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【令和6年度入試】 都立高校・進学指導重点校の合格最低点(ボーダー)の統計予測モデル 〜日比谷・西・国立・戸山・立川・青山・八王子東〜

※この記事は2024年2月21日実施の令和6年度入試に関する予測です。

立川高校の普通科は創造理数科からのスライド受検があり、当日発表の受検者倍率と実質倍率が異なるとのご指摘をいただきました。この仕組みに気付いて折らず、計算に反映ができておりませんでした。受検者倍率を補正して、予測値を計算し直しています。立川高校を受験してこの記事をご覧になっていた方、大変申し訳ありません。(2024/2/25)
立川高校・普通科の受検者倍率の補正方法を見直しました(詳細後述)。再補正の結果、立川高校の合格最低点予測は、前回から▲8点下方修正、初回予測から12点上方修正の718点となっています。度重なる修正につき、申し訳ありません。(2024/2/26)

1年前の長男の都立高校受験の後に、進学指導重点校の合格最低点の統計予測モデルの記事を書いてみました。1年間に約1万ビューあって、それなりに読んでもらえたようです。

予測モデルは、受験者倍率と3教科合計点数の平均点の2つの変数から、正規分布を使って合格最低点を算定するモデルです。先ほど、令和6年度入試の受検者倍率が公表されたので、合格最低点の予測値を計算してみました。さらに今年は、合格可能性○%の点数も算定しています。

統計モデルの詳細を知りたい方は、初回(令和5年度入試版)をお読みください。

なお、以下の内容は、合格最低点や合格可能性を断定するものではありません。あくまで、統計的にはこの合格最低点やこの合格可能性になるはずという予測値です。

しかも、私は統計の専門家でもないです。そして、数字はダブルチェックなしで、私しかチェックしておらず、誤入力や計算ミスがあるかもしれません。

そのため、一喜一憂せずに、一つの予測値として見てください。

0. 結論

当日に発表された受検者倍率に基づくと、今年の国語・英語・数学の3教科の難易度(受験者平均点)が例年並みであれば、都立高校・進学指導重点校の令和6年度入試における合格最低点の予測値は以下の点数となります。

なお、以降で扱う合格最低点は、ESAT-Jも含む1020点満点における点数です。

また、後述しますが、統計的には、この点数は合格可能性50%の点数となります。あわせて、合格可能性80%の点数も記載しています。

◆合格最低点の予測値(例年並みの難易度の場合)
 =合格可能性50%の点数

  • 日比谷:765

  • 西:727

  • 国立:735

  • 戸山:747

  • 立川:718 *普通科、創造理数科の定員超過全員が受験の場合

  • 青山:747

  • 八王子東:708

◆合格可能性80%の点数

  • 日比谷:782

  • 西:743

  • 国立:750

  • 戸山:757

  • 立川:730 *普通科、創造理数科の定員超過全員が受験の場合

  • 青山:760

  • 八王子東:714

今年が例年より難化していたり、易化していたらどうなるかを知りたい方、自分の点数で合格可能性が何%かを知りたい方は、以降を読んでみてください。

1. 前提条件

まず受検者の3教科の点数は正規分布していることが、大前提です。そして、前回同様に、3教科点数の標準偏差・理社の点数・内申点は高校ごとに違うが、同じ高校では年度に依存しない定数として設定しています。

さらに、今回はESAT-Jの点数も定数としました。よって、以下の合格最低点の予測値は、ESAT-J含む1020点満点での点数となります。

なお、令和5年度入試での予測について、子供の塾の追跡調査資料をもらった後に検証したところ、予測モデル自体は精度が高くはないものの、大外れはしていないようでした。

2. 合格最低点予測表(令和6年度入試版)

過去6年(平成30年度入試〜令和5年度入試)と比べて、今年(令和6年度入試)の3教科の難易度が例年と同じ程度なのか、難化したのか易化したのかに応じて、合格最低点を予測する表です。なお、モデルをシンプルにするために、男女別の最低点の違いはないものとして扱っています。

鍵となる今年の3教科の難易度(受験者平均点)については、過去6年の平均点の平均値(X)に対して、平均点の標準偏差(S)の幅で何パターンか計算しています。今年の3教科の難易度が過去と比較してどうかによって、合格最低点の予測値は変わります。

もし、今年の3教科は例年並みの難易度だと思ったら、「例年並み(X)」の行にある点数が合格最低点の予測値になります。難化したと思ったら、「難化(X-S)」の行にある点数が合格最低点の予測値です。逆に少し簡単になったと思ったら、「やや易化(X+0.5S)」の行にある点数が合格最低点の予測値です。

ただ、1校あたりのデータ数が6つしかないので、統計的な精度は低いです。年数を増やせば、統計の信頼度は上がるのですが、長期になると定数の前提の「同じ高校では年度で変動しない」が崩れます。3年1サイクルで2サイクルの6年がバランス良いところと判断して、過去6年との難易度比較にしています。

