児玉直純

児玉直純

最近の記事

シファの罠:今次戦争におけるイスラエル最大の挑戦

「The Meker」 Ronny Linder氏の記事より https://www.themarker.com/weekend/2023-11-10/ty-article-magazine/.premium/0000018b-b3c0-df42-a78f-bfc33f200000  シファ病院はイギリス委任統治時代に建てられ、イスラエル支配時はイスラエルガザ支配の主力プロジェクトとなり、最近までイスラエルの医師が毎月50件ほどの手術を行なっていた。2009年以来ハマスがそ

    • 戦時におけるガザへのエネルギー供給

      イライ・レティグ博士 (バルイラン大学のポッドキャスト、バル・ダアト2023年12月初旬放送より意訳) https://www.youtube.com/watch?v=o7WngkHxR3s&t=256s&ab_channel=%D7%91%D7%A8-%D7%93%D7%A2%D7%AA 問題の焦点   ガザへのエネルギー供給に関しては2つの主張がある。 1.国際社会の主張。ガザには十分な燃料がなく、酷い人道的危機に陥っている。それゆえイスラエルは十分な燃料を供給しな

      • 正当性の窓(ヘブライ語:חלון הלגיטימציה)の使われ方

        1.イェディオット・アハロノットの電子版「ynet」、2023年10月14日、ロン・ベン=イシャイ記者による記事「ガザへの地上戦開始が近づいている。米国が我々に提供する防衛」より https://www.ynet.co.il/news/article/s1ktu0vzp 「イスラエル国防軍は、ガザにおける効果的な攻撃を実行するためのできるだけ幅広い「正当性の窓」を提供するために認知分野で取り組んでいる。この「正当性の窓」は、軍がガザ地区に入る際の戦闘方法や手段を使用するための

        • イスラエル政府における閣僚の罷免

          2019年8月 オフェル・ケニッグ教授(比較政治学)の記事を元に作成 序 イスラエルにおいて、首相の閣僚罷免権は「暫定法11条7項」に以下のように定められている。 (1) 政府の閣僚は、議会(以下:クネセット)本会議における投票およびクネセット本会議における、自分が所属する派閥(政党等)の投票について、政府に対して責任を負う。 (2)政府の事前同意なしに、クネセット本会議で政府の提案に反対票を投じたり投票を棄権した閣僚は、政府がクネセットに通知した日から合法的に政府からの罷

        シファの罠:今次戦争におけるイスラエル最大の挑戦

          ユダヤジョーク3 契約の板

           神様がご自分の民を選ぼうとされたとき、契約の板を受け入れる民を探された。しかし誰も受け取りたがらなかった。  まず神様はアラブ人のところに行かれた。「契約の板はいらんか?」 「いりません」彼らは答えた。「『殺すなかれ』と書かれてあるからです」。  次に神様はフランス人のところに行かれて彼らに尋ねた「契約の箱は要らんかね?」「要りません」フランス人は答えた「『姦淫するなかれ』と書かれてあるからです」。  神様はローマ人のところに行かれた「契約の箱は要らんかね?」「いいえ、『盗

          ユダヤジョーク3 契約の板

          2022年へのイスラエル戦略レビュー(2)イスラエル国家安全保障研究所 INSS

          国際社会1つの世界、2つの認識、対立の拡大 動向:コロナ混乱後の経済回復。大国環競争による世界の対立の深刻化。気 候問題に関する協力関係。バイデン政権の内向、中東への注目度の減少、人権重視の強調。 提言:米国政府との連携強化。地域および国際的取組みを促進するための技術分野の利点活用。中国との経済関係およびロシアとの対話の維持。欧州との関係改善。ユダヤコミュニティとの関係の育成。  多くの危機と課題で混乱状況に陥っている中、国際社会はパンデミックに対処しつつコロナ危機からの経

          2022年へのイスラエル戦略レビュー(2)イスラエル国家安全保障研究所 INSS

          2022年へのイスラエル戦略レビュー(1) イスラエル国家安全保障研究所INSS

          概略 2022年直前の、イスラエル国家の戦略的状況は、防衛力、経済力、および技術力と、イスラエルが直面している政治、治安、および国内の深刻な課題とのミスマッチによって特徴づけられている。これらは、イスラエルにとって建国以来最も複雑で憂慮すべき戦力的脅威があることを示し、さらにイスラエルに、包括的で一貫的かつ先見的な戦略的視点が欠如していることを浮き彫りにしている。 焦点課題  イラン:核しきい値に達する努力を続けると同時に、複数の地域からの周辺、大規模そして正確な攻撃でイ

          2022年へのイスラエル戦略レビュー(1) イスラエル国家安全保障研究所INSS

          ユダヤジョーク2 選民

          神様、私は我々が選民だということは知っています。でも、誰か他にいなかったのですか?(ショレム・アレイヘム)

          ユダヤジョーク2 選民

          ユダヤジョーク1 神の存在

          あるユダヤ人の子供が異邦人の学校に入れられた。ある日その学校の先生が生徒たちを外に出して質問をした。「皆はあのりんごが見えるかい?」 子供たちは元気よく答えた 「はーい、先生」 「なら、それは確実に存在するということだ。では、そのりんごの木は見えるかい?」 「はーい、見えまーす」 「なら、それも確実に存在するということだね。ではもう1つ質問だ。みんなは神が見えるかい?」 生徒たちは答えた 「いいえ、見えません。」 先生は言った「なら、それは存在しないということだ。」 するとそ

          ユダヤジョーク1 神の存在

          ヘブライ語の代替長母音(תשלום דגש)

           代替長母音とは、別名強ダゲッシュ代替母音変化とも呼ばれ、二重となるはずの子音の前の母音が変化する現象を指す。 二重子音(強ダゲッシュ)とは  二重子音とは、実際には子音の長音化あるいは日本語の促音に近い音で、子音にダゲッシュ(強めることの意)と呼ばれる点を付して表記する。  例えば、עַמִּי、שַׁבָּת、הֻגַּשׁ 、הִלֵּ­ל など。  これらのダゲッシュが付されている子音は重なっていることを示すが、実際の発音は、hillelのようにその子音を長めた音ま

          ヘブライ語の代替長母音(תשלום דגש)

          ミハ・グッドマン博士「キャッチ67」についての講義より(まとめ)  テルアビブ大学にて                        

          序  「キャッチ67」は、イスラエル・アラブ紛争についての書籍ではない。イスラエル・アラブ紛争に関するイスラエル国内の言論対立に対するイスラエル人のアプローチを描いた書籍である。  私がまず最初に試みたのは、言論対立へのアプローチを心理哲学的な観点から分析することである。右派の思想的背景には偉大な思想家としてのゼエヴ・ジャボティンスキーがいる。入植者の背景にはラヴ・クックがいる。左派の思想的背景にはベングリオンやベレル・カッツネルソンがいる。単に右派や左派の言論対立を描く

          ミハ・グッドマン博士「キャッチ67」についての講義より(まとめ)  テルアビブ大学にて