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自転車とムチウチ

その日もバイト先へ向かう為に自転車を漕いでいた。
いつもと違ったのは飲まない焼酎を同僚に渡す為に鞄に入れてあった。
チャポン。
鞄の中から瓶の倒れる音がした。
瓶の蓋キッチリ閉めたっけ?!溢れたら大変!!
私は慌てて体を捻り斜め掛けの黒いバッグの中を両手で探った。
幸い瓶の蓋は閉まっていて溢れていなかった。
ふと気付くと地面が動いている!
なんと自転車に乗っている事を忘れていたのだ。
気付いた時には既に遅し…ハンドルを派手に取り逃し大きく前のめりに転んだ。
暫く動けなかった。
細い道でおじさんが舌打ちしながら迷惑そうに避けて通った。
え!?舌打ち?しかも無視!?
心の中で思いながらなんとか起き上がった。
電車に乗り無事バイト先に着いたら一番最初に会ったひとに
「どうしたの!?大丈夫!?顔真っ青だよ!」
何故だか急にポロポロ泣けてきてしまい
「自転車で転んだんです」
そう言ったら上から下まで私を見て
「えぇ!」と叫んだ。
帳場のひとが血だらけの腕を消毒し包帯をぐるぐる巻いてくれて
「今日はもう帰りなさい」
背中をポンと叩かれた
「はい」
とぼとぼ家へ帰り翌朝目が覚めると体を1ミリも動かせない。
軽く焦ったが昨日自転車で転んだ事を思い出しタウンページ(時代!)を必死で手繰り寄せ整形外科を探した。
電話を架け経緯を説明し温めたらいいのか冷やしたらいいのか聞いた。
電話口からは呆れた声で
「あのね診ないと分からないの」
そう言われ動けないのに理不尽だと思いながら懲りずに自転車を漕いで整形外科へ向かった。
「あぁムチウチですねぇ」
「え!?自転車ですけど!」
「あのねぇ車だろうが自転車だろうが首に負荷が掛かればムチウチなの」
首にコルセットを巻いて自転車を漕いで電車に乗りバイト先へ向かった。
私の姿を見た皆は開いた口が塞がらない状態で
「暫く休みなさい」
「はい」
帰り道に(はっ!自給どうすんだよ!)と思うが自業自得である。
その後数え切れないほど自転車でコケてとうとう自転車は諦めた。
自転車便利なんだけどなぁ。
幸い頭を打った事はない。
身の為に自転車はもう乗っていない。

余談
自転車乗れる方はヘルメット被った方がいいと思います。完全義務化でいいと思います。私の散々コケた経験は運動音痴と自業自得ですが防げる怪我は対策も重要だと思います。


2023年5月10日(水) Twitterより

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