これらの前提を元に、令和6年度入試の受検者倍率を使って計算したのがこの表になります。

表1

冒頭の修正履歴に記載しましたが、立川高校(普通科)の受検倍率は実質倍率の試算値にしています。(2024/2/25)
さらに実質受検倍率の試算方法を変更しています。今年度の創造理数科の定員超過全員(83−34=49名)全員が、普通科をスライド受験したという計算ロジックにしています。結果として、立川高校の合格最低点の予測値は、初回:706点→703点→726点→最新:718点と変わっています。(2024/2/26)

3. 合格最低点予測表の使い方

具体的な表の使い方を、日比谷高校を例に説明します。基本的には、3教科の難易度が過去6年と比べてどうかで決まります。

もし、今年の3教科の難易度が例年並みと判断した場合、表1の「日比谷」の列のグレーのゾーンで、「例年並み」の行にある178.9点が3教科平均点となります。これは過去6年間の平均点の平均値と同じです。

今年の3教科の難易度が例年並みと判断した場合、合格最低点の予測値は「日比谷」の列のブルーのゾーンで、「例年並み」の行にある765点となります。

今年はもっと簡単だったと判断したら、「易化」の行を使って、3教科平均点は193.3点で合格者最低点の予測値は785点となります。逆に「かなり難化」と判断したら、「かなり難化」の行を使って、3教科平均点は157.3点で合格最低点の予測値は734点となります。

西高校の合格最低点を知りたい場合には、同じように西高校の列を使って、3教科の難易度の感覚から、該当する箇所を見ればいいです。

4. 自分の合格可能性

皆さんが知りたいのは、自分が合格するのかどうかだと思います。自己採点(ESAT-J含む1020点満点)を元にして、右端の「累積発生確率」を使って合格可能性を推定できます。

累積発生確率」は母集団が正規分布であることを前提にして計算した値です。「難化」の欄は、「平均点0点〜かなり難化〜難化」の発生確率を合計した数字になります。「例年並み」の欄は、「平均点0点〜かなり難化〜難化〜やや難化〜例年並み」の発生確率を合計しています。

それでは、自分の点数での合格可能性をどう算定するかを、日比谷高校を例に説明します。

もし、日比谷高校を受験したあなたの自己採点の得点が787点だったとします。その点数だと、「日比谷」の列で合格最低点の「易化」の行にある785点が近い数字になります。その「易化」の行を右に移動していき、「累積発生確率」の列を見ると、84%とあります。

累積発生確率84%という意味は、合格最低点が785点よりも低くなる確率が、統計的には84%あるということです。逆に言えば、785点を超えていれば、統計的には84%の可能性で合格最低点を超えて、合格するということです。

つまり、あなたの自己採点での得点が787点であれば、あなたの合格可能性も84%より少し上で、合格可能性は85〜86%と計算できます。

同様に、あなたの自己採点の点数が775点であれば、「やや易化」と同じ点数なので、累積発生確率=合格可能性は69%となります。3教科平均点が例年より多少上がっても、合格する可能性あります。

逆に、もし748点しかない場合、「難化」が744点で累積発生確率が16%であることから、あなたの合格可能性はそれより少し上の20%くらいと推定できます。3教科平均点が例年より10点ほど下がってないと合格しないでしょう。

一方で、合格最低点が785点を超える確率は100%-84%=16%あります。これは、あなたの自己採点が785点の時、不合格になる可能性が16%あるということを意味します。

例えば、日比谷高校の過去6年の3教科平均点の「易化(X+S)」は193.3点です。過去6年では、1回だけこの点数を超えたことがあります。2022年度入試の3教科平均点の200.1点です。

3教科平均点が200点は「かなり易化」の点数とほぼ同じなので、今年の受検者倍率だと、合格最低点は795点くらいと予測できます。合格最低点が795点の場合、あなたの点数の785点ではおそらく不合格です。

このように、785点では不合格の確率が統計的には16%あるのです。偶然もありますが、6回中1回の発生確率は1÷6=16.7%で、ほぼ16%です。

念のために、7校の過去6年分の42データを用いて、実際の入試での発生頻度を計算して、3教科平均点の累積発生確率を検証したのがこの表です。少し乖離はありますが、実際の入試での発生頻度と統計的に算定した累積発生確率は近い数字にあることがわかります。

表2

このように、累積発生確率は3教科平均点の発生確率となります。つまり、3教科の難易度(平均点)を特定できない確率変数と見れば、累積発生確率は合格可能性と読み替えることができます。そこから逆算すると、合格可能性20%幅ごとの点数はこの表のようになります。

表3

5. 最後に

これは簡易的な予測モデルです。

このモデルだと、合格最低点は3教科平均点の見立てに依存しています。この見立てを誤ると、合格最低点は10点単位で上下します。また、定数として設定している理科と社会の難易度が大きく変わっても、合格最低点は10点単位で上下します。

そのため、1点単位で見て、一喜一憂しても仕方ないです。10点単位くらいで、参考程度に見てもらうのがいいと思います。


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