダンジョン飯」を見た。 結構面白いね。 「なろう系」かと思いきやそうではなく、原作は「ハルタ」という角川系の雑誌に連載されていた漫画だという。 「ハルタ」って、聞いたことないんだけど? こういうマイナー誌連載でありつつ、 ・2015年度コミックナタリー大賞  第1位 ・このマンガがすごい!2016オトコ編 第1位 ・THE BEST MANGA 2016 このマンガを読め!第1位 ・全国書店員が選んだおすすめコミック2016年度 第1位 ・Amazon ランキング大賞

「呪術廻戦」加茂憲倫とは一体何者?

アニメ「呪術廻戦」第46話にて、敵陣営の頭領・夏油傑の正体とは「史上最悪の呪術師」とされる明治時代の人物・加茂憲倫であることが明かされた。 いや、厳密にいえばその加茂憲倫も夏油同様に脳を入れ替えられてたみたいだし、その本体はもっと古い時代の何かだということになる。 ちなみに、両面宿儺は日本書紀にも出てくる実在の人物のようだが、幸いにも加茂憲倫はそういうのじゃなく、架空の人物っぽい。 ただ、この御三家のひとつとされてる「加茂家」というのは、陰陽師の賀茂家をモデルにしてることは間

石川五右衛門は、なぜ釜茹でにされたのか

「ワンピース」の中で、光月おでんというサムライが出てくる。 物語のカギを握る重要人物なんだが、彼はワノ国で20年前に釜茹での刑に処されて死亡している。 これが、その時の光景だ。 煮えたぎる油の中、おでんは自分と一緒に処刑される部下たちを抱え上げている。 これの元ネタは、もちろん石川五右衛門。 五右衛門の場合は抱え上げたのが部下でなく、自分の息子だったとのこと。 本人のみならず、家族まで釜茹でになったんだね。 こんな残酷な話があるだろうか。 あるいは作り話かと思いきや、実際に

いかにして崇徳天皇は最強怨霊となったのか

今回は「日本三大怨霊」の中でも最強と怖れられる、崇徳天皇について書きたいと思う。 仮にも元天皇という立場の人に対して怨霊扱いするのは失礼極まりないことと思うが、実際に歴代天皇はもちろんのこと、あの昭和天皇でさえ式年祭で彼の祟りを鎮めようとしてたわけで、そこまでガチでやられると逆に信憑性が出てきちゃうよね。 まずは、彼の身の上に何が起きたのかについて書こうと思う。 最初に、崇徳天皇の出生の秘密について。 公式には彼は鳥羽上皇の息子ということになってるけど、それは事実じゃないと

卑弥呼が最後に闘った男、卑弓弥呼

今回は、狗奴国について考えてみたい。 狗奴国とは何かというと、魏志倭人伝の中で「卑弥呼に従わなかった南の国」とされるところだ。 邪馬台国は、ここと戦争をしてたらしい。 それも短期決着とならず、勝敗の結果も魏志倭人伝に書かれてないところを見ると、狗奴国は結構善戦していたのではないだろうか。 大国に対して一歩も引かない気の強さといい、なかなか骨のある国である。 この国は男王のシステムらしく、その王の名は卑弓弥呼と記述されている。卑弓弥呼の読み方には諸説あって、「ひみここ」とか「

かつて異能力者だった日本の貴族

我々は子供の頃から日本史に慣れ親しんでいるので、将軍と天皇、ならびに幕府と朝廷というものを誰でもイメージをそれなりに掴めてると思う。 ところが、外国人だとそうはいかないらしいんだ。 事実、幕府と朝廷を英訳すると 幕府=Shogunate 朝廷=Imperial Court となる。 Imperial Courtは宮廷という意味だからまだ分かるとして、Shogunateの方は意味が分からないよね。 完全にShogunから派生した造語だと思う。 そう、本来なら将軍を英訳すればGe

聖徳太子とヤマトタケル、息子の意外な共通点

皆さんは、ヤマトタケルって実在したと思う? 彼は、とにかくキャラが立ってるよね。 戦えば無双の強さで、武器には草薙の剣という聖剣を持っている。 これってファンタジー物に出てくる「勇者」の設定、そのまんまだ。 あまりにも出来すぎのキャラなので、なんか作り物っぽい 私は、ぶっちゃけ実在してないと思う。 いや、正確にいうとモデルになった人物は多分いるんだよ。 ヤマトタケルは誰かが創作したキャラというより、日本全国に点在する英雄伝説をひとりのキャラに集約した「まとめ」っぽい偶像である