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放っておけばよいと、気持ちが楽になれた本

先月、本屋さんをぶらぶらしていたら、ふとこの本が目にとまった。

放っておく力 枡野 俊明 著 /三笠書房

内向型な私は、他人の言葉をひとつひとつ気にしてしまう、めんどうな性格をもっている。現在携わっているシステム開発の仕事では、少し気分屋な顧客がおり、ときどき声を荒げて怒ることに嫌気がさしていた。

(説明が下手だったのは認めるけど……。)
(この話は前にも言ったのに……。)
とっさに気の利いた返しもできず、しょぼん。

そんな心境だった私にとって、この本の表紙の言葉にぐっと惹かれ、思わず手に取ってしまった。

本記事では、章ごとに印象に残った言葉を紹介しています。また、この本が読みやすい理由や著者についても書いています。



1. むやみに「関わらない」


いちいち顔色をうかがわない
——そこにある「卑屈さ」

「放っておく力」枡野 俊明著 P.32

私情を挟まず、感情を入れず
——それが、「嫌いな人」とうまくやるコツ

「放っておく力」枡野 俊明著 P.50

苦手な方の行動を、見ない、聞かないようにして流していく。

仕事では、課題を解決しながら淡々と進めていくことが重要。苦手なことが始まったら、心の中で「あ、また始まったな」と思って、全体を俯瞰ふかんして考えれば良いのだ。

この気持ちで会議に臨むと、心がとても楽になった。
もっともっとドライな関係でいいんだ。


2. いちいち「気にしない」


「平均」を調べない。
——その比較ほど不毛なものはない。

「放っておく力」枡野 俊明著 P.68

子育てでは、ついほかの子どもたちと比較してしまうことがある。
姉妹間で、同級生や習い事の仲間と比べてしまう。

思い返すと、子どもが生まれたときからそうだった。月齢ごとの赤ちゃんの様子や特徴がかかれた本をみながら、

(体重が増えないなあ…、母乳足りないのかも)
(うちの子はまだ寝返りができななあ)
(発語が遅いのかな)

こんな風に、気になる点は尽きなかった。

もちろん、発達に関する情報は成長の手がかりになるが、心配のもとにもなってしまう。第一子のときには、どれだけ本や雑誌を読んだかわからない。

子どもが小学生、中学生となった今でも、なにかと比較している自分がいる。

子どもは、それぞれに得手不得手があったり、それぞれのスピードで成長している。なぜ平均的な成長を求めてしまうのだろう。

比較をせずに、子どもの個性を尊重しようと改めて思った。


3. やたらに「反応しない」


情報の入り口を時々ふさぐ
——心の平穏に欠かせない習慣

「放っておく力」枡野 俊明著 P.6

現代社会は、たくさんの情報があふれている。自分で情報を集めるのではなく、周りからたくさんの情報が押し寄せてきて、それがノイズとなり、気持ちが落ち着かなくなることがある。

仕事では、Microsoft Teams、Slackやプロジェクト管理ツールなどさまざまなコミュニケーションツールを使っている。顧客からは返信が遅い、反応だけでも即座にしてほしいと言われることもあるため、できるだけ早い反応を心がけている。

そのため、プライベートの場では、何もかもすばやく反応するのではなく、ときには放っておくのも良いかもしれない。(もちろん場合による)

スマホを見ると情報がどんどん入ってきてしまうため、少しスマホから離れ、あらゆるノイズから解放される時間も意識的につくりたい。


4. 無駄に「疲れない」


「即今、当所、自己」
——「いま」「ここ」「自分」をしっかり生きる

「放っておく力」枡野 俊明著 P.154

この単語を私は初めて目にしたが、禅語だそうだ。
いまいるこの場で、目の前のやるべきことをやること。過去のことも先のこともあれこれ思い悩んでは心も体も疲れてしまうし、時間ももったいないね。

5. 無理に「白黒つけない」


 人事を尽くす
——そして天命を待つ

「放っておく力」枡野 俊明著 P.220

結果や評価をあれこれ気にするのではなく、とにかく今自分ができることに集中すること。落ち込んだり、悩んでしまったときほど、この考え方を頭の中に登場させたい。


この本に書かれている「放っておく力」は、私が理想としている「余白のある暮らし」、思考や心の余白にもつながると感じた。

この力を鍛えるには、考え方のトレーニングも必要かもしれない。思考がダメダメ回路に陥った場合には、この本を読み返して、自分の考え方を軌道修正したい。


見開き単位でスイスイ読める


この本は、見開き1ページ単位で言葉が書かれている。そのため、スイスイと読めてしまう。


読み返したいなと思ったときに、今の自分に必要な言葉が簡単に見つけられる点が気に入っている。
最近は、私の心の支えのような感じで手元においており、ときどき読んでいる。

著者 枡野俊明ますのしゅんみょうさん

曹洞宗 徳雄山建功寺 住職
庭園デザイナー (日本造園設計 代表)
多摩美術大学 名誉教授
玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化を根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。2006年「ニューズウィーク」誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。

本の背表紙から一部引用

これを読んで、驚いてしまった。

禅僧という肩書きを持ちながら、庭園デザイナーとしても活躍されているよう。書籍だけでなく、「禅の庭」を創作されている。

禅の思想を基に、人生のヒントとなる言葉を紡ぎ出したり、庭を創り出したりするという、とても興味深い活動をされている方だと感じた。


この本の最後のページにかかれてあった、枡野さんの本はこちら。
「禅、シンプル生活のすすめ」は、次に読みたいな。

枡野さんが手掛けられた「禅の庭」の作品集もたくさん出版されている。
こちらは、最新刊。こちらも見てみたいなあ。

ZEN GARDEN DESIGN


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最後までお読みいただきありがとうございました。
記事で紹介している本は、本文中のリンクや下記サイトから購入可能です。



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