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体温がなじんでいく

先日の年下の彼とのデートの続きの話である。

庭園の散歩のあと、何をしようかバスを待っている間に話し合い。

夏真っ盛りで、気温も高く、日差しも強い。どこか屋内で過ごしたいと願った。結果、カラオケに決まり。相変わらずの選択だ。

迷ったらカラオケ、若者のありきたりかもしれない。いや、私達だけかもしれない。世間一般はどうなのだろう。

予約を先にしておいて、バス乗り込む。バスに揺られていると少しずつ眠たくなってきた。そっと隣に座る彼に体を傾けると、「眠いの?」と聞かれる。私は目を閉じたままそっと彼の肩に頭を預けた。

手を繋ぐだけで照れてしまうのに大胆な行動をしたと思う。でも、そっと彼が側にいると実感すると気持ちが落ち着いた。

でも、少しして耐えきれなくなり(やっぱり恥ずかしい)そっと目を開け、体勢をもとに戻した。


カラオケに入ると、それぞれ好きな曲を入れ歌い始めた。1時間くらい経った頃だろうか。彼の方から後ろから抱きついてきた。暑がりな彼と寒がりな私。冷房が少し寒いなと思っていた頃、彼の体温に触れるととても温かかった。もう少しこのままでいたいと思ってしまった。私が1曲歌い終わると、彼の体は離れてしまい、歌を歌い始める。そして歌い終わると、また抱き着いてきて私が歌うのを聞いていた。

1曲約5分。その短い時間だが、彼が抱き着いてくる時間だけは、少しだけ長く感じた。もう少し、もう少し、彼の体温に触れたいと願っていた。

私の体温と彼の体温が交わり、馴染んできた頃、彼の体温が離れていくのが恋しかった。人肌恋しいとは、言葉通りだなと思った。

でも、私は彼に恋しているかと言われたら、不思議とそうは感じない。

もう時効で、彼への恋は終わってしまっているのかもしれない。


でも、彼との時間は大切にしたいと思うし、彼との時間は私にとって大切な時間なんだと思う。


彼から、好きという言葉はもらえない。それが少し悲しくて泣きそうになる時もある。私の恋心はどこに向いているのか。

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