プロセスを表舞台に引きずりだす

映画そのものよりも、その製作ヒストリーが好きな人はいませんか。ぼくはその一人です。「こんな風にして作られていたのか!」という驚きや感動が、しばしばその作品自身から受ける影響を超えてくるタイプです。「ドキュメンタリー好き」の人間とも言えるかもしれません。

これら製作ヒストリーなどは俗に「舞台裏」や「裏側」と呼ばれます。「舞台裏の紆余曲折」はドキュメンタリー番組において必須とも言え、その裏側を垣間見ることで、作品鑑賞をより味わい深くしてくれます。

「裏側」ということは、それに対して「表側」があるということです。先のような映画製作でいえば「表側」は完成した作品でしょうし、またスポーツに例えれば、試合までの練習風景などがそれに当たるでしょう。言い換えれば、「表側」は「本番・完成品(プロダクト)」であり、「裏側」は「過程(プロセス)」であるとも言えるのです。ぼくたちは本番までの過程を覗くことで、秘められた裏側を知りワクワクするのです。

いま、あらゆる分野において、プロセスの透明化が進んでいます。食べものであればどこでだれがどんな風に作っているかわかるものが受け始めていますし、衣服だって同じです。人事評価制度は明確化し、アイドルの立ち位置すら理解できるようになっています。世の中を覆っていたブラックボックスが、少しずつ、なくなってきているように感じています。

一方で、これらがあくまで透明化であることを意識しなければとも思います。見えるようになったのは生産”背景”であり、裏側です。自分が触れるプロダクトのプロセスを知られるようになったのは、それはそれでとてもうれしいことですが、「裏側を覗けるようになった感覚」にとどまっていることには注意しなければなりません。この感覚において、過程は裏側とみなされたままです。

これに対して、過程を表側に引きずり出す流れも存在しています。近年日本に上陸して注目を浴びている、ブルーボトルコーヒーダンデライオン・チョコレートなどが代表と言えるでしょう。そこでは口にするコーヒーやチョコレートの製造過程を(完全にとは言いませんが)見ることができます。

こういったお店でぼくたちは、もはやプロダクトの裏側として過程を眺めているのではなく、過程自身がプロダクトの一部として、表側に登場しているのではないでしょうか。そして、こういった流れは今後も3Dプリンタの普及やDIYブームに乗ることで、ますます加速していくと思うのです。

プロセスを裏側としてみなすのと、表側としてみなすのは、似ているようで異なる行為です。プロダクトは単なるモノ自身に限りません。プロダクトを最終的に得られる体験としてみなせるとすれば、いかにしてプロセスがプロダクトに関わっていくのか、表舞台に登場していくのか。現代のぼくたちは、もはやプロセスを見られるだけでは満足できず、そんなことにワクワクするのかもしれません。

山脇、毎日。



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山脇 耀平

山脇、毎日。(1)2016.5〜10

山脇が考えた日々のこと。平日毎日更新。
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