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言葉の宝箱 0784【顔がいいとか悪いとか、そんな理由だけで異性を選ぶのは子どもだけ】

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『どうしてわたしはあの子じゃないの』寺地はるな(双葉社2020/11/22)

閉塞的な村から逃げ出し、身寄りのない街で一人小説を書き続ける
三島天は、ある日中学時代の友人のミナから連絡をもらう。
中学の頃に書いた、大人になったお互いに向けての手紙を見つけたから、
30才になった今開封しようというのだ。
他人との間で揺れる心と、誰しもの人生に宿る煌きを描いた成長物語。

P257とP276にこの本の題名の由来が示されていると思う。
「どうしてわたしはあの子じゃないんだろう、
っていつも誰かをうらやましがってた。
でもわたしはやっぱり他人の必死さを笑ったり、
心配するふりして気持ちよくなったりする側より、
笑われる側にいるほうがずっといい」
「必死になればなるほど空回りして、焦って、
どうしてわたしはあの子じゃないの、なんて妬んでばかりで、
そんな自分がいやだったけれども」


・言葉はいっぺん相手にぶつけてしまったら、
もう取り消すことなんかぜったいできない P10

・他人は自分のさびしさを埋めるために存在するわけじゃない P15

・自分の持っているもので勝負する方法を見つけるしかないのに、
時々いろんなものに押しつぶされそうになる P17

・すぐに仕事がやめられるのは、余裕があるからだ P21

・他人からの評価は、ある種の呪だ P108

・もう恋をしなくて済む。
結婚する時、そのことがなによりもうれしかった(略)
恋なんてすこしも楽しいものではない(略)
わけのわからない感情に振りまわされるのはごめんだ。
妬んで、羨んで、恥じて P160

・たくさんお賽銭をするよりも、
熱心にお参りするよりも、
日常をよりよく生きることこそが『祈り』だと思う P166

・答えに困った時はとりあえず微笑んでおく P167

・たぶん死んだと思う。心が P209

・結婚する気がないならどうしてつきあったの、
わたしの時間返してよ P221

・顔がいいとか悪いとか、
そんな理由だけで異性を選ぶのは子どもだけ P223

・女に好かれる秘訣とかあるの、とも訊かれるが、そんなものはない。
相手がちょっとでも嫌がることはしないとか、
乱暴にあつかったりもしないとか、約束したことは守るとか、
相手の体調を気遣うとか、ごくあたりまえの接しかたしかしていない。
もちろん性別に関係なくだ(略)
ごくあたりまえのことができないやつが多いということなのだろうか P229

・ひとつの夢を追い続けるほど強くなかった P252

・どうしてわたしはあの子じゃないんだろう、
っていつも誰かをうらやましがってた。
でもわたしはやっぱり他人の必死さを笑ったり、
心配するふりして気持ちよくなったりする側より、
笑われる側にいるほうがずっといい P257

・罪を告白して楽になろうとすることは、
許されたいと願ったわたしは、ずるい P267

・ぶつけてしまったら取り消せないのに、
言葉にしてもらわなければわからないことだってある(略)
なにを言葉にして伝えるか。あるいは、伝えないか。
わたしたちはいつもその選択を迫られる。
そうしてたいていの場合、まちがったほうを選ぶ P273

・必死になればなるほど空回りして、焦って、
どうしてわたしはあの子じゃないの、なんて妬んでばかりで、
そんな自分がいやだったけれども P276

・ずるくてもいいんだってさ(略)
ずるくないやつとか、どこにもおらんよ P276

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