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「日朝極秘交渉」(論創社)を読んで

NHKの特集番組の内容を再現し、さらに取材を担当した増田剛記者の思いも追加されている。
交渉の実務責任者だった田中均元外務審議官へのインタビューを軸にアメリカ、韓国と幅広い取材をしている。
ところどころに、初めて読むような部分があった。

例えば北朝鮮側が日本側が支払う経済協力の金額をしつこく知りたがった。米CIAは日朝の接触をつかんでいたが、北朝鮮側の誰と会っていたのかは分かっていなかった。

交渉に(政治姿勢が米国寄りである)安倍晋三官房副長官が入っていたので、米国側は「交渉の抑え役になってくれる」と安心していた、などなど。
北朝鮮側の交渉責任者の氏素性、田中さんと安倍さんとの確執、田中さんは、拉致被害者の死亡情報を事前に知っていたかなどなど、核心部分はこの本でも分かりません。
もうあの交渉から20年の経過しているので、こまかなことはそう重要ではないだろう。

最大の読みどころは、交渉の影の責任者だった田中均さんの姿勢だ。

「北朝鮮との国交を樹立しなければならない」「難しい問題だから解決に取り組みたい」と首相に直訴したそうです。外交官としての気概だ。
第2の田中均の出現に期待したい

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