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【インタビュー】「ナイロンなんて、染まるわけないが。」でもウチはつねにハードルを越えていく。|株式会社ショーワ副会長・片山恵美子

1941年創業の株式会社ショーワ。岡山県倉敷市児島にて、糸の染めと織りを一貫して行うデニムのテキスタイルメーカーです。

今回新たに発表した「ナイロンデニム」をはじめ、これまでもさまざまな素材開発にチャレンジしてきたショーワ。

「ナイロンデニム」開発ストーリーはこちら↓↓↓

前回は会長の片山雄之助さんに

今回は、ショーワでテキスタイルデザイナーとして活躍する現副会長・片山恵美子さんにお話を伺いました。

新しいモノを生みやすい環境

山脇:
このたびショーワさんが新しい素材「ナイロンデニム」を開発されたということで、今回は副会長の恵美子さんに素材の特徴や背景について伺いたいと思っております、よろしくお願いします。

恵美子:
よろしくお願いします。

山脇:
(机にある生地を見て)いやあどれも良い生地ですねえ。副会長はもうずっと、ショーワでテキスタイルのデザインを。

恵美子:
そうですね。基本的にショーワは織物(生地)をつくる会社ですから、その企画、デザインの部分を担当してきました。

ただ、創業期からというわけではなくて、1970年代に自社で糸の染めから生地を織るまで一貫で手がけるようになったころから、生地も開発しはじめたという次第です。

山脇:
そうでした、歴史の部分は会長からも伺いました。ショーワの中でオリジナルの生地をつくっていこうとなったとき、最初に方針のようなものは固めたのでしょうか。

恵美子:
メンズの洋服に使用されるようないわゆるざらっと、しっかりした生地を織る工場は、もうその当時にたくさんあったんですね。

なのでショーワとしては違うモノをつくっていかなければ差別化できない、ということで、レディスや子ども用に合う、風合いの優しいなめらかな生地を中心につくっていくことを決めたんです。

山脇:
おお! まさに僕がショーワに伺う際いつも目にする生地たちです。ということは、もう40年以上そういったいわゆるソフトな生地づくりを得意とされてきたわけですね。

恵美子:
はい。当時も今も、ショーワは染めから織りまで自社工場内でやっておりますから、生地を開発する環境としては非常に恵まれているんです。

私のような企画側の立場の人間が、ちょっと現場に行ってすぐ確認することができる。試行錯誤をやりやすいという点で設備は優れていると思います。

山脇:
そこが新しい生地づくりをしやすい一つの要因であるわけですね。

世界の銀メダルを獲った10年前

恵美子:
デニムといえばコットンを使用するのが一般的ですが、ショーワはこれまで、コットンにとどまらずリネン、シルク、カシミヤなど、天然、動物性の素材をインディゴ染めすることに成功し、生地を開発してきました。

やはり、新たなモノをつくって、それがお客さんに喜んでもらえたときが一番嬉しいですね。喜んでもらえるから、また新しいモノをつくろうと思える、いつもその連続です。

山脇:
シンプルだけど本質的だと思います。ショーワといえば、2009年の「premiere vision(※)」で表彰されたのが10年前。
(※)世界的な生地の見本市

その生地も海外に向けて新たに開発したモノだったんですよね。

恵美子:
はい、当時常識的には染めることができないと言われていたウール素材を用いたデニム生地で、10万点の中から「Handle Prize」すなわち"銀メダル"をいただいたんです。

実はpremiere visionでそういったコンテストのようなものができたのはこの年が初めてで、余計にまさかまさかという感じでした。

紡績工場にお願いしてわざとムラのあるオーガニック糸をつくってもらい、それを何とか染め上げました。自信はあったんですが、展示会場に持って行ったら隅っこの方に置かれていて。笑

「ああ、やっぱりこんなおとなしい見た目の生地はわかってもらえるわけないわ」

と半ば諦めていたんです。笑

そうしたら、審査員に突然呼び出されて、何事かと思ったら受賞だと。当時の審査委員長・エルメスのチーフデザイナーに「こんな生地は他にないね。」って褒めていただいて。

とても自信になりましたし、この受賞をきっかけに、もっと新しいものづくりに励もうと思えるようになりました。

「ナイロンなんて、染まるわけないが。」

山脇:
premiere visionでの受賞がひとつ、きっかけとしてショーワのものづくりを世界に知らせる象徴の出来事でしたね。

それからちょうど10年後の今年、満を持して「ナイロンデニム」を発表されました。

恵美子:
そうですね。着手してから丸3年。構想期間を含めるともっとかかりました。まずは、もうほんとに大変だった。笑

実はそれ以前にも一度ナイロン素材の染めにチャレンジしたことがあったんです。そのときは糸ではなく、生地の状態での染めでしたが、まったくうまくいかずギブアップしてしまった。

うまくいかないというのは、インディゴ染料がナイロンに定着せず、水洗すると落ちてしまう。ということなのですが、つまり何度か染まった状態は見ていて。

染め上がった色がとにかくキレイだったんです。コットンとは違う、グレーがかったインディゴブルーが印象的で、それをずっと覚えていたからいつかまたやりたいなあと。

山脇:
頭に残っていたわけですね。

恵美子:
はい。再び開発をはじめたのが3年前。ああでもないこうでもない。とにかくいろんなやり方を試し続けました。

「やっぱりナイロンなんて、染まるわけないが。」

何度そう思ったかわかりません。笑

山脇:
失敗、また失敗の中で、何が副会長を突き動かし続けたのでしょう。

恵美子:
premiere visionで確信したように、ショーワがつくる新しいモノは、必ず評価してもらえる、喜んでもらえるという自信ですかね。

パイオニアとして、これまでにない生地を提案していく。時代が進むにつれ、どんどんハードルは高くなるんですが、つねにそれを乗り越えていきたいと、いや乗り越えなければショーワに未来はないと。

そんな気概に似た感情です。

このナイロンデニムは普通のハードルより一段も二段も高かったですね。

山脇:
そんな気持ちの込もった素材で製品をつくれること、本当に光栄に思います。

挑戦を続けるために

山脇:
ナイロンデニムの素材特性を伺いたいのですが、速乾とシワになりづらさ、この2点でしょうか。

恵美子:
あとは軽量であることですね。さらっとしていて、身につけたときに気持ちいい素材だと思います。すぐ乾きますからアウトドアのシーンにも合うでしょうね。

山脇:ありがとうございます。

今日お話を伺って、改めてショーワのものづくりの誇りを感じ取りました。製品名に「Pride」とつけたのは間違いじゃなかったと確信しています。

チャレンジしたものが多くの人に届くことによって、また新たなチャレンジのきっかけが生まれる。ショーワはまさにそうやってこれまでやってこられたんでしょうね。

EVERY DENIMとして「Pride」を少しでもたくさんの人に知ってもらうことで、ショーワのものづくりのプライドをまた次へ繋いでいけたらと思っています。

ああ、なんて誇らしいんだ。笑

恵美子:
ぜひ、よろしくお願いします。


語り手:株式会社ショーワ副会長・片山恵美子
聞き手:EVERY DENIM共同代表・山脇
写真:Kenta Kaneda

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山脇 耀平 / EVERY DENIM

岡山発兄弟デニムブランドEVERY DENIMの兄 / えぶりシティ市長 / 2018.4〜2019.7 キャンピングカー「えぶり号」で全国47都道府県を巡りました!! / 2019.9.10まで伊勢丹新宿で企画展を開催中です

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