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それはまるで街全体が大きなシェアハウス・高円寺から引っ越したので感想をば

9月もあと1週間と少しですが、東京は高円寺から引っ越しました。3年半、大変お世話になりましたということで、感想を少し。

みうらじゅんさんが「日本のインド」と称した街高円寺。タイから帰国してすぐ就職して上京してきた私にとって馴染みいい街でした。

なんか、高円寺時間、とでも言いましょうか、独特のゆるい空気が流れていて、普通ならだいたい営業時間って、ホームページとかgoogleで検索したら出てくる時間通りに営業するものですが高円寺では店主の気分次第で変わるうるという「ここは日本ではありませんね??」というのが通常運転でして、まじアジア

営業時間のみならず営業日でも平気で休むわ、休業の連絡も店主が営業開始時間を過ぎてからSNSで「休みます」一言で終了、とか私の通ってる店はまあそんな感じでした。

「今日やってる?」って事前にLINEしてから行かないと開いてるかすらわからない、クレイジーすぎるだろ。そしてたまに店主がやる気なくなって失踪するとか、あるある。

まあそんな緩みきった空気が、タイ帰りの私には合ったのですね、新卒採用で化粧品会社に偶然拾ってもらったけど、周りのキラキラと東京の殺伐とした空気に馴染みきる自信がない私にはちょうどよかったのですよ

高円寺はのんべえが多いことで有名ですが、その通りで、夜の12時からが本番といった感じで朝までお店が開いてることもザラだしお客さんも元気に夜通し飲むから、週末、なんなら平日も寂しさ紛らわすために飲み歩いてました。

陰キャの人見知りなので、最初はそりゃ緊張しましたけど、1つ2つ行きつけの店ができれば、こっちのもんよ

そこの常連さんと仲良くなって飲み歩いてまた新たな行きつけができる、みたいなループに入り、立派な高円寺民へと成長いたしました

都内有数のでかい商店街があるので、日常の買い物はそこで十分だし、安くて美味しい店が至るところにあるから(まじで大体どこで食べても美味しい)お財布痛まずに気軽に外食できるし、いろんなタイプの遊び場があるから(平均年齢5~60歳の老舗ディスコからアフリカ人しかいないバー、シックなバーからカジュアルな飲み屋さんまで)気分ですぐに遊び場にアクセスできる。

挙げ句の果てには、深夜3時まで開いてるカフェもあるから、徹夜作業のときとか、夜更けにゆっくり読書したいとかはそこにいけばいいし、まあ自宅は文字通り寝に帰るだけの場所と化しました

上京当初はキラキラ同期に合わせて六本木渋谷恵比寿とかで遊んでたんですが、お金がなくなるスピードが尋常ではないのと、やっぱ陰キャには眩しすぎたので、高円寺の独特の明るい陰キャ(?)の集まりの中でリーズナブルに遊ぶのは自分には合ってました。夜2時過ぎの高円寺を闊歩しながら「まじ高円寺最高!!!」とか心で叫んでた

今回この最高な街高円寺から出ることにしたのか

冒頭で述べた心地よい高円寺時間と空気でダメ人間になりかねないと思ったからです。ゆでガエルになっちまう、と。

ここからは個人の意見と偏見にまみれた文章なのでもし気分を害す方がいらっしゃったら恐縮なので、あくまで個人的意見として流していただけるとありがたいのですが、

私は高円寺は大きなシェアハウスだと思ってるんですよ。アーティストの卵、芸人の卵、俳優の卵、カメラマン目指している人、、、みんな夢に向かって明るく頑張ってはいるんですけど、そして夢に向かって頑張る仲間が欲しい、切磋琢磨したいと思って高円寺に集まってるけど、結局なだめ合ってるだけ、みたいな側面がどうしてもある。

お笑いコンビ「ニューヨーク」のコントに「シェアハウス」があるんですけど、まんま高円寺です。

まじ高円寺はスケールの大きいシェアハウス。

なんか、あともうひと踏ん張り、ができなくなっちゃうんですよ。

夢に向かって頑張ってる仲間が多いから、良い意味でも悪い意味でも自己肯定感が肥大してしまうんですよね。

そして、結局何かの卵は、卵なんです。孵化することがないか、もし孵化したら街を出ちゃう。(売れたら高円寺出るひとはよくいます)

確かに、上京したてのセンシティブな時期に高円寺に住めたのはよかったです。生きてるだけでしんどかったけど、それを認めてくれるひと、場所があるのはとっても有り難かった。

けど、もう上京3年半たって、会社員としてなんとか生活していけるようになって、地に足つけて頑張っていきたい、さらに副業もアクセル踏んでやっていきたい、ってなったときにどうしてもその気の緩みが出てしまって、詰めが甘くなる傾向が出てくるようになりました。

もちろん、全て私個人の責任だから、街に責任転嫁するのもおかしな話だけど、行きつけのバーに行けば「それでいいよ」って優しくいってくれるひとがいるから甘えちゃうんですよね、自分を追い込めない。

あと、やっぱり、その街のカラーにあった「同族感」って、高円寺でなくても求められると思うんですけど「高円寺っぽさ」のある方が、やはり高円寺では求められるのですよ、その「ぽさ」っていうのはやっぱり「ゆるさ」とかそういったものになるのですよね

日本社会に馴染めるかグレーゾーンだった上京当時と比べて、なんとか頑張って新卒で入った会社を続けていくにあたって、「真面目に生きる」をしたいと思うようになった私には、それは足枷でしかない。

冒頭で述べた心地よい高円寺時間と空気は、いまや私を楽な方へ楽な方へと流す波となってしまいました

せっかく将来を設計して生きていこうとしているのに、そういった「ゆるい」人間を演じることが必要となってきた今、演じているうちに真面目な自分がジリジリと削り取られていくような気持ちになってくるようになり、本来精神を良い意味で緩めるために住んでいたのに、逆に緩みきって戻ってくるのが困難になる瞬間が増えてきました

ということで、しばらく真面目に人生を積み上げていきたいので、高円寺を離れて新しい土地での生活を始めました

でも、やっぱり高円寺は好きですよ、心から安心できる場所ですから、これからしんどくなったらまた高円寺に飲みに行くと思いますけど、しばらくはゆっくり自分と向き合って生きていきます

元高円寺在住者としておすすめのお店(バーとかカフェとか)、せっかくなので別途まとめます

おわり。




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