2022年9月28日

団体競技ではチーム内に弱点のある選手がいると相手チームから狙われる。例えばラグビーでタックルが苦手な選手がいれば、そこを徹底的に突いてくる。いくら攻撃が上手くても失点の起点となる選手はトレーナーからもチームメイトからも信頼されない。

これは政治経済にも当てはまる。第1次世界大戦では産業構造などに脆弱性を抱えるロシア帝国が最初に脱落した。「鎖はその最も弱い環で破られる」と喝破したレーニンは、「帝国主義戦争の内乱への転化」という戦略に基づき革命を成功させた。

欧州を見回すと、イタリアも「弱い環」である。第2次世界大戦ではいち早く脱落しており、戦後ドイツでは「今度はイタリア抜きでやろうぜ」と有難迷惑な言葉をかけられた日本人が少なくないようだ。
イタリアはEU内でもやっかいな問題となっている。10年ほど前に欧州を揺るがした債務危機では当事国であったにもかかわらず、改革らしい改革が行われなかった。戦後の内閣の「平均寿命」が1年2カ月の国で国民の痛みを伴う改革を行うことはそもそも無理な話かもしれない。

問題を先送りしていたら次はコロナ危機であり、現在の高インフレである。同国が抱える根深い問題を解決するためには身の丈に合わない生活をひとまず改めるとともに、経済力を高める必要があるが、そうした動きはみられない。
25日の選挙で勝利した極右「イタリアの同胞(FDI)」のメローニ氏は首相となり、混乱に拍車をかけるだろう。伝統に従って短命内閣で終わるにしても、メローニ後のイタリアが良くなるというイメージを抱くことは残念ながらできない。

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