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メディアがなくなるということ 眼の前で道新の夕刊と日経産業新聞がなくなって私に起こったこと

亀松太郎さんが、「新聞に夕刊があることの意味」に関する投稿をし、アンケートを実施していた。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfe7_KWD4qHn9R6EhazURCoSyj-Qng8CXH07nat_dzSRbWA2Q/viewform?fbclid=IwAR0QEDIyMgIwGy7mADnCBZ350epS3r2IlvQBvE-v8EXvR_UFTqMtJ7WuqOM

彼の投稿にもコメントしたが、関連して色々考えた。というのも、昨年、北海道新聞(道新)の夕刊がなくなり。まあ、以前から噂されていたし、この流れは各紙でも続くと見られているのだが。

約5年前から道新で「鳥の目✕虫の目」という読書エッセイを担当している。北海道に縁のある文化人(と自分で言うのは恥ずかしいのだけど)が、最近の書籍を紹介するというコラムだ。お陰様で、反響が大きく。いつもローカルネタから入り(地元の札幌市南区藤野の交友関係や、札幌南つながりの人の名前もニックネームで書くし、札幌の店の名前も出す)、そこから話を広げていく。10代の自分に向けて語りかけるイメージで書いている。

実は道新の夕刊廃止は、めぐりめぐって私の連載にも影響を与えており。というのも、夕刊は「文化」に関するページが多く。その一部が、日曜版にまわってくる、と。つまり、夕刊廃止により紙面の見直しが行われたのだ。私の連載はこれにより、掲載頻度が減ってしまった。もともと3ヶ月に1回程度だったのだが、より間隔があくことになった(1本あたりの原稿料は据え置きだったが)。

読者視点でも、ビジネス視点でも「夕刊っているの?」という声はあるだろう。ぶっちゃけ、全国紙すべて+東京新聞+日経2紙をとっている私だけど、必ず目を通す夕刊は読売新聞だけだ。その理由も、これだけ唯一紙でとっているので(取らざるを得ないので)もったいないから読むのだ。もっとも、読んでみると、ほっこりする記事、急ぎではないが、ためになる記事もある。読売でいうと、土曜の夕刊に載る、著名人の闘病体験記は自分や家族、友人に何かがあったときのために、参考にすることにしている。

日経産業新聞も同様で。「電子版で、ええやん」となるだろう、普通に考えて。ただ、いざ無くなるとなると、実は様々な当事者にとってメリットがあった点に気づき。

よく言われることであるが、実は日経産業新聞は企業の広報と日経のリレーションづくりの場だった。プレスリリースの受け皿とも言う。広報にとっても、日経にしても、日経本紙には載らなくても、日経産業に載るという実績をつくることができ。日経からしても新興企業とも大手企業とも関係を良好に保つことができる。広報と記者の懇親の場という意味もあった。「それが読者にどう役立つのよ」というツッコミはあると思うが、これによりどこよりも速く日経でスクープを読むことができるかもしれない、と。・・・広報と日経の都合だな。

約6年、HR関連のコラムを日経産業で担当したが、日経以上専門媒体未満の「ガチ度」で書くことができ、楽しかった。つまり、一般の読者ではなく、人事部長・担当者、人材ビジネス関係者が「へぇ」と言うレベルで書くことができる、と。読者視点で言っても、そのレベル感のHR関連情報を読むことができるので有益だった。

日経としては、いや、企業の広報や、感度の高い読者にとっても、プレスリリースの受け皿をどうするか、ベンチャー企業の情報をどうするか、専門性の高い情報をどうするかという論点があるだろう。「電子版があるやん。いくらでも載せれるやん」となるが、読みやすく、探しやすくする工夫が必要で。

ただ、ちゃぶ台をひっくり返すが、企業の広報と話していると、そもそも「メディアで紹介される意義」自体が問われており。所詮、経営陣など社内への言い訳づくりにしかならないのではないか、その情報を届けたいビジネスパーソンに届くかという問題もあり。悩ましい。

「メディアがなくなる」「生き残りのためにリニューアルする」ということは、冷静に、冷徹に考えると「もう無理やろ」「当然やろ」「過渡期ですなあ」となるのだが。一方で、その影響は少なからずある。

何度か炎上しつつ続いたSankeiBizでの連載はメディアごと消えてしまったが、やはり複数の書き手の活動の場が減ったという話であり。売上はともかく、ダメージが大きかったのがBLOGOSだ。私はブログの転載で、同編集部が企画する独自のインタビュー企画以外は原稿料ゼロだったのだが、発信の場としては機能していた。

この問題、どの視点からみるかという話だが。著者として、生き残りをかけて、今年は頑張りますかね。

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