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言葉の宝箱 0452【ぜんぶあって、いまの自分がある】


『ある日、アヒルバス』山本幸久(実業之日本社2008/10/17)


観光バスガイドのお仕事小説。
東京の観光スポットをめぐるバス会社アヒルバスに入社して五年のバスガイド高松秀子(デコ)は我儘なツアー客に振り回されながら仕事に励む毎日。ある日新人バスガイド研修の指導員に指名されるが、
自信のない態度が災いして、新人教育は遅々として進まない。
そんな中、同期の中森亜紀にアヒルバスの「革命」を持ちかけられる。
軽快なテンポとユーモアあふれる筆致が笑いを誘う一方、
主人公デコをはじめバスガイド達がそれぞれに悩みを抱えながらも
奮闘する姿は胸に沁み、生きる元気が湧いてくる。
またアヒルバスのガイド達による東京名所の観光案内も読みどころ。
二重橋、都庁、お台場、東京タワー、浅草、築地本願寺など、
よく知っているつもりの観光スポットも
デコたちのガイドにかかれば意外な新発見があるかも。
アヒルバスならではのTOKYO観光をお楽しみ下さい。

山本幸久作品の魅力は厄介な人が厄介のままでは終わらない。
 “ほっと”あるいは“ほのぼの”させる展開があり、
「人間っていいよね」「悪い人はいないよ」
そんな幸福感を得られることだと思う。

 ・いままでのこと、これまでのこと、
ぜんぶあって、いまの自分があるんだよ。
それがつらいことだって哀しいことだって悔しいことだって
忘れちゃいけない。私はそう思う P103

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