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How did the other team feel?

(この記事は、Instagramにて2月3日に掲載した文章の転載です。)



スヌーピーとチャーリー・ブラウンが主人公の『PENUTS』という有名なマンガがあって、その有名な逸話の一つに
「How did the other team feel?」
というものがあります。日本語訳すると、画像の通り「負けたほうのチームはどんな気持ちだったんだろう?」。

勝負事に勝ったとか、夢を叶えたとか、新しい世界の扉が開いたとか、お金を儲けたとか、なんでもいいんですけど、どんなことにだって「そうでなかった側の人たち」がいます。
幸せに生きている人の影には不幸なまま死んでいく人がいる。明るいニュースと暗いニュースの両方があり、懸命に生きている人の特集の後に殺人犯が死刑判決を受けたニュースが報じられたり、きらびやかなタワーマンションの下でホームレスが段ボールを敷いて寝ていたりする。
勝ち組と負け組とか、光と影とか、陰陽とか、いろいろな言い方があるけれど、とにかく世界は一枚岩じゃない。

負けた方の人間のことなんて放っておけばいい、という人もいる。負け組思考でいると負け癖が伝染る、なんて人もいるし、そういう人の存在が悪意なく実際にまったく目に映らないという人もいる。

でも考えちゃうんですよ。
そうやって放っておかれた人は、放っておかれた“その後”どうなってしまうんだろう、って。
まさしく「負けたほうのチームはどんな気持ちだったんだろう?」。
『PENUTS』の作者チャールズ・シュルツは考えた。自分もそういうことを考えてしまう“側”にいる。
なぜそういう風に考えるようになったかと聞かれれば、「いろいろなものを見てきたから」としか言えない。一面だけじゃなくてね。

『ノアの方舟』という、キリスト教の有名な伝説(信じる人にとっては現実的な予告)があって、世界が終焉を迎えた時に、選ばれた生物を救い出してくれる船がある。
さて、あなたはノアの方舟に選ばれました。

船に“乗りますか、乗りませんか”。

大多数の人は“乗る”と答えるでしょう。でも一部には“乗らない”という選択肢を取る人もいる。
「救われなかった人のことを想いながら救われるのは、きっと辛いことだと思うから」

そんなアイデンティティが、自分の根底にあるというか、ずっと自分の指針になっていて、今の自分の人格を形作っていたりするんです。


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