練習の考え方 #2 ステップ「磨くべき曲」

はじめに

こんにちは。麻生洋平です。
今回はステップ「磨くべき曲」の段階にきた曲を
どう練習してくかを考えていきたいと思います。

ある程度、頭から繋げて弾けるようになったら、
それでその曲はオッケー。完成して次の曲へ!
というのはもったいないです。

せっかく覚えたその曲を、「人前で弾けるステージ用の曲」のレベルまで引き上げるために、この段階は存在します。
曲の細部を磨いて、クオリティを上げる段階ですね。
磨いて、誰が見ても素敵と思えるぐらいピカピカにしましょう。

今あなたが弾いている曲が
□譜面見ながらでも、なんとか完奏できる
□メトロノーム無しでなら、途中つっかえながらも完奏できる
□曲のイメージを頭から最後まで、頭の中で朧げながら流せる

上記に当てはまる場合はこのステップに進んでOKです。
そうでない場合は前の1、ホップ「新曲」
の段階に戻って練習の考え方、方法を学んでみてください。

2、ステップ「磨くべき曲」

「磨くべき曲」とは、譜面を見ながらでも、途中でつっかえて止まりながらでも、なんとか完奏できるレベルの曲のことを言います。
この曲を磨いて、人前で弾いて感動するような「レパートリー、ステージ用の曲」に仕上げていきましょう。

このステップでは、下記チェックボックスをクリアしていきます。

□曲のロードマップを作る
□イメージを鮮明にする
□問題に気づく、それを解決する
□テンポを早めていく(目標テンポに近づける)
□暗譜する

曲のロードマップ

まずは曲のロードマップを作ります。
下記画像をご覧ください。

曲のロードマップ表

まずロードマップに「曲名」と「目標テンポ」、現状の「仮テンポ」を記入する項目があります。

その下段は曲のパート分けです。Intro、Aパート、Bパートなどに分けます。

その下の「内容」、問題解決セクションには、何がうまくいっていないかを記入していきます。
ここは「問題」「解決」の二つのセクションに分かれています。

その下の「評価」のセクションは、全体を通して、自分がそのセクションをどれだけ弾けるか、を採点し評価します。

その下が「曲の流れ」(イメージ)、全体をどう弾くかのイメージを書き入れる項目です。

さてロードマップを使って、今弾いている曲を解析していきましょう。

ロードマップの記入例

ロードマップ記入例


ステップ「磨くべき曲」の段階にきた曲は、ロードマップに書き入れていきます。
表の上部に「曲名」「目標テンポ」、現状弾いている「仮テンポ」を書き入れます。
記入例では「曲名Fly Me To The Moon」「目標テンポ120」「仮テンポ」「仮テンポ80」になっています。
(仮テンポはセクションによって異なることもあるので、一番遅いテンポを記入しておきましょう。)

そこを記入できたら次はパートを書き入れます。
この曲の場合はIntro-A-B-A'-C-Outroの順でパートが分かれています。
それ以上パートがある場合は用紙を2枚使っても良いでしょう。

そこまでできたら次は表の下段の、「曲の流れ」(イメージ)セクションを埋めていきます。
ここのイメージを明確にすることが、この曲の目指すべきゴールを作ることに役立ちます。

曲の流れをイメージする。それをグラフ化する。

このセクションでは曲の盛り上がり(音量の強弱)を書いていきます。
盛り上がりの上昇下降をわかりやすいようにグラフにしましょう。

どこのパート、どこの小節、どのフレーズが一番音量、音圧が上がるのか。
その曲のピークはどこなのか。
まずそこを探して書き入れます。
そして一番小さく弾く場所、静かに演奏する場所も確認します。

最大音量と最低音量がわかったら、その間を埋めていきます。
なるべく正確に、曲を頭にイメージしながら書きましょう。

目指すべき原曲、演奏がある場合は、それを参考にダイナミクスのマッピングしてみてください。

そうしたら言葉でどういう風に弾きたいのか、のイメージも書いておきましょう。
「柔らかい音で弾く」→「赤ちゃんのほっぺたに初めて触ったときのような柔らかさで」
など細部まで作っておくと、イメージしやすいです。

