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「就活の面接官は、通す学生と落とす学生を、どこで見分けるのですか?」という学生からの質問に、何と答えるか?

先日、知人の大学の先生の学生さんへ、就活アドバイスを行う機会がありました。

この20数年間、私は新卒の採用面接の面接官を、数年に1回の頻度でやってきました。それらの経験を元に、就活アドバイスを話した後、ある学生から出たのがこの質問でした。

「就活の面接官は、通す学生と落とす学生を、どこで見分けるのですか?」

シンプルですが、なかなか深い質問です。ビジネスで言うところのKFS(Key Factor for Success)を求められています。その場では、少し考えて、私は学生に自分なりの考えを伝えました。

質問した学生も他の学生も、私の回答に納得してくれたようで、その場は終わりました。ただ、改めて考えると、もう少し伝えるべきことがあったと思えてきました。

そんな中、ちょうどnoteで就活の特集をやっていることに気づきました。似たような疑問を持つ就活生もいると思うので、この質問への私なりの答えを整理して、記事にまとめてみます。

1.  面接した学生の層

面接した学生は、東大・京大から偏差値50以下の大学まで色々でした。理系の専門ラインはやったことなく、学部不問のラインでしたので、学生の所属学部は文理混在でした。

業種は電機メーカーとITソリューション会社です。1次面接、2次面接、最終面接のいずれの面接官も経験しました。

業種は限定的ですが、20年の時間の中で、それなりに幅がある学生を面接してきたと思います。

2. 1次試験で見分けるポイント

これはシンプルです。1次面接は玉石混合なので、「当社でやりたい仕事」を聞くと、はっきり差が出ます。とりあえずエントリーした学生は、的外れな仕事をやりたいと説明したり、抽象的な説明で終始します。

落とした典型的なケースは、電機メーカーの面接で「私は御社の営業をやりたい。お客さまに最適な家電を販売したい。お客様にどんなニーズがあるか聞いて、一人一人に一番よい家電を提案したい。」と説明した学生です。

私は「素晴らしいですね。でも、その仕事をやりたいなら、当社でなく、Y電機のような家電量販店をお勧めします。」とアドバイスしてあげました。

電機メーカーはまだ調べてなくても、製造業に興味あれば、製造業の採用面接で、小売業の仕事をやりたい、と言うはずないですよね。

逆に、インターンや会社案内から、この業界の仕事のイメージを掴んで、やりたい仕事を説明できる学生は、話を聞けばすぐわかります。そうした学生は、やりたい仕事の説明が、当社の仕事と少しくらい違っても通してました。

そんな感覚的な基準で判断できるの?、と思われるかもしれませんが、1次面接は本当に玉石混合です。大企業やブランドだけでエントリーした学生から、この業界や当社の仕事に本当に興味ある学生まで、レベル差100くらいの学生を面接します。

客観的な評価のために、面接官も事前に、コンピテンシーとかバイアスとかの講義を受けてます。管理職で部下の評価も行うので、この手の理論は定期的に学び直しています。

でも、そんな理論は関係ないレベルで、1次面接では、学生の志望の本気度に決定的な差があります。よって、1次面接の当落を分けるポイントは、「当社でやりたい仕事が本気かどうか」でした。

3. 最終面接で見分けるポイント

次に、最終面接です。1次と最終の間にも面接はありますが、そんなに大差ないので、説明は省略します。では、最終面接で見分けるのはどこか、というと、それは「当社でやりたい仕事」です。

1次面接と同じじゃないか!、と思われるかもしれません。でも、同じ質問でも、判断するレベルが違います。

最終面接まで来る学生は、この質問に対して、的外れなことは言いません。例え当社が第1志望でなくても、他が全滅したら当社で働きたい、という意思も持ってます。

では、そのレベルに到達した後、最終面接を通る学生と落ちる学生は何が違うのでしょうか? それは、「やりたい仕事への考えの深さ」の違いです。そのため、「当社でやりたい仕事」を聞いた後に、それに関する追加質問をします。

  • 同業他社でも似た仕事はできると思いますが、なぜ当社でその仕事をやりたいのですか?

  • あなたの説明した内容だと、当社でできる仕事は半分くらいしかない。例えば、こういう仕事。それでも当社で働きたいですか?

  • SE希望ですが、あなたがやりたいと説明した仕事は、当社では営業がやってます。当社に入社いただく場合、配属は営業でもいいですか?

自分なりの仕事への考えが、ストーリー(シナリオ)になっている学生は、こうした質問にも素晴らしい回答をしてくれます。

最終面接なので、他の質問も行います。ただ、私が面接官を行う場合、最終面接では、「当社でやりたい仕事の背後にある考えの深さ」が当落を分ける最大のポイントでした。

4. 結論

結局のところ、冒頭の質問への答えは、「当社でやりたい仕事の説明で見分けている」となります。面接の段階で基準は変えていますが、軸は同じです。いわゆるガクチカは、私は斜め読みくらいで、質問もしません。

では、なんでこの軸で見分けているのだろう、と改めて考えてみると、「その人が当社の仕事で活躍する姿を、イメージできるかどうか?」に行き着きます。

本人にとっても、会社にとっても、入社した後に仕事で活躍できるのが一番良いことです。だから、そこに拘って、「当社でやりたい仕事」を軸にして、通す学生と落とす学生を見分けているのです。

もちろん、会社や面接官で判断するポイントは違うはずです。また、勤め先では複数の面接官の協議で合否を決めてましたので、私の基準だけでは決まりません。

そのため、ここに書いたことは、あくまで「ある面接官の見解」にすぎません。とはいえ、これから就職活動をする方の参考にでもなれば、嬉しく思います。

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