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夜の谷

これは12月に書いた文章。ゆっくり推敲してたら、すっかり時期を逃してしまったけど、あの時の気分をちゃんと書けた気がするので、投稿!


みんなが寝静まっていると、ふと谷底に落ちていくように嫌なことを考えてしまう。
今がとっても幸せに生きているから
急にそれが奪われてしまったらどうしようと怖くなる。

娘が先週発熱し、数日寝込んでいる。熱は上がったり下がったり。ようやく治ったかと思うと、また夜に熱が出る。今日は37度をキープしていて、これは下がったと考えてよいよね?と思っていたら、さっき「なんか寒気がする」と言って、布団に潜り込んで、次に見に行った時にはすやすやと寝ていた。

99%は、まだ本調子じゃないのね、疲れているのね、と思ってるんだけど、ほんの1%だけ、ちゃんと生きてるよね…?と怖くなる。隔離している部屋に見に行って、体温と寝息を確認する。

私は母を癌で早くに亡くしたが、母が死んだ日よりも、母の余命が数年だと言われた日の方が衝撃だった。私が18歳の時で、自分の身にこんなことが起こるのかと、なぜ我が家なんだと、呆然としたものだ。不幸は突然起こる。また起こらないとは言えない。幸せだからって油断したらいけない。

娘が、少しづつ人間に育っていっているのが、可愛くて楽しくて仕方がない。娘の、私にはないユニークでマイペースなところが大好きだし、このままどんな子に育っていくのか見ていきたい。せめて、22歳まで。母が私を見てくれた年までは。どうか私からこの子を奪わないで、運命。

夜は長い。また娘を見にゆく。寝息を確かめる。生きてる。夜の空に浮上して私も寝よう。

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