そのイメージのマッピングが精密であればあるほど、目指すべきゴールが明確になります。
このイメージを明確にするステップで、曲を聴き込みましょう。

また、作曲家や演奏者が何を考えているのかの文献なども参考にして、イメージをより明確にしていきます。
人が演奏しているのを聴きにいくのも良いですね。

そうして頭の中でイメージを明確にしていくと、曲が頭の中で最初から最後まで澱みなく、流れるようになります。(最初は譜面を読みながらでも良いですが、慣れたら譜面なしでも再現できるようにしましょう。)

問題解決のステップ

イメージが明確になったら、次は問題解決のステップに進みます。
自分の演奏を聴き、問題を発見し、それを解決していきます。

問題発見の際に一番重要なのは客観性です。
ですので演奏を携帯の動画などで撮って、
自分の演奏を観て、聴いてみましょう。

そして淀みがある箇所があったら、「問題」のカテゴリーに書き入れていきますこの時、3小節目でリズムがよれる、と言うことに気づいたら、まず書き入れ、そこから理由を探していきます。

何故、リズムがよれるのか。
問題の核を探していきます。

右手がそのテンポで動かないのか、
それとも左手のコードチェンジが間に合わないのか。
はたまた頭の中に音のイメージがないのか。

問題を細分化できたら、次はその隣の「解決」のカテゴリーに解決方法を書き入れていきます。

右手がそのテンポで弾けないのなら「仮テンポ」を遅くしてみる。
あるいは基礎練習で右手を動くようにするピッキングのトレーニングを取り入れる。
(この辺りは先生がいると、助けになってくれるでしょう。)

左手のコードチェンジが間に合わない場合は、左手の動きを確認して無駄な動きがないか確かめる。テンポを落とす、が有効です。

頭の中にイメージがなく音がわからなくなってしまう場合は、原曲の該当箇所をよく聞き、イメージトレーニングします。
頭の中のイメージをより精彩にしていきます。
これを「中(ナカ)」の練習、と僕は呼んでいます。
(中と外の練習については、別の機会に説明します。)

その「問題発見」と「解決方法を探す」ステップを全てのパートで書き出します。

「評価」のステップ

そして再度、自分の演奏を聞き、各パートを評価していきます。
「評価」のステップです。

各パート、100点満点方式で点数を書き入れていきます。

80点を及第点として、もう人前でも演奏できるレベル、目標テンポで淀みなく弾けるレベルのパートが80から100点のレベル。

目標テンポにやや届かないが、仮テンポで淀みなく弾ければ、70から80点。

仮テンポでかっちりリズムよく弾けないけど、なんとか最後まで弾けるセクションであれば50から70点。

途中で止まってしまう場合はそれ以下。

上記のような採点方式で僕は書き入れています。
最初は大雑把で大丈夫です。

このプロセスは「どのセクションが一番苦手なのか」を探すために存在します。

そして一番大事なのは「苦手なところ」「一番点数の低いところ」から練習をすることです。
大抵の人は曲が弾けるようになったら、曲の頭から練習します。
一度曲が止まってしまうと、また曲頭から練習をスタートします。
そのせいで曲頭はすごく上手くなるのですが、一番苦手な部分は上手くなるスピードが遅くなってしまいます。

それを避けるための評価システムです。
練習は「苦手なところ」に取り組み、
「問題発見」し「解決方法」を試みましょう。

そして反復して練習する間も、自分の音を聞き、録音、録画して、
しっかり成長しているかどうか「評価」を繰り返しましょう。

そして成長していないな、と感じたら、
それは「問題発見」の箇所、あるいは「解決方法」が間違えている可能性があります。
早急に確認して、先生や自分より上手いプレイヤーのアドバイスを聞きながら「問題」「解決」のフェーズを組み直しましょう。

そうしていくうちに、「一番苦手なパート」「一番評価の点の低かったセクション」が、
「得意なパート」に変わってきます。
練習上手になっていれば、「一番得意なパート」に成長している可能性もあります。
その時は再度、評価の点をつけ直し、次の「一番点数の低いセクション」の練習に取り掛かりましょう。

その繰り返しで、あなたの課題曲のクオリティはどんどん上がっていくはずです。

次回はテンポを早める考え方、
「仮テンポ」を「目標テンポ」にスピードアップする方法ついて解説したいと思います。
次回をお楽しみに!